支配してもいいですか?
初めての戦闘
気付けば木々が鬱蒼としている森の中にぽつんと1人佇んでいた。森林の澄んだ空気とそれに混じる土臭い匂いと青臭い匂いが俺の鼻を刺激する。
どうやら無事に異世界に転生出来たようだ。
俺が歩こうと右足を前に出すとサラッと虚空から何かが降ってきた。気になったので拾ってみると先程の女神から俺宛の手紙のようだ。1度立ち止まって中身を見てみる。
ーー拝啓、神威様いかがお過ごしでしょうか? 私は元気です。
では早速本題に入りますが、2つの力の他に転生者特典としてマップという能力を与えました。近くに街がありますのでそこに向かうためにお使いください。勿論、その後も自由に使われて構いません。
もう一つは、装備に関してです。あなたに渡したその装備は、絶対に壊れません。その他にも能力はあるのですが、後は自分で鑑定してご確認ください。それと、あなたの指には指輪が付いてると思います。その指輪は無限に物が入るアイテムボックスなので、有効的に活用して頂ければ幸いです。
女神リエルより
いかがお過ごしでしょうか? って今、転生したばっかだよ! いかがも何もないわ!
1通り女神に対しツッコミをした後は視線を左手の人差し指へと向ける。そこには明るめな赤色のガーネットが埋め込まれた指輪が嵌められていた。
ふむ、これがアイテムボックスか。どうやって使うんだろう?
使い方が分からなかったため一先ず、そこら辺にある石を手に持ち指輪を意識しながらアイテムボックスに入れるように念じるとスッと石が手の中から消える。ちゃんとアイテムボックスの中に入ったようだ。
次にアイテムボックスから俺の手に出すように念じるとポンッと俺の掌の上に出現した。それと、アイテムボックスに何か入ってるなぁと思い出してみると宝石が多く入っていた。多分、女神リエルが気を利かせてくれたのだろう。
アイテムボックスが機能する事に満足気に頷くとマップの使用方法を探り出す。暫く何通りかの方法を試してみたところマップと強く念じると目の前に地図が映し出される事が分かった。
女神の言う通りその地図を見ると近くに街があったのでそこに向かう。俺が街に向かうために走り出そうとした瞬間、ザザッと草むらから何かが飛び出してきた。
「ギギィー」
「ギギュギギィ」
「ギギィギギギァ」
黒板を爪で引っ掻いたような不快な鳴き声を上げてこちらを囲んできた。その間に謎の生物を鑑定してみる。
《名前》   無し
《名称》   ゴブリン
《種族》   ゴブリン
《レベル》   2
《状態》   良好
《スキル》   棍棒術lv2
《種族スキル》   異種交配
《ランク》   F
《名前》   無し
《名称》   ゴブリン
《種族》   ゴブリン
《レベル》   3
《状態》   良好
《スキル》   棍棒術lv2・逃げ足lv1
《種族スキル》   異種交配
《ランク》   F
《名前》   無し
《名称》   ゴブリンメイジ
《種族》   ゴブリン
《レベル》   5
《状態》   良好
《魔法》   土
《スキル》   杖術lv1・魔法耐性(土)lv3
《種族スキル》   異種交配
《ランク》   E
俺を囲んでいるのはファンタジー世界でよく出てくるゴブリンのようだ。緑色の肌に俺の腰くらいまでしかない身長からしてそうじゃないかなとは思っていたが。
鑑定し終えると腰から剣を抜く。3体のゴブリンは俺が剣を構えたのを見ると襲いかかって来た。
普通のゴブリンは一斉に左右から挟み撃ち、ゴブリンメイジは俺に向けて土で出来た球体を放ってくる。俺は土球を剣の側面で受け流しそのまま右からくるゴブリンの首を飛ばす。すぐさま、左からくるゴブリンの攻撃を避け腹に蹴りを入れる。その勢いを利用してゴブリンから距離を置く。体制を立て直すとゴブリンメイジに向かって走り出す。
「……ギャギャ ︎ ギギィー」
ゴブリンメイジは驚きの声を上げた後、魔法を使おうと杖を構えた。しかし、魔法を放つより先に俺の剣がゴブリンメイジの首を切り裂く。
2体を処理した後、先程蹴りを入れたゴブリンに向くとゴブリンの顔には恐怖が表れていた。足はブルブル震えており逃げる事もままならないゴブリン。
俺はゆっくりと近づき痛みを感じないように首をはねる。
《レベルアップしました》
《首斬りを取得しました》
急に体が軽くなるのを感じる。レベルアップの影響だろう。
この世界で初めての戦闘を終えたが何の感情も湧いてこない。冷徹な判断に思えるが前世の常識を交えてはいけない。弱肉強食、それが全世界共通の世の摂理。ゴブリンより俺の方が強かった、ただそれだけのことである。
新たな能力も手に入れた事だし、今のステータスやその能力の詳細を見てみようと思う。
「ステータス」
《名前》   ヒイラギ    カムイ
《年齢》   16
《種族》   ヒューマン
《職業》   支配者
《レベル》   4
《状態》   良好(封印中)
《魔法》   火・闇
《固有魔法》   時空
《スキル》   剣術lv1・鑑定lv10・看破lv10・首斬りlv1
《固有スキル》   最適化・絶対鑑定
《異能》   支配(封印中)
《加護》   女神リエルの封印・女神リエルの加護(鑑定lv10・看破lv10・絶対鑑定・マップ)
《称号》   封印されし者・絶望を知る者・天才という名の化け物・王の器
スキルポイント・1040
首斬り:レベルが上がるにつれて首を斬る際の筋力補正、成功率上昇。
最適化:どんな変化にも即刻適応する能力。そのため、病気になるどころか状態異常になる事もない。スキルを習得しやすくなる。
絶対鑑定:女神リエルより与えられし能力。この世界の大抵のことを鑑定する事が出来る。
《異能》:どの世界においても存在する力。しかし、その能力を手に出来るのは本当の天才のみ。
天才という化け物:才能がありすぎて周囲の人間に拒絶された者が持つ称号。経験値取得率上昇、必要経験値減少する効果を持つ。
王の器:王になるに相応しい者に与えられる称号。統率力上昇する効果を持つ。
スキルポイント:主にレベルアップした時に得られるポイント。スキルポイントを使うと新たなスキルや魔法適正などを得る事が出来る。
己のステータスを鑑定した後は身につけている装備を鑑定してみる。
黒いフードコートから順にズボン、靴、剣と鑑定していく。
《名前》  ナイトメアコート
《耐久度》   無限
《能力》   不壊・重量軽減(持ち主のみ99%)・打撃吸収・魔法耐性・清浄・自動障壁・能力封印
《レアリティ》   神器級
《名前》   ナイトメアズボン
《耐久度》   無限
《能力》   不壊・重量軽減(持ち主のみ99%)・打撃吸収・魔法耐性・清浄
《レアリティ》   神器級
《名前》   漆黒の靴
《耐久度》   無限
《能力》   不壊・敏捷性上昇(極大)・清浄・重量軽減(持ち主のみ99%)・脚力上昇(大)・空中歩
《レアリティ》   神器級
《名前》   神剣グラム
《耐久度》   無限
《能力》   不壊・斬れ味上昇(極大)・筋力上昇(中)・清浄・重量軽減(持ち主のみ99%)・断絶
《レアリティ》   神器級
不壊:絶対に壊れない物。
清浄:絶対に汚れない物。
自動障壁:奇襲された際のみ自分の周囲に障壁を張る。
空中歩:宙に足場を作る事が出来る。
断絶:全てを断つ力。
は? 待て待て待ておい! なんだこのぶっ壊れ装備は! 俺つえーしたいわけじゃないって言ったよな? 確かに才能消されている割には動きやすいなとは思ったけどさ! これはやり過ぎじゃない?
「女神リエル……いくら用意していたチート能力が無駄になったからって張り切り過ぎでしょ〜〜!」
その日、異世界《ヴァルハラ》にある森で嘆きを含んだ叫び声が響いた。
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コメント
taxi
やもりんさん、ご指摘ありがとうございます!
すみません。まだ処女作なので至らない点が多くあると思いますが応援よろしくお願いします!
やもりん
スキルポイントがレベルが上がったはずなのに最初に確認した時と変わっていないのは何故でしょうか。