妹はこの世界でただ一人の味方
雪
次の日の早朝
「さて・・・準備はいいか? 荷物の忘れ物もないな。よし出発。」
誰の意見も聞かずに俺はそう言った。結衣の意見も聞かない。もちろんカラカラのも。
ただいまの時刻午前2:40
いい子は寝てる時間だろうな。残念なことに俺は悪い子だからこんな時間に起きてしまった。あまりにも悲しすぎて先ほどの独り言を言ってしまった。
それから寝ようにも寝ることが出来ず、ただ何もない虚空を見つめながら昔のことを思い出していた。学の父親との思い出だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「学さん。お父様がお呼びですよ。」
そう言ってくれたのは家の家事全般をしてくれている執事と言う名のお手伝いさんだ。ちなみに本当かどうか分からないが、履歴書にセバスチャンと書いたら採用されたらしい。遊び心満載だな。推定年齢20歳前半。
学はゲームをしていた手をやめた。
お父さんが家にいるのは珍しくはない。毎日会社には出勤しているけれど、夜の9:30には帰って来てくれて寂しい思いなんかほとんどない。
そんなお父さんが俺に何のようだろうか?全く見当がつかない。
「ありがとう。すぐ向かうよ。」
けれど父親と対面すると来なければ良かったと思ってしまった。その時の父親の目は話し合いをする時の目だった。
あ・・・これは長くなりそうだな。よし、戻ってゲームの続きでもするか。
そう思い部屋を後にしようとした学だったが、それは父親に腕を掴まれ阻止された。
「どこに行こうとしたんだ? まだ話すらしてないぞ。」
「なら話は簡潔に終わらしてくれないか? あんまり長ったらしいのは好きじゃないんでね。」
「同感だ。こちらとしても早く終わらせてしまいたい。」
この会話だけで判断するのであれば十中八九仲が悪いと思うだろう。けれど実際はそこまで仲が悪いというわけではない。さらに言えば2人は週に一度将棋やチェスなどさまざまなゲームをして遊んでいる。時には結衣もいれて大人数のゲームをしている。
「聞きたいことは2つある。まず1つ目だが、結衣との関係は良好か?」
「良好・・・と言いたいところだが、何とも言えないな。会話はしてくれてる。けど、敬語で話されてるからあんまり好ましく思われてないのかもしれない。・・・それにお兄ちゃんって呼んでくれないんだよ!」
そう叫んだ学だった。しばしの沈黙の後、父親が口を開いた。
「2人の関係はよく分かった。・・・次だ。一昨日お前無断で印刷室を使ったようだな。何故だ。」
ああーーこっちが本当に聞きたいことか。目を見ればわかる。結構怒ってるな。どうするか・・・本当の事を言うか・・・それとも適当にでっち上げるか。
はぁ・・・誤魔化すしか他ないな。
「・・・・・・。」
何にも考えてねえよぉぉぉぉぉぉ! いきなりそんな事言われたってすぐ思いつかねえよ。
「どうした? 言えないのならこちらにも考えがあるぞ。」
「ほう・・・例えば? 」
この俺がちょっとやそっとのことで動くと思ったら大間違いだ。どこかの親と似て頑固だからな。その俺を動かせるものなんていないーー
「そうだな・・・例えば結衣との関係を切るのとかはどうだ? 」
ふむ・・・ふざけるなぁぁぁぁぁ!
って叫びたい。クソっ。俺が動かなくてはならないだと・・・。ほんと感心するよ。人をイラつかせるの技術は天才だな。
あっさりと学を動かした父親だったが、不意に部屋の外から何かが落ちる音が聞こえた。すぐに誰かが走り去ってった。
セバスチャンかな?何か物でも落としたのか?・・・まあそれは後ででいいか。今はどうやって誤魔化すかだな。
するとノックがされた。
「すいません。少しお時間よろしいでしょうか?」
セバスチャンの声だった。父親が「入れ。」と言うと失礼しますといい入って来た。
「先ほど結衣さんが外出なされたようですがお使いですか? この時間帯に外出するのは少し危ないのではないでしょうか?」
はぁ!? 結衣が出てった!?
「父さん。話は一旦中断だ。今は結衣が第一優先。セバスチャン。俺のバッグ持って来て。」
ここは家の一番端っこであり、俺の部屋にあるバッグは二階に上がらないといけないので少し距離がある。最低でも1分はかかると思っていたが
「すでにここに。」
そう言って部屋の外に置いてあったバッグを渡して来た。
・・・超能力者かよ。
「ありがとう! 助かった!」
時刻は午後9:30。結衣に続いて俺も家を出てった。
とりあえず無我夢中に自転車をこいでたな。あの時は本当に馬鹿だった。補導時間があるんだからほっといてもいずれ帰ってくるじゃん。って思いついた自分を自分で殴った。誘拐とかあったらどうするんだよ。
見つかったのは十分後。近くの公園のベンチにうつむきながら座っていた。とりあえず安堵した俺は自動販売機で午後の◯茶とコーンスープを買った。もちろんホットだぞ。予報では今日の夜から雪が降る予定らしい。まんま今だな。しかも東京では50ぶりほどの大雪になるらしい。それに伴って気温が下がっている。
結衣の隣に座った俺を気にもせず俯いたままだった。
「どっちがいい?」
そこで初めて結衣は顔を上げた。そして無言でコーンポタージュを取り、また俯いた。結衣は缶を回したり両手で掴んだり指でリズムをとったりしていた。
「どうしたんだいきなり家を飛び出して? 何かあったのか?」
本来ならもう少し慎重に聞くべきところなのは分かってる。けど寒い! とにかく寒い! 早く帰りたい。もちろん結衣も一緒に。
「今夜は冷えますね・・・。」
質問の答えではない答えをもらった。・・・これは。うん。
「今夜は特に冷えるらしいからな。だから早く帰ろう。な?」
「帰りません。」
理由を聞いてみても黙ったままで何も答えいてくれなかった。なら俺も付き合おう。
またしばらく無言になっていると背筋に冷たいものが当たった。空見上げると雪が降って来た。
「雪ですね・・・。」
「一番嫌いな天候なんだよな・・・。」
「そうなんですか・・・。私と反対ですね。私は一番好きな天候ですよ。」
へぇ・・・俺とは正反対なんだな。
「どうして雪が嫌いなんですか?」
「雪は綺麗だと思う。積もって間もない頃だったら特に。けど、人が踏み、車が通り地面の土を吸うと汚くなる。俺はそれが嫌だな。」
「そうですか・・・。見てくださいよ。私は今この瞬間が好きなんです。静かでそれでいてゆっくりと考えるこの時が。」
結衣が見てくれと言ったのは空だった。落ちてくる雪が顔にあたり冷たかった。けれど、不思議と嫌な感じはなかった。
雪の降ってくる量が多くなってきたので学はバッグから折り畳み傘を出して、結衣と肩が触れ合うほど近い距離に座り直し傘を開いた。
肩が当たった時結衣が過剰に反応したのは無視しておくことにする。
そこで初めて結衣は缶を開け、コーンポタージュを飲んだ。きっと温かい飲み物を読んで体も温まったことだろう。
「まだ帰らないか?」
「はい。・・・もう帰っていただいていいですよ。こんな所にいては風邪を引いてしまいます。・・・それとこれありがとうございました。」
どうやら風邪を引いて欲しくないから俺を帰らせたいらしい。言うことを言うと結衣は俺からーー正確に言うなら俺が持っていた傘から出た。そしてまた俯いた。
流石にもうすぐ10時になると言うのに置いて行けるわけがない。それに結衣は部屋着のせいで薄着だ。俺より風邪を引きそうだ。
俺は着ていたコーチを結衣にかけた。かけた瞬間は何が起こったか分かってなかったみたいだったが、それが理解できるとすぐに俺に返してきた。
「私はいらないので・・・。」
「いやいやいや・・・結衣の方が風邪を引くだろ。それに俺はまだあるから大丈夫だよ。使っとけ。」
そう言い俺はリュックからブランケットを取り出した。それを見ると渋々と言った感じだったが使ってくれた。
「ありがとうございます・・・。」
「それはいいんだけど・・・せめて理由くらいは教えてくれないか? 」
もう冷め始めているコーンポタージュを見ていたが、最後には話してくれた。
「先程・・・部屋を通り過ぎる時に聞いたのですが、私との縁を切ると聞こえまして・・・。少し動揺してしまいました・・・すいません。・・・ここは・・・この家は私にとって生きていた中で一番安心ができる所なんです・・・。だから・・・すいません。ティッシュ持ってますか?」
俺がティッシュを渡すとすごい勢いで鼻をかんだ。目にはうっすらと涙が見えた。
「結衣。早く帰ろう。」
「・・・嫌です。」
「一番安心できる所なんだろ? こんな所にいて風邪でも引いてみろ。俺は許さないからな。・・・それに結衣との縁は絶対に切らせない。約束しよう。・・・だから今は早く帰ろう。」
元はと言うと俺が悪いんだから約束するしかない。
「・・・分かりました。」
その頃
「霧崎。あなたの息子の部屋からこんなものが出てきたぞ。」
学たちの前とは違った口調で話しているのはセバスチャンだ。実はセバスチャンは学の父親と同級生であった。
「ふむ・・・。そういうことか。」
学の部屋から見つかったのは先日学校にばらまいた証拠写真である。それを見ただけで2人は学が何を秘密にしていたのか分かった。
「これはこれは・・・お帰りなさいませ。大丈夫でしたか?」
学たちが帰るとすぐに出迎えてくれたのはセバスチャンだった。
「父さんは?」
「今は書斎で仕事をしておりますよ。・・・結衣さんはお風呂に連れていきましょうか?」
・・・・・・もう知っているのか?部屋にあったから見つけるのはそう難しくはない。
「お願い。結衣もしっかり体を温めておけよ。さっきも言ったけど風邪を引いたら許さないから。」
「はい・・・。」
セバスチャンに連れて行ってもらうと俺は書斎に向かった。ノックをするとすぐに入る許可がもらえた。
「もう分かってるんだろ?」
学は部屋に入るとすぐに聞いた。
「ああ。もちろんお前が何を隠したかったのかも。隠す理由もな。」
やっぱりか。意図的に結衣と離そうとする理由はやはりこれだったか。気遣いは有難いな。
「ならーー。」
「そのような状況になったのならもう改善は難しいだろう。お前があいつをしっかりと守れることが出来るのならこれからも一緒に過ごせ。」
ーーーーーーーーーーーーー
父さん・・・俺は今結衣を守れてるのか?父さんが出した条件は守れてるか?
学がふと外を見てみるとそこには
あの日見た景色が広がっていた。
白い雪。まだ夜中なこともあり静かだ。静寂。それが一番あう言葉だろう。
・・・あの日と何にも変わってないな。
学は隣で寝ている結衣を見てストアでコーンポタージュを買った。しばらくそれを回して遊んだりリズムを取ってたりした。数分経つと缶を開け中身を飲んだ。
いや・・・1つだけ変わったことがあったな。
嫌いだった雪が好きになれた
ただその一点に尽きた。
------------------------------------------
以下作者のコメント
明日からスキー教室なので4日投稿できないかもしれません。夜に頑張って書いてみますが、まだ文章がまとまってないので書き切るかわかりません。もし間に合わなかったらすいません。
そういえば今日英語の授業で何時に寝たか?みたいな質問をされたんですけど、それで今日は寝てません。と答えると成長しないやら体調を崩すなど言われました。
体調を崩す時はありますが、成長しないはおかしいと思いました。僕はクラスで後ろから5番目なんですよ。なのでそこそこでかいんですけど、先生が言っていたことと矛盾していて面白いなぁと思ってました。
最近は荒◯行動やオ◯ロニアにはまっています。そしてアニメも溜まっています。小説も投稿しないといけません。いろいろしなくちゃいけないことがあります。
(勉強は?と言いたい人がいるならそれは心にしまっておいてください。僕は現実逃避をしています。)
最近の悩みなんですけど、僕が書く話って最初の1000文字は意外と早く書けるんですよ。その後が苦戦するんですよね。今回であれば結衣との関係を切る。と言った後ですね。これに時間を割いてしまいます。
なので急いで書いてしまったので誤字があったら報告お願いします。
それではまた。
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「さて・・・準備はいいか? 荷物の忘れ物もないな。よし出発。」
誰の意見も聞かずに俺はそう言った。結衣の意見も聞かない。もちろんカラカラのも。
ただいまの時刻午前2:40
いい子は寝てる時間だろうな。残念なことに俺は悪い子だからこんな時間に起きてしまった。あまりにも悲しすぎて先ほどの独り言を言ってしまった。
それから寝ようにも寝ることが出来ず、ただ何もない虚空を見つめながら昔のことを思い出していた。学の父親との思い出だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「学さん。お父様がお呼びですよ。」
そう言ってくれたのは家の家事全般をしてくれている執事と言う名のお手伝いさんだ。ちなみに本当かどうか分からないが、履歴書にセバスチャンと書いたら採用されたらしい。遊び心満載だな。推定年齢20歳前半。
学はゲームをしていた手をやめた。
お父さんが家にいるのは珍しくはない。毎日会社には出勤しているけれど、夜の9:30には帰って来てくれて寂しい思いなんかほとんどない。
そんなお父さんが俺に何のようだろうか?全く見当がつかない。
「ありがとう。すぐ向かうよ。」
けれど父親と対面すると来なければ良かったと思ってしまった。その時の父親の目は話し合いをする時の目だった。
あ・・・これは長くなりそうだな。よし、戻ってゲームの続きでもするか。
そう思い部屋を後にしようとした学だったが、それは父親に腕を掴まれ阻止された。
「どこに行こうとしたんだ? まだ話すらしてないぞ。」
「なら話は簡潔に終わらしてくれないか? あんまり長ったらしいのは好きじゃないんでね。」
「同感だ。こちらとしても早く終わらせてしまいたい。」
この会話だけで判断するのであれば十中八九仲が悪いと思うだろう。けれど実際はそこまで仲が悪いというわけではない。さらに言えば2人は週に一度将棋やチェスなどさまざまなゲームをして遊んでいる。時には結衣もいれて大人数のゲームをしている。
「聞きたいことは2つある。まず1つ目だが、結衣との関係は良好か?」
「良好・・・と言いたいところだが、何とも言えないな。会話はしてくれてる。けど、敬語で話されてるからあんまり好ましく思われてないのかもしれない。・・・それにお兄ちゃんって呼んでくれないんだよ!」
そう叫んだ学だった。しばしの沈黙の後、父親が口を開いた。
「2人の関係はよく分かった。・・・次だ。一昨日お前無断で印刷室を使ったようだな。何故だ。」
ああーーこっちが本当に聞きたいことか。目を見ればわかる。結構怒ってるな。どうするか・・・本当の事を言うか・・・それとも適当にでっち上げるか。
はぁ・・・誤魔化すしか他ないな。
「・・・・・・。」
何にも考えてねえよぉぉぉぉぉぉ! いきなりそんな事言われたってすぐ思いつかねえよ。
「どうした? 言えないのならこちらにも考えがあるぞ。」
「ほう・・・例えば? 」
この俺がちょっとやそっとのことで動くと思ったら大間違いだ。どこかの親と似て頑固だからな。その俺を動かせるものなんていないーー
「そうだな・・・例えば結衣との関係を切るのとかはどうだ? 」
ふむ・・・ふざけるなぁぁぁぁぁ!
って叫びたい。クソっ。俺が動かなくてはならないだと・・・。ほんと感心するよ。人をイラつかせるの技術は天才だな。
あっさりと学を動かした父親だったが、不意に部屋の外から何かが落ちる音が聞こえた。すぐに誰かが走り去ってった。
セバスチャンかな?何か物でも落としたのか?・・・まあそれは後ででいいか。今はどうやって誤魔化すかだな。
するとノックがされた。
「すいません。少しお時間よろしいでしょうか?」
セバスチャンの声だった。父親が「入れ。」と言うと失礼しますといい入って来た。
「先ほど結衣さんが外出なされたようですがお使いですか? この時間帯に外出するのは少し危ないのではないでしょうか?」
はぁ!? 結衣が出てった!?
「父さん。話は一旦中断だ。今は結衣が第一優先。セバスチャン。俺のバッグ持って来て。」
ここは家の一番端っこであり、俺の部屋にあるバッグは二階に上がらないといけないので少し距離がある。最低でも1分はかかると思っていたが
「すでにここに。」
そう言って部屋の外に置いてあったバッグを渡して来た。
・・・超能力者かよ。
「ありがとう! 助かった!」
時刻は午後9:30。結衣に続いて俺も家を出てった。
とりあえず無我夢中に自転車をこいでたな。あの時は本当に馬鹿だった。補導時間があるんだからほっといてもいずれ帰ってくるじゃん。って思いついた自分を自分で殴った。誘拐とかあったらどうするんだよ。
見つかったのは十分後。近くの公園のベンチにうつむきながら座っていた。とりあえず安堵した俺は自動販売機で午後の◯茶とコーンスープを買った。もちろんホットだぞ。予報では今日の夜から雪が降る予定らしい。まんま今だな。しかも東京では50ぶりほどの大雪になるらしい。それに伴って気温が下がっている。
結衣の隣に座った俺を気にもせず俯いたままだった。
「どっちがいい?」
そこで初めて結衣は顔を上げた。そして無言でコーンポタージュを取り、また俯いた。結衣は缶を回したり両手で掴んだり指でリズムをとったりしていた。
「どうしたんだいきなり家を飛び出して? 何かあったのか?」
本来ならもう少し慎重に聞くべきところなのは分かってる。けど寒い! とにかく寒い! 早く帰りたい。もちろん結衣も一緒に。
「今夜は冷えますね・・・。」
質問の答えではない答えをもらった。・・・これは。うん。
「今夜は特に冷えるらしいからな。だから早く帰ろう。な?」
「帰りません。」
理由を聞いてみても黙ったままで何も答えいてくれなかった。なら俺も付き合おう。
またしばらく無言になっていると背筋に冷たいものが当たった。空見上げると雪が降って来た。
「雪ですね・・・。」
「一番嫌いな天候なんだよな・・・。」
「そうなんですか・・・。私と反対ですね。私は一番好きな天候ですよ。」
へぇ・・・俺とは正反対なんだな。
「どうして雪が嫌いなんですか?」
「雪は綺麗だと思う。積もって間もない頃だったら特に。けど、人が踏み、車が通り地面の土を吸うと汚くなる。俺はそれが嫌だな。」
「そうですか・・・。見てくださいよ。私は今この瞬間が好きなんです。静かでそれでいてゆっくりと考えるこの時が。」
結衣が見てくれと言ったのは空だった。落ちてくる雪が顔にあたり冷たかった。けれど、不思議と嫌な感じはなかった。
雪の降ってくる量が多くなってきたので学はバッグから折り畳み傘を出して、結衣と肩が触れ合うほど近い距離に座り直し傘を開いた。
肩が当たった時結衣が過剰に反応したのは無視しておくことにする。
そこで初めて結衣は缶を開け、コーンポタージュを飲んだ。きっと温かい飲み物を読んで体も温まったことだろう。
「まだ帰らないか?」
「はい。・・・もう帰っていただいていいですよ。こんな所にいては風邪を引いてしまいます。・・・それとこれありがとうございました。」
どうやら風邪を引いて欲しくないから俺を帰らせたいらしい。言うことを言うと結衣は俺からーー正確に言うなら俺が持っていた傘から出た。そしてまた俯いた。
流石にもうすぐ10時になると言うのに置いて行けるわけがない。それに結衣は部屋着のせいで薄着だ。俺より風邪を引きそうだ。
俺は着ていたコーチを結衣にかけた。かけた瞬間は何が起こったか分かってなかったみたいだったが、それが理解できるとすぐに俺に返してきた。
「私はいらないので・・・。」
「いやいやいや・・・結衣の方が風邪を引くだろ。それに俺はまだあるから大丈夫だよ。使っとけ。」
そう言い俺はリュックからブランケットを取り出した。それを見ると渋々と言った感じだったが使ってくれた。
「ありがとうございます・・・。」
「それはいいんだけど・・・せめて理由くらいは教えてくれないか? 」
もう冷め始めているコーンポタージュを見ていたが、最後には話してくれた。
「先程・・・部屋を通り過ぎる時に聞いたのですが、私との縁を切ると聞こえまして・・・。少し動揺してしまいました・・・すいません。・・・ここは・・・この家は私にとって生きていた中で一番安心ができる所なんです・・・。だから・・・すいません。ティッシュ持ってますか?」
俺がティッシュを渡すとすごい勢いで鼻をかんだ。目にはうっすらと涙が見えた。
「結衣。早く帰ろう。」
「・・・嫌です。」
「一番安心できる所なんだろ? こんな所にいて風邪でも引いてみろ。俺は許さないからな。・・・それに結衣との縁は絶対に切らせない。約束しよう。・・・だから今は早く帰ろう。」
元はと言うと俺が悪いんだから約束するしかない。
「・・・分かりました。」
その頃
「霧崎。あなたの息子の部屋からこんなものが出てきたぞ。」
学たちの前とは違った口調で話しているのはセバスチャンだ。実はセバスチャンは学の父親と同級生であった。
「ふむ・・・。そういうことか。」
学の部屋から見つかったのは先日学校にばらまいた証拠写真である。それを見ただけで2人は学が何を秘密にしていたのか分かった。
「これはこれは・・・お帰りなさいませ。大丈夫でしたか?」
学たちが帰るとすぐに出迎えてくれたのはセバスチャンだった。
「父さんは?」
「今は書斎で仕事をしておりますよ。・・・結衣さんはお風呂に連れていきましょうか?」
・・・・・・もう知っているのか?部屋にあったから見つけるのはそう難しくはない。
「お願い。結衣もしっかり体を温めておけよ。さっきも言ったけど風邪を引いたら許さないから。」
「はい・・・。」
セバスチャンに連れて行ってもらうと俺は書斎に向かった。ノックをするとすぐに入る許可がもらえた。
「もう分かってるんだろ?」
学は部屋に入るとすぐに聞いた。
「ああ。もちろんお前が何を隠したかったのかも。隠す理由もな。」
やっぱりか。意図的に結衣と離そうとする理由はやはりこれだったか。気遣いは有難いな。
「ならーー。」
「そのような状況になったのならもう改善は難しいだろう。お前があいつをしっかりと守れることが出来るのならこれからも一緒に過ごせ。」
ーーーーーーーーーーーーー
父さん・・・俺は今結衣を守れてるのか?父さんが出した条件は守れてるか?
学がふと外を見てみるとそこには
あの日見た景色が広がっていた。
白い雪。まだ夜中なこともあり静かだ。静寂。それが一番あう言葉だろう。
・・・あの日と何にも変わってないな。
学は隣で寝ている結衣を見てストアでコーンポタージュを買った。しばらくそれを回して遊んだりリズムを取ってたりした。数分経つと缶を開け中身を飲んだ。
いや・・・1つだけ変わったことがあったな。
嫌いだった雪が好きになれた
ただその一点に尽きた。
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以下作者のコメント
明日からスキー教室なので4日投稿できないかもしれません。夜に頑張って書いてみますが、まだ文章がまとまってないので書き切るかわかりません。もし間に合わなかったらすいません。
そういえば今日英語の授業で何時に寝たか?みたいな質問をされたんですけど、それで今日は寝てません。と答えると成長しないやら体調を崩すなど言われました。
体調を崩す時はありますが、成長しないはおかしいと思いました。僕はクラスで後ろから5番目なんですよ。なのでそこそこでかいんですけど、先生が言っていたことと矛盾していて面白いなぁと思ってました。
最近は荒◯行動やオ◯ロニアにはまっています。そしてアニメも溜まっています。小説も投稿しないといけません。いろいろしなくちゃいけないことがあります。
(勉強は?と言いたい人がいるならそれは心にしまっておいてください。僕は現実逃避をしています。)
最近の悩みなんですけど、僕が書く話って最初の1000文字は意外と早く書けるんですよ。その後が苦戦するんですよね。今回であれば結衣との関係を切る。と言った後ですね。これに時間を割いてしまいます。
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コメント
さらだ
僕も基本的に人に任せますね。どうしようもないときは戦いますけど。
ちょっと二次元が好きです
荒野行動で6キル?
俺は最高で3キルやぞ
自分で殺らなくても他の人が殺してくれるからな
さらだ
誤字報告有難う御座います。
TNTの部屋
オセ〇ニアも荒〇行動も面白い(ノ∀≦。)ノ
たーくん
あと誤字が有りました。
『暖かい飲み物を読んで』に成っていました。
それから細かいかもしれませんが飲み物の“あたたかい”は「温」の字だと思います。合っているか分からないのでスルーして構いません。