お嬢様は軍師様!

葉月 飛鳥

お嬢様 討伐をする

ボッと一気に火が灯され辺りが明るくなった。
相手の顔がはっきり見える。

(やっぱりか・・・。)

声からして小僧だと思ったら、予想した通り小僧だ。
今いる人数に対して、今目の前にいるのは小僧とその横にいる槍をもった兵士。
たったそれだけ。
それだけで、盗賊に挑もうとしているのだ。
正直言って馬鹿げている。

「おいおい、お前らだけで俺達を倒そうとしているのか?」
「ぎゃはは、無謀だぜ。よほどの馬鹿だなお前ら。」
「さっさと降参して、金と食料を全て渡せば、見逃してやるぞ。」

ちょっと剣で脅してやれば、ひびって泣きながら降参するだろう。
今までもそうだ。

『盗賊風情か何を言っている。このわしがお前らにやられるとでも・・・笑わせる』
『俺は商人だ。商人の誇りにかけて死んでもお前らには屈しない!』

どんなに偉そうにしていても、どんなに強がっていて結局最後には「荷物をやるから命だけは」と泣きながら両手を組んで懇願する。
涙と鼻水だらけの顔を見下しながらこう思う。
この快感だけはたまらない。

「なんだ・・・ひびっているのか??」

さっきから小僧が一言もしゃべってない。
顔はうついているから、わからない。
地面に剣を突き刺し、両手をのせている。
体の震えはない。

「動かざること山の如し。」
「なんだそれ?」
「例え敵の陽動や挑発があろうとも、山の如く動かず守りに徹する。」

言っている意味がわからない。
周りにいる手下達もその言葉は聞こえたようだが、誰一人としてその意味がわかるものはいなかった。
ただ、わかることは脅しは聞かないと言うことだけ。
それだけだ。

「ほぉ~。つまりお前らだけで俺達とやり合おうというわけだ。」
「僕達だけではないけどね・・・。」
「後から味方がくるってか?」
「徐しずかなること林の如く。」
「またそれか・・・。」
「それは静かな森の如く、ひっそりと森の一部となり潜む。」

背中に悪寒が走った。
思わずゴクリと喉を鳴らす。
森の空気が変わった。
いや・・・違う。
俺達の見方が変わっただけだ。
ただの森だと思っていた。
普通の何もないただの森。
だけど、あいつの一言でただの森が恐ろしく感じた。

「そして!侵略すること火の如く!攻撃は燃え広がる炎の如く。一気にかたをつけよう!」

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