十二支vs十二星座

ビッグバン

兎の苦悩

兎は後悔していた。目の前に興奮して鼻の穴をでかくして鼻息をふんふん言わせて鼻の下を伸ばしスケベ顔で舐め回す様にこちらを見つめる馬面の戦士がいるからだ。

なぜ、あの時、馬が来る事を予想していなかったんだろう。こんな事になるなら、あの下半身馬男の手足縛って逃げられない状態にしてから躾(痛めつけ)をすればよかった。いや、そんな事をすれば、あの状態の私じゃ力加減が分からず殺していただろうからあれが一番良い方法だったはず。それに、私が一人であんな強敵を撃破したら私に脳筋イメージが付いて唯一の希望である十二支の私より番付が高いメンバーの誰かと結婚し、あの馬面から解放されるという私の夢が遠のいてしまう。ただでさえ、ヒツジンとか言う私の立場を脅かす忌々しい後輩が現れたって言うのに。
  
兎はしばらく、憂鬱そうな顔で歩いていたが、この状況を打開出来ないと諦めたのか、この馬面の男のメリットを考え始めた。

まあ悪い事だけではなかったけどね。
まあ、こいつから逃げ回ってたおかげで私は新たな力を手に入れる事が出来た。あの馬面への嫌悪感が最高潮に達した時、私は自分の限界を飛び越え次元すら跳躍した。

その名も次元跳躍。私があのサジタリウスを倒せた理由の一つだ。この能力はその名の通り、次元が違う力を秘めた能力だ。その能力は行きたい場所を考えるだけであらゆる場所に一瞬で移動するというものだ。離れた場所はもちろん、時間も数十分程度なら跳躍する事が可能で、さらに、あらゆる異次元空間にも一瞬で移動する事ができるという非常に使い勝手の良い能力だ。この能力を使えばサジタリウスの様な姿を見さない卑怯な敵であっても攻撃されれば、攻撃を受けた相手の所に行きたいと考えるだけでその卑怯者の所に行けるというまさに、卑怯者を粛清するという正義感を持った私にふさわしい能力だ。

問題はこの能力を使ってもこの馬面の男から逃げられないという事だ。この男、どういうわけか。どんな場所に跳躍しても、すぐに辿り着いてしまうのだ。

兎はこの戦闘時よりも絶望的な状況に思わずため息をついた。

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