チート無しクラス転移〜〜Be chained(ベチーン)〜〜
三章 4話 『命の価値』
「済まなかった。オイの意識がないうちに、子分どもが暴走しちまってた。ムシが良いのも分かっているが、オイ達にそっちの食糧を少し分けて欲しい」
「ーーー・・・・・・」
ミツキは冷然とした目を盗賊の長に向けると口を開く。
「名前も名乗らずに要求だけ先に言う交渉がどこにあるんでしょうか。忘れないで下さい。この交渉のテーブルにボクらがつくメリットが何一つない事を」
「う・・・」
今の言葉は多分オレに向けられたものだと思う。
もとはオレのワガママでこの交渉が行われることになったのだから。
「申し訳ない。オイの名前はゴロードだ。こう言う交渉には不慣れなんだ。敬語も使えない。ただ、どうせこれが最後さ」
ゴロードは腰につけた剣をユックリと引き抜いた。
「・・・・・・ッ!?何を・・・!」
「安心しろ。オイがどうにかしたところでそっちの坊主に歯がたたねぇ事は知ってるさ。この剣はこう使う」
ゴロードはギラリと鈍く輝く剣を自分の首元にあてがった。
「オイの異名を知ってるか。『滅ぼし猿のゴロード』って言う。王憲兵どもが勝手につけた名前だがなーーー気に入ってる」
「ガムシャラに生きてたら子分が出来た。オイを頭ごなしに慕って、弱いところを見せた日にゃあ暴走しちまうバカどもだがーーー気に入ってる」
ゴロードは意志の強い眼差しでミツキを真っ直ぐに見つめると剣を横に引いた。
首から滲み出す血液にゴロードは頑健な顔を崩さず、口を開く。
「オイはA級賞金首だ。この首にかかっている値は金貨50枚」
「これがオイの差し出せる唯一の資産だ。これでどうか子分どもに食糧を恵んでくれ」
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