異世界転生の特典は言語理解EXでした〜本を読むだけで魔法習得できるチートスキルだった件〜

ふぁに

第九話「ドラゴンを育てることになった」

うーむ、赤ちゃんドラゴンに懐かれてしまった。
それにしても、この子ドラゴン親は、黒かったというのに、コイツは白いんだな。
ドラゴンの生態系は、よく分かってないので、これがよくあることなのか、どうなのかは俺には分からない。
子ドラゴンの今後の事を考えると、保護してもらうのが一番だろうか。
悩んでてもも埒が明かないので、冒険者ギルドに到着次第、相談し、保護してもらう方向に決めた。

そして、後ろにいる親ドラゴンの死体。
よく見るとめちゃくちゃでかいな。10mは余裕で越えてるだろうか。
それを時間魔法と空間魔法と重力魔法の応用魔法、アイテムボックスを使い、中に放り込む。
ここは、時が止まっているため、中に入れた瞬間に入れられた物の時の流れが止まる。
例えば、食材なんかは、良い鮮度を保つことができる。
容量は、無限なため、入れ放題だ。

もう一つ、確認したいことがある。
それは、レベルだ。
レベルと言えば、この世界の他の人は、ステータスという物を知らない。
そのため、レベルという概念は知っているが、レベル自体は知らない。
魔物を倒せば、強くなれる。そんな認識だ。
俺が初めて倒した魔物だ。ドラゴンだから、結構な経験値をもらえることができるはずだ。
何レベルあがってるだろうか。

鑑定

アレク・バーベンベルク
種族:人間
性別:男
職業:少年
年齢:14
レベル:15
≪能力≫
魔力量:9800
攻撃力:4271→4332
防御力:3284→3368
俊敏力:4061→4125
≪固有スキル≫
言語理解EX 
≪現代魔法≫
火属性:初級~最上級 水属性:初級~最上級 風属性:初級~最上級 闇属性:初級~最上級 
光属性:初級~最上級
≪古代魔法≫
魔法創造
≪武術≫
剣術Ⅸ、拳術Ⅷ、槍術Ⅷ



14レベル上がった。
レベルが上がると、攻撃力、防御力、俊敏力も少し上がった。


色々済んだので、テンゲン山を後にする。
子ドラゴンは、産まれた直後でも結構動き回れるようで、俺の頭の上をパタパタ飛んでいたり、頭の上に座ったりしている。
少しかわいい。

街道まで戻ると、陸竜車がちょうど通りかかっていたので、乗せてもらうよう頼んだ。
御者ぎょしゃは、俺の頭の上にいるドラゴンを見て、俺に尋ねる。

「その頭の上にいる小さい白いドラゴンは、お兄さんのペットかい?」
「これは、俺の子供だ。ドラゴンと交尾したら出来てしまった。避妊は、しっかりとするべきだろうな」
「つまらん冗談を言うねえ。お兄さん」
「フッ、ノリの分からないおっさんだな」
「ピィイ!」

俺に合わせて、子ドラゴンは鳴き声をあげる。
この子ドラゴン、ノリの分かるやつか?




冒険者ギルドに戻ってきた。
ギルドに入ると、他の冒険者からジロジロと見られる。
視線の先は、俺と頭の上にいる白い子ドラゴンだな。
誰か、話しかけてくるかとも思ったが、話しかけられることはなかった。
やはり、最初のインパクトが効いたな。安々と話しかけて来て、難癖つけてくる奴が来たら面倒だからな。

受付に行き、依頼が終わったことを報告した。

「アレンさん良かったです。やっぱりテンゲン山には、黒いドラゴンなんていなくて、頭の上に小さな白いドラゴンがいただけなんですね!」
「あー、うん。そうだな」

この明るい受付嬢は、黒いドラゴンはいなかったようだと勘違いしたようだ。
真実を言うと、また前回のギルドのときみたいに周りが騒がしくなりそうだったので、自重する。

「依頼が無事終わったようなので、安心しました。ギルド長がお待ちです。ギルド長室に向ってください」
「ありがとさん。向かうとするわ」

受付嬢は、ニッコリと笑い心底安心したような顔をする。
なるほど、これが営業スマイルという奴か。
冒険者が受付嬢に恋をして問題になるという話を聞いたことはあったが、これが原因だろうな。



「黒いドラゴンは、いなかったんだってな!あー、よかったよかった。無事、依頼を終えてきてくれたからな、約束通りSランク認定してあげよう」

ギルド長室の扉を開けると、ムキムキのおっさんことギルド長が、愉快そうな笑顔で歓迎してくれた。
ギルド長も同じように勘違いしているようだ。
受付嬢にこそ、真実は伝えなかったが、ギルド長には言わねばならない。
冒険者がギルドに嘘の報告をするのも問題になるしな。

「そのことなんだが、受付では、勝手にいなかったと勘違いされたからそのままにしておいた」
「...ん?勘違い?」
「実際に黒いドラゴンは、いた。頭の上にいる小さな白いドラゴンは、そのドラゴンの子供だ。」
「じゃ、じゃあ、黒いドラゴンってのは、アレン君が倒したのかい?見たところ、怪我一つないようだけど」

ギルド長は、少し疑いの目を向けてくる。
確かに、疑うのも無理はないだろう。
黒いドラゴンは、普通一人で倒すようなものではない。
Sランクの冒険者が4人パーティーになって倒すような魔物である。
そんな魔物を俺一人に任せようとしたこの人もこの人だが。

「念のため、ドラゴンの討伐部位を持ってきている。それを見せれば気が済むか?」
「ああ、頼む」

俺は、アイテムボックスを発動し、ドラゴンの頭を取り出す。
1m
あ、死体そのままを入れたから、めちゃくちゃ血ついてる。
ギルド長室の床にポトポトと血が垂れる。

「ア、アレン君。今のは、空間魔法かい?その歳にして、空間魔法までも使えるのかい?」
「まぁ、上級の空間魔法だけどな」

古代魔法のアイテムボックスという魔法です。なんて言っても信じてもらえないだろうし、言うつもりもない。ここは、ドラゴンの頭が入る程度の容量の空間魔法上級とでも言っておけばいいだろう。

「君には、脅かされるばかりだ...。だが、本当に一人で倒したようだね。ありがとう。助かった。君のおかげでまた、テンゲン山に冒険者達が行けるようになるよ」
「そんなに感謝されることをしたつもりはない。Sランクにしてくれるならそれでいいさ」
「君は、荒いのだか、優しいのだか、よく分からない性格をしているな」
「ああ、そういうのたまに言われてた気もするな。よく分からんが、お調子者なんじゃないか?」
「ハハ、違いない」

前世の記憶の思い出は、もうあまり思い出せない。時間や知識が増えると共に色あせていく。
思い返せば、言われてたかも。なんてレベルだ。

「この頭の上にいる子ドラゴンをギルドで保護してもらいたいのだが、できるか?」

俺が、そう尋ねるとギルド長は困った顔をしながら言う。

「ウチでは、保護なんてことはやってないからなぁ・・・。ドラゴンを一人で相手できる実力があるアレン君にぜひ任せたいところだね」
「はぁ、そうか。分かった。こいつは、俺が引き受けよう」
「すまないね。助かるよ」

俺が子ドラゴンを育てることになってしまった。
頭の上にいる子ドラゴンを見ると、すやすやと気持ちよさそうに眠っていた。
産まれたての赤ちゃんがあんなに動き回ってたら、眠くもなるか。

「アレン君は、これからSランク冒険者として活動できることになった訳だが、したいことでもあるかい?」

ギルド長は、そう尋ねてきた。
俺がしたいこと。それは、古代の本を読むことだ。
ギルド長に話せば、何かそれに関しての有力な情報が手に入るかもしれない。

「古代に書かれた本を探している。読めるかは置いておいて、どんな物か一度見てみたい」
「なるほどなぁ・・・。レグリア国にあると聞いたことある。エルフの研究者達が日々研究に明け暮れているそうだ」
「レグリア国か・・・」

レグリア国は、エルフの国と言われている。
もちろん、他の種族も住んでいるが、エルフが最も多い。
緑豊かな国で、野菜や果物の生産が盛んだ。森を愛するエルフには、居心地の国なのだろう。
レグリア国のもう一つ有名な文化がある。
エルフの純血主義だ。純血のエルフが混血のエルフを見下してるという何ともくだらない文化だ。

「レグリア国に行くなら、護衛の依頼でも受けて行くといい。あそこは、ここから遠いからね。移動に時間がかかるため、護衛の依頼の報酬も高い」
「ああ、冒険者らしくそうすることにするわ。色々教えてくれてサンキューな」
「これぐらいどうってことないよ。君がしてくれた貢献に比べればね」
「そんな大層な事じゃないさ。ドラゴンは元々弱ってたからな」
「それでも、改めて感謝の言葉を言わせてもらおう。ありがとう。それと、これは少ないが報酬だ。受け取ってくれ」
「おう」

ギルド長から報酬の入った袋をもらう。
この世界で稼いだ初めてのお金だな。

俺は、ギルド長室を出て、冒険者ギルドを出ていく。
それにしても、ギルド長、外見がイカついのに物腰が柔らかく、丁寧な言葉を喋る人だったな。

冒険者になるため、家を出てきたため、今日は家に帰りづらい。
なので、今日は宿に泊まろうと思う。


宿を適当に選び、中に入る。
中に入ると、受付と食堂があった。
どうやら、ここで食事ができるらしい。
既に、何人もの客が食事をしており、酒を飲み騒いでいる。
冒険者みたいな恰好してるやつばっかだな。


「一泊したいのだが」
「いらっしゃいませー!一泊ですか?丁度、部屋が一部屋余ってますよーお客さん運がいいですねぇ。夕食がまだでしたら、ウチで食事を食べていくといいですよ!おいしくて、ほっぺたがとれちゃいますからね!」
「ああ、そうさせてもらおう」
「では、お部屋に案内します!」

宿屋の制服を着た女性が、忙しそうに対応してくれる。
そんなときでも営業スマイルは欠かさない辺り、印象が良い。
受付の裏のキッチンを見ると、2人の男女がせっせと働いている。
家族で経営してるのだろうか。

俺は、案内された部屋に入り、子ドラゴンを床におろす。

「...ピ?ピィ!」

子ドラゴンは、目を覚ましピィピィ鳴き始める。
お腹が空いたのだろうか。
それならば、さっさと食堂に行こう。
席が埋まる前に座り、早く食事を済ませなきゃな。

てか、ドラゴンの赤ちゃんって何食うんだ...?







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