妹はこの世界でただ一人の味方
契約の書
紙には丸い小さな文字で数行の文が書かれていた。
『獣人族に危害を加えないこと。(ただし攻撃をされた場合、自己を守るために多少の反撃は許可する)
   故意に物などを壊さないこと。
   その他獣人族にとって故意に不利益になる行動をしないこと。(ただし国に滞在している期間のみ。)
    以上のことに反する場合全ての権利を剥奪するものとする。』
と書かれており、学たちにとってはそう難しくはないように思えるものが書き並んでいるだけだった。
「これは?」
と、学は差し出された紙を受け取り目の前の少女に聞いた。見たところなんの変哲も無い紙にこんな約束事を書いても意味がないことくらいは子供でもわかるだろう。そのため学はこの紙になんらかの効果が付与されているものだと思っていた。
「それは契約の書というものです。言葉の通り、こういった場合のみ使われるものなのです。」
「なるほどな・・・。」
確かに最後の権利の剥奪っていうのはうまいな。物を食べる権利、呼吸する権利、服を着る権利、体を動かす権利、強制力がどれほどのものか分からないが、権利という名の強制だった場合は今思ったこともできるってわけだ。
「正直貴方達が悪人でないってことは分かっているのです。ですが・・・私たちは恨むことしかできないのです。人間という種族を。」
少女は吹っ切れたのか、学と結衣を見上げながらそう言い切った。その目は悪人ではないと分かっていながらも疑心暗鬼になっていることが読み取れた。
学は結衣のためにもあえてこの紙に自分の名前だけを書いた。
「ほら。」
「あ、ありがとうございます・・・。」
あっさりとサインした学に少し驚いたのか、少女は動揺しながらもその紙を受け取った。
「ねぇお兄ちゃん。もしかしてお兄ちゃんの名前だけ書いたってことはないよね?」
「ん?当たり前だろ?」
学は反射的に「書くわけないだろ」と言おうとしたが、ギリギリのところで踏みとどまった。ここで「書かなかった」とでも言えば喧嘩になりかねないと瞬時に察知した学には称賛の声を掛けてあげるべきだろう。それが正しいのか、過ちだったのかは置いといて。
「本当?」
妙に目つきが鋭くなった結衣を見て一瞬ひるんだ学だったが、自信を持って頷いたためか結衣はあっさりと引き下がった。
「あ、契約してくれたのでいくらばかりかマシだとは思うのですが・・・やっぱりそういう目で見られるのは避け難いことなのです。それだけはご了承願えると有難いのです。」
学達はそれに頷くと先に歩き始めた少女の後について行った。後ろには警戒を続けている兵士たちがいたが、2人は気にしないでいた。
「・・・意外と質素なんだな。」
「縄文時代みたい。」
2人の感想はそんなものだった。
「縄文時代ってのはなんなのか分かりませんんが、質素というのは当たっているのです・・・。」
少女はため息をつくような暗い表情になり、目を逸らした。その声はどこかヤケクソ気味だった。その言葉に多少引っかかった学だったが、特に追求をするわけでもなく獣人族の生活を見た。
人間が住んでいるような建物ではなく、木や植物を使ったような建物が建て並んでいた。
少女は学達の目線が住居に向いているのを知ってか、説明を始めた。
「人間曰く獣臭いやらフル汚いなどと罵ってきますが、私たちは動物から進化した個体なのです。なので自然に限りなく近くした方が従来の勘などが鈍らなくて済むのです。」
「そういうことか・・・。」
「へー・・・。」
納得した学と結衣だったが、不意に2人は同じ方向へ手のひらを広げた。次の瞬間、先ほどの戦闘と比べるとあまりにも弱すぎるほどのスピードの石が飛んできた。お互いがお互いの石を受け止めた学は手のひらに収まっている小さな石を見て少女へと聞いた。
「これは反撃の契約に該当するよな?」
----------------------------
以下作者のコメント
えー、獣人続編をあと5話くらいやってー。その後の展開どーしよっかな?できれば初投稿した時の自分を殴りたいと思う作者なのでした。行き当たりばったりで書くと構造がグダグダですわ。
投稿頻度下がってごめんなさい。受験生なのでこのペースでしばらく続くと思います。
あと僕は物ではありません。
『獣人族に危害を加えないこと。(ただし攻撃をされた場合、自己を守るために多少の反撃は許可する)
   故意に物などを壊さないこと。
   その他獣人族にとって故意に不利益になる行動をしないこと。(ただし国に滞在している期間のみ。)
    以上のことに反する場合全ての権利を剥奪するものとする。』
と書かれており、学たちにとってはそう難しくはないように思えるものが書き並んでいるだけだった。
「これは?」
と、学は差し出された紙を受け取り目の前の少女に聞いた。見たところなんの変哲も無い紙にこんな約束事を書いても意味がないことくらいは子供でもわかるだろう。そのため学はこの紙になんらかの効果が付与されているものだと思っていた。
「それは契約の書というものです。言葉の通り、こういった場合のみ使われるものなのです。」
「なるほどな・・・。」
確かに最後の権利の剥奪っていうのはうまいな。物を食べる権利、呼吸する権利、服を着る権利、体を動かす権利、強制力がどれほどのものか分からないが、権利という名の強制だった場合は今思ったこともできるってわけだ。
「正直貴方達が悪人でないってことは分かっているのです。ですが・・・私たちは恨むことしかできないのです。人間という種族を。」
少女は吹っ切れたのか、学と結衣を見上げながらそう言い切った。その目は悪人ではないと分かっていながらも疑心暗鬼になっていることが読み取れた。
学は結衣のためにもあえてこの紙に自分の名前だけを書いた。
「ほら。」
「あ、ありがとうございます・・・。」
あっさりとサインした学に少し驚いたのか、少女は動揺しながらもその紙を受け取った。
「ねぇお兄ちゃん。もしかしてお兄ちゃんの名前だけ書いたってことはないよね?」
「ん?当たり前だろ?」
学は反射的に「書くわけないだろ」と言おうとしたが、ギリギリのところで踏みとどまった。ここで「書かなかった」とでも言えば喧嘩になりかねないと瞬時に察知した学には称賛の声を掛けてあげるべきだろう。それが正しいのか、過ちだったのかは置いといて。
「本当?」
妙に目つきが鋭くなった結衣を見て一瞬ひるんだ学だったが、自信を持って頷いたためか結衣はあっさりと引き下がった。
「あ、契約してくれたのでいくらばかりかマシだとは思うのですが・・・やっぱりそういう目で見られるのは避け難いことなのです。それだけはご了承願えると有難いのです。」
学達はそれに頷くと先に歩き始めた少女の後について行った。後ろには警戒を続けている兵士たちがいたが、2人は気にしないでいた。
「・・・意外と質素なんだな。」
「縄文時代みたい。」
2人の感想はそんなものだった。
「縄文時代ってのはなんなのか分かりませんんが、質素というのは当たっているのです・・・。」
少女はため息をつくような暗い表情になり、目を逸らした。その声はどこかヤケクソ気味だった。その言葉に多少引っかかった学だったが、特に追求をするわけでもなく獣人族の生活を見た。
人間が住んでいるような建物ではなく、木や植物を使ったような建物が建て並んでいた。
少女は学達の目線が住居に向いているのを知ってか、説明を始めた。
「人間曰く獣臭いやらフル汚いなどと罵ってきますが、私たちは動物から進化した個体なのです。なので自然に限りなく近くした方が従来の勘などが鈍らなくて済むのです。」
「そういうことか・・・。」
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納得した学と結衣だったが、不意に2人は同じ方向へ手のひらを広げた。次の瞬間、先ほどの戦闘と比べるとあまりにも弱すぎるほどのスピードの石が飛んできた。お互いがお互いの石を受け止めた学は手のひらに収まっている小さな石を見て少女へと聞いた。
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コメント
さらだ
僕はそれで手を切ったことがあるので恨んでます!
オタクの端くれ
ガラスって割れやすいけど
綺麗だよなー
さらだ
作者の心はガラスだよ
たーくん
物扱いのことまだ引っ張るんですね。