妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

兄妹の喧嘩

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

ガードしたウェイジの腕が鈍い音をたてながら学は全力で殴っていた。重すぎる学の拳にウェイジは不恰好なまま学に吹き飛ばされた。

あの後、ウェイジは学の猛攻を受け続けていた。当然反撃もしようとしたが、一切攻撃が通る事はなくカウンターを受けてしまっていた。

そして学がさらにウェイジへと攻撃を加えようと、ウェイジがそれを避けようとした瞬間、2人の動作は時を止めたようにピタリと止まった。

「おい・・・上で何をしているんだ?おいそれと出せるような力じゃなかっただろ。」

「・・・申し訳ないですが、来てもらえませんか?実は妹さんも上にいまして。」

ウェイジがそう言うと学は瞬時に返事を返した。

「当たり前だ。早くしろ。」

コクリとウェイジが頷いた。






ウェイジが16階への階段を教えて2人で登りきると、そこには誰もが目を疑うような光景が広がっていた。
結衣とストロングがいた空間はすでに大半がボロボロになっていて、上を見てみると日差しが見えた。
しかしそんな事は二の次だった。そのボロボロの部屋で立っていたのは血まみれの結衣だった。所々着衣が裂かれてて、肌が出ているが、相手と比べるとまだマシといえる雰囲気だった。
学は床で倒れているのがストロングだとすぐに分かった。

「結・・・衣・・・?」

学はそう一言だけ言葉をこぼすと、結衣はゆっくりと学の方を向いた。しかしその目には光が無く、ただ音のした方を向いたと、そういう感じだった。

「貴方・・・何をやってるんですかっ!!」

ウェイジが今出せる全力の速さで結衣へと襲いかかった。しかし結衣はゆっくりと拳を振り上げてタイミングを合わせ、振り下ろした。

ゴズッ

と、普通ならならないような音がしてウェイジは地面へと頭をつけた。そしてそのまま蒸気のようなものを吹き出すと、1つの石に戻った。

すると今まで身動きすらしなかった血まみれで骨折をしているように思えるストロングが動いた。
しかしその動きはウェイジと違って全力を出し切った後の遅い動きでしかなかった。
結衣は無情にもウェイジの時と同様の行動をしてストロングの顔を地につけた。しかし流石は幹部一位。消える事はなかった。

学は事情を聞きたいため、ストロングを起こしに行こうと結衣の前を通った時だった。
結衣の手が目の前に現れ、学は反射的に後ろへ下がった。しかし右頬の皮が少しだけ無くなっており、それは結衣の爪に引っかかってた。

「結衣。ふざけてるのか?いくら結衣でも限度が過ぎると俺が怒るのも知ってるだろ?」

結衣はそんな事は知らんとばかりに学を無視してストロングへと視線を移した。
しかしそこにはいたはずのストロングがなく、キョロキョロと結衣は辺りを見渡した。すると、かすかに下へ降りる階段に血痕が付いているのを発見して結衣は下へと降りていった。

先ほどの部屋とは違いそこそこの広さがあるここは最悪の場合に丁度いいと学は思ったためここに結衣を誘導させていた。
ストロングは学が身体強化を使って担いでいき下の階へと運んだ。今は部屋の端っこに座らせているという状況だ。

「なぁ・・・俺は結衣とは戦いたくないんだが。どうしても戦うのか?」

結衣は下向きだった顔を学の方へと一瞬向けた。学はその一瞬でごく僅かだったが、結衣の目には涙が溜まっているのが見えた。
しかしそれはすぐに無くなり結衣は刀を出した。
それを学は無言で見つめると鞘が付いたままの刀を出した。
両者が構えて睨み合っていたが、先に動いたのは結衣だった。

学の心臓へと突き刺すその一撃はストロングの反射速度以上の速さであり、なおかつ威力も桁違いの一撃だった。


結衣との経験値は平等になっている。現在のレベルは同じ。そしてお互いに身体強化は使っている。ステータス的には全くの同じ・・・。なら俺がこの戦いで必要なのは、結衣の行動を先読みするしかない。


学は刀が入ったままの鞘で突き刺して来た結衣の刀を受け止めた。鞘に刀が突き刺さったが、中にある刀が盾となり貫通はしなかった。
学が鞘で守った一瞬の隙をついて結衣は左足で学の脇腹を蹴った。
学は数メートル後退を余儀なくされたが、刀は奪い取ることができた。


しかし結衣は気にすることなく未だ戦闘姿勢を崩さなかった。
学は二刀をしまい、手を上げて降参のポーズをとって言った。

「もう止めよう。何があったのかは知らないが、一度落ち着け。このまま戦っても2人とも怪我をするだけだ。」

しかし結衣は先ほどよりも一段階速いスピードで学へと突っ込んだ。普通なら一瞬で均衡が崩れるスピードだったが、学も同様のスピードを出していた。
先ほどまで本気で戦っていなかったというわけではない。ただ単純に戦っている瞬間にも成長しているのともう一つ理由があった。

それは暗示である。

人間は普段脳のリミッターにより存在能力の内20%〜30%ほどしか出せていない。
しかしそのリミッターが外れる瞬間もある。それがよく知る「火事場の馬鹿力」だ。
しかしこれは本当に生命の危機と感じた瞬間しか出せなく、現在の2人には当てはまらない。
そこで2人が行ったのは先にも書いたように暗示である。正確には自己暗示だ。

簡単に言えば思い込みの力である。先ほど16階でお互いが動いたスピードよりももっと速く出来ると2人は自分自身に暗示をかけた。
その結果、脳はリミッターを少し緩め先ほどよりも速く動けるようになったのだ。


近距離戦に持ち込んだ結衣は先ほどから目潰しや、顎、心臓への一撃など、入れば勝負が決まるような場所へ攻撃を続けた。
しかしその攻撃は未だ通っておらず、学が当たらないようさばいているだけだった。

「っ!このっ!...と思ってたのに!」

戦い始めてから数分が経過した後、結衣はそう言葉を言い放った。その言葉は学の足を止めるのに十分だった。

「ど、どうしたんだよ結衣?」

刹那ーー結衣の手刀が学の左胸へと刺さった。

「っ...!」

学は結衣の手を離そうと両手で掴んだ。しかし結衣は物ともせずに少しずつ学の体内へ突き刺していた。

学は痛みが全身を支配している中、この状況から生きる策を考えていた。そのスピードはとても速く、今までのどの戦いよりも早かった。



結衣の説得・・・無理だ。呼吸すらままならない状況の上、先程まで言葉が届かなかった。
反撃する・・・結衣を傷つけるくらいなら死んだ方がマシだ。
頭の中で呪文を唱えて回復し続ける・・・ダメだ。時間が足りない。
クソ・・・どうすればいいんだ!?

学の命のタイムリミットは刻一刻と迫っているのだった。


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以下作者のコメント
いや〜・・・20:00くらいに書き終わってたんですけど、保存ができなかったですね。
なんか接続環境がなんたらかんたらって感じで・・・。そのせいで全部消えました。わぁ〜い・・・はぁ。
そんなことでこんな時間になってしまい申し訳無いです。

さて話を変えましょう!(書いたの2回目)
フォロー数が900を超えました!有難う御座います!(書いたの2回目)
本っっっっっ当に有難う御座います。
嬉しさを通り越して嬉しさでいっぱいです。(語彙力のなさ+矛盾)

(・ω・`)←僕が一番好きな顔文字です。・・・どうでもいいですね。

聞きたいのは1つだけです! なんかアプリを開くと、何かお知らせみたいのが出てくるじゃないですか。
それがイマイチどういう事か分かりません。もし分かりやすく説明できる人がいたら教えてください。
お願いします。

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顔文字も募集しています。(ボケてください)

コメント

  • さらだ

    本当ですね・・・。
    そこがこのアプリで一番いい点だと思っていたんですが・・・( T_T)

    1
  • TNTの部屋

    そうですね,,,,
    ツイッターでも残念やなぜなの?などと書かれていましたし他サイトやGoogleなどを使わなければ見れなくなったのでこのアプリの良さが下がったとも書かれたました。
    本当に残念です。

    1
  • さらだ

    指摘する理由が思いつかないんですが...
    何かがあったんでしょうね。
    残念の一言に尽きます...

    0
  • TNTの部屋

    ですね,,,,
    しかし複数の小説作者さんや関係者さんに指摘されたらしいので仕方がないですね,,,,

    1
  • さらだ

    Σ(゚д゚lll)エッ
    ナンデスト--

    ショックです...。

    1
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