異世界転生の特典は言語理解EXでした〜本を読むだけで魔法習得できるチートスキルだった件〜

ふぁに

第十九話「魔物の大群」

「明日の早朝に作戦開始だ。皆、準備を万全にしておくように。解散!」

 作戦会議が終わった。会議が始まる前は皆、明日への不安を漏らしていたが終わってみると皆やる気に満ち溢れているように見える。
 あの後、アギールは俺達3人が城内に侵入する作戦や士気を上げる演説を行った。俺を知らないエルフ達もいるわけで、アギールに圧勝した助っ人とアイツに紹介された。皆、驚いていた。アギールの実力を認めているからだろうな。実際、アギールは強い。ステータスの高さや戦いの経験の豊富さ。一国の騎士団長クラスぐらいはあるだろう。俺の父さんも魔法騎士団の団長だが、あれは次元が違う。現代魔法のみで強くなれる上限を超えてしまっている。

 皆、準備が終わり寝静まった夜。俺も寝床で眠りについていたが、思わず起きてしまった。この国、レグリア国に近づいてくる魔物の大群。これだけの気配は初めて感じるな。まぁ、そのおかげで事前に気付けたのだが。距離にして3km。あと20分もすればこの国に到着してしまうだろう。
 そして、城で行われている古代魔法と思われる魔力反応。――これはまずいな。今すぐアギールを起こして作戦を開始するべきだ。

「おい起きろアギール!まずいことになった」
「ん?どうした」

 アギールは眠そうな様子を一切見せず、いつもと変わらぬ平気な顔で答えた。

「この国に魔物の大群が押し寄せてきている。それと城で良くない気配を感じる。皆を集めて作戦を開始すべきだ」
「――お前が言うならその通りなんだろう。分かった。俺は皆を集めて作戦を開始する。お前はどうするんだ?」
「俺は、国に押し寄せる魔物共を始末してからここに戻る。作戦開始までには間に合う」
「よし、分かった。無事に戻って来いよ―――お前ら起きろ!!!皆を起こせ!!!」

 アギールは部屋にいる奴らを起こし、皆を起こすよう指示を出した。アギールも部屋を出て、皆を起こし始める。物分かりが良くて助かった。俺の嘘みたいな報告を信じれる器量に感服したよ。
 俺も部屋、地下、教会と出ていき誰もいないことを確認した後に【テレポート】を使用して城壁の外にやってきた。

 いきなり現れた俺に兵士が俺に気付き、警戒態勢に入った。俺に剣を向ける。

「お、お前は誰だ!?ここで何をしている!」

 少し動揺している様子が見られたが、すぐさま落ち着きを取り戻した様だ。それでいい。そうでなければ話が進みづらい。

「今からこの国に魔物の大群が押し寄せる。俺がなんとかしてやるからお前らは討ち漏らしを片付けてくれ」
「なっ!?お前はいきなり何を言い出す!そんなことがあるわ・・・」

 太鼓が大量に叩かれているような音がじわじわと押し寄せる。それは、平原の奥で影となり形となって現れる。大体1kmってところかな。これが城壁を囲むように全方位から押し寄せてきてるんだから、たちが悪い。

「な?言った通りだろ?俺が片付けてやるから安心しろ。だからこのことは内密に頼むぜ」
「う、うむ。分かった・・・・・・」

 周りの兵士も納得したように剣を下ろす。よし、じゃあ片付けてしまうか。
 【重力魔法】と【風魔法】を使い宙に浮く【飛行魔法】。上空まで上がっていき、魔物の大群を見渡す。結構な数だ。わずかだが、中にはAランクSランクの魔物もいるようだ。だが、関係ない。
 今から一瞬にして消し去るのだから。『ガロア魔法書』に記載されていた古代魔法。範囲を指定することができ、その範囲における生物を一瞬にして凍らす魔法。その名も【絶対零度】。この魔法、実に活用性が高い。雑魚相手は、この範囲魔法だけでもいいと思えるレベルだ。魔法創造で新たに魔法を創造する必要がないと言える程に。

 全方位から押し寄せてくる魔物が全て範囲内に収まるように指定する。――指定完了。では、終わらせるとしよう。【絶対零度】

 魔物達の進行は止まり、辺りが静まり返る。兵士達は困惑する。何が起こったのかと。答えは簡単だ。魔物が全て凍りついたのだ。そじて、この魔法、後処理も簡単だ。二回目の発動で凍った物体は粉々になるのだ。二回目を発動し、凍った魔物達を粉々にした。魔物の影や形は消え、空へ粉々になった物がキラキラと漂う。
 ・・・・・・それにしてもありえないレベルの強さだな。普通は、こんな魔物の大群が押し寄せたら国は壊滅的な被害を受けるというのに。自分が持っている力の大きさを改めて実感する。

「魔物がき、消えた・・・・・・」
「け、賢者様だ!賢者様!」

 兵士達は、俺の存在を賢者だと勘違いする。確かにこんなことをされてもらっては勘違いしても仕方ないかもしれないが。だが、悪いな。俺は賢者じゃなくて反乱軍の協力者だったのさ。
 騒いでる兵士達を無視して、俺は教会に【テレポート】して戻る。魔物はすぐ片付けた。あとは、作戦を成功させるだけだ。しかし、気がかりなのが城内で感じた古代魔法の反応。エルフは古代魔法書の解読に成功したと考えるべきだ。そうなると少し厄介かもしれないな。

コメント

  • ノベルバユーザー61141

    絶対零度で良いのではないでしょうか。0Kのことなので...

    3
  • ひかり

    絶対零度じゃなくて絶対冷度ですね。
    すごく面白いんで頑張ってください!

    2
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