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妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

撫で回す

5/6階
「キリがいいし、一旦休憩するか。ご飯何にする?」

六階に上がる階段で学は結衣に聞いた。

「う〜ん・・・なんでもいいよ。」

「じゃあ食べる機会がないし海鮮丼でも食べるか。」

学はストアで自分用にづけ丼。結衣にカニ丼を買った。しばらく無言で食べていた2人だったが、学が口を開いた。

「少し食べるか?」

もちろん差し出したのは学が食べかけのづけ丼。もし食べるとなると間接キスになるのを結衣は知っていた。だからこそ学の顔を見てもなんの恥じらいもなくそれを勧めてくる学の心が分からなかった。

「ん?いらないか?」

「あっ! ううん。食べる。」

とっさにそう言ってしまった結衣は心の中でどうしようか慌てていた。そんな気も知らずに学は自分の箸で具材と米を掴み、結衣の口元に持ってった。
結衣はさらに慌てて、これを食べていいのか頭を高速回転して思考していた。

「あの・・・本当に食べていいの?」

「言ってることが分からないな。食べちゃダメなのか?」

その言葉を聞いて結衣は食べることを決心した。勢いよく箸に掴まれていた米と具材を食べた。箸から口を離すと、結衣の唾液が糸を引いた。
それを学は澄まし顔で口にくわえるとまた自分の食事に戻った。

・・・私って魅力がないのかな? だから気にされないの? そもそも兄妹だから関係ないとか? 案外お兄ちゃんの事だから間接キスとか興味ないのかも・・・。

少しだけ結衣本人が落ち込んでいるのを見て学は瞬時に反応した。

「どうした?体調でも悪いのか? 今日はこれくらいにして、明日また進めるか。」

そう言い収納から寝るための道具を出し始めた。それを見て先ほど学が言ったことをそのまま返した。

「お兄ちゃん。私の少し食べる?」

ふふふ・・・これならお兄ちゃんでも意識せざるをえないでしょ。

そう思って学の口に近づけた結衣だったが、学は抵抗もなくそれを食べた。結衣は驚いてそのまま硬直してしまった。結衣の食事はまだ半分以上残っている。結衣の箸は学が口をつけたもので、意識してしまい心臓の高鳴りが収まらなかった。

「ありがとな結衣。美味しかったよ。」

そう言って学は結衣の頭を軽く叩いた。そして再び仮眠をする準備に戻った。結衣の目的は学に意識させることだったが、逆に意識させられて残ったのはまだ学の唾液が残ってる箸とカニ丼だった。

お兄ちゃんとは兄妹。お兄ちゃんとは兄妹。そう。兄妹なの。間接キスなんて想像してる私がおかしいの。そ、それに、キ・・・キス・・・だって終わらしてるし・・・今更間接キスくらいで・・・。

そう考えた結衣はかき込むように残りを食べたのだった。その後2人は仮眠を一時とった。




7時間後
「結衣。俺はどこかの物語とかの主人公やら登場人物に1つだけ言いたいことがあるんだ。」

「何、お兄ちゃん?」

「ものすごくトイレに行きたい・・・。」

「あ・・・。」

仮眠から起きた学はすぐにそう言い、結衣は察したような顔になった。

「あ、でもお兄ちゃん。何かスキルでも作ればなんとかなるんじゃない?」

その時学はいつも以上に結衣が天使に見えたという。



六階
一言で言うと瞬殺。

七階
意味のない階。

八階
長い道が広がっていた。一方通行だったため、道なりに進むしかなかった。2人は急ぐこともなく、ゆっくりと歩き始めた。

道中見たことのある赤いボタンが目に入った。しかし、どっかの誰かさんのように警戒をして押すことはしなかった。

「・・・私がするよお兄ちゃん。」

そう言い目を向けたのは道の途中にいたゴブリンだった。数は三体。

「分かった。危なくなったら手助けするからな。」

結衣は刀を手にして構えをとった。短いため息を吐いてゴブリンをまっすぐ見つめた。ゴブリンは剣を持ったのが二体。弓を持ったのが一体だった。

最初に動いたのは弓を持ったゴブリンだった。放たれた弓は結衣の頭に吸い込まれた。結衣はそれを頭を少し傾けただけで避け、再び構えの姿勢に戻った。
結衣の動きを見るとゴブリンたちは連携を取り始めた。剣を持ったゴブリンが左右から結衣を狙い、開いた真ん中の空間は矢が放たれた。
結衣は矢を避けるためにしゃがみ、左右から攻撃しにきたゴブリンの足を回転しながら蹴った。
転ばされたゴブリンが立ち上がる前に、結衣は喉を一瞬で切り、二体を瞬殺した。
最後に弓矢を持ったゴブリンの近づくと、最後の一本である矢をゴブリンが放った。結衣は刀でそれを弾くと、体を真っ二つに切り、戦闘が終わった。

「お疲れ様。」

「全然疲れてないよ。こんなの弱いし、倒し甲斐もない。」

「まあ、それには同感だな。」

そう短いやり取りをすると再び歩き始めた。会話はない。別に怒ってるわけではない。ただ単に2人とも積極的に話す性格ではないのだ。この世界に来てからはよく喋るようになったが。

それから数分歩いていると学が口を開いた。

「そういえば結衣って誰かを好きになったりはしないのか? 」

「・・・私の・・・好きな人・・・。お兄ちゃんかな。」

「俺も結衣のことは大好きだぞ。」

結衣は異性の意味で、学は兄妹の意味で言ったのでそれぞれに少しだけ意味の違いが生まれた。結衣は顔が赤くなり体が火照っていた。

それに気がつかなかった学は先に進んだ。


それから十分ほど歩くと階段についた。


九階
そこには犬のような魔物がいた。最初に見たのは柴犬の格好をしたものだった。女の子である結衣が先に見つけ、頭を撫でようとしたところを学が止めた。

「何するのお兄ちゃん?」

「よく考えろ。こんなところに犬がいたらおかしいだろ。多分魔物だ。」

そう言われて結衣はハッとした。

「ち、違うんだよお兄ちゃん・・・。ほ、ほら! 可愛いもの見ちゃうとつい撫でたくなっちゃうでしょ?」

「あ〜・・・。気持ちはよくわかるぞ。俺だって撫で回したいのに我慢してるくらいだからな。」

たしかに可愛いものを撫でたくなるのは条件反射みたいなもので仕方がないのは分かるんだけどな・・・少しは我慢しないとダメだろ。

「お兄ちゃんが撫でたくなるほど可愛いって思うの何なの?犬?猫?ハムスターとか?」

「結衣。」

「え?」

結衣は自分が聞き間違えたのだと思って聞き返した。

「可愛いのは結衣。それも撫で回したいくらいに。って言ったんだよ。」

「あ、あぅぅ・・・お兄ちゃん・・・恥ずかしい・・・。」

結衣は面に向かって可愛いと言われ、恥ずかしそうに、しかし嬉しい顔をしている。いわゆるデレ顔みたいな感じになっていた。学は瞬時にスマホを取り出し、その顔を撮った。

「え、ちょっとお兄ちゃん! 今何撮ったの!?」

学はアルバムからさっき結衣を撮った写真を見せた。すると結衣はその写真を消そうと取ろうとスマホに手を伸ばした。

「おっと! やらせるか!」

学はそれを取られないようにうまく振る舞った。
結局結衣はスマホを取り返すことが出来ず、学の永久保存版となったのであった。犬の魔物は空気を読んでか、いなくなっていた。


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以下作者のコメント
すいません。一昨日から39,6度の熱があって今も38,7度あります。そのせいで文章がおかしな点があるかもしれません。今回は目を瞑って頂けると幸いです。

あ、あとこれだけは言わせてください。
3/7・・・601
3/10・・・642

なんでやねん!( ゚д゚)

この三日間で一体何が...
嬉しいです。とても嬉しいです。有難うございます。これからもどうかよろしくお願いします。

次書く作品のジャンル(?)を募集しています。
例...学園バトル
       日常恋愛

こんな感じでコメントしてください。出来るだけ詳しいと有難いです。なかったらコメントしなくていいですからね。

それではまた。早く熱を下げときます。

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コメント

  • さらだ

    ギャグセンス無いんで勘弁して欲しいですね笑

    0
  • ちょっと二次元が好きです

    作者のギャグ系が見てみたいです!

    1
  • さらだ

    おかげさまで7度2分まで下がりました。有難う御座います。フォロワーさんが増えていることに新しい目眩を覚えたところです。
    なるべく早く話を書いて遅れを取り戻そうと思います。

    3
  • Meryu

    初めまして!いつも見させてもらってます!
    すごく面白いです。
    新しい作品の内容は義理の妹との恋愛物語を希望します。
    それか一作品目と近い内容でもいいと思います。

    これからも応援してるので風邪治して頑張ってください!
    お大事に。

    1
  • たーくん

    熱があるのなら無理して投稿せずに休んで下さい。私のコメントにも返信しないでいいので呉々も無理はしないで下さい。
    それではお大事に。

    1
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