異世界少女

Aurora

初めての武器

 ルーナの言っていた、武器や防具をみようと思い、歩き出したがふとあることに気づき、足を止めた。
(そういえば、お金とか宿とかどうしたらいいんだろう...。お金が同じなわけないし。それに食べものとかもない。一応お金はあるが...。まぁ考えてもしかたない。とりあえず歩こう。お金は他人が使ってるのをみてどのようなものかぐらいは知っておこう。どこかで働くところないあるといいんだが。剣も多少は使えた方が良さそうだ。)
 やることの多さに目眩がしたが、気合を入れなおし頑張ろうと思った。

・・・・・・・・・・10分後・・・・・・・・・・

「迷った...。(地図もなしに初めて来たところをまともに歩けるはずなかった...。どうしよう。困ったな。)」
 とりあえず来た道を戻ろうと思い、足を踏み出しかけたそのときだった。いきなり、剣が右隣にある壁に突き刺さった。(なんで!?)そして剣が飛んできたところから人が走ってきた。
「ごめんなぁ、大丈夫やったか?」
(死ぬとこだったんだけど!)と内心で毒づいたが笑顔で「あぁ、大丈夫だ。」と答えた。
「何をしててこうなったんだ?」と一応聞いてみた。そしたら、その男性は「いやぁ、そのぉ...。」とはっきりしない物言いをしながら答えた。
「実は、僕も剣を使えたらええなぁて、練習のまねみたいなことをしてたんですよ。そしたら、つい...。」
(何がつい、だ!)とやはり内心で毒づきながら、「そうか。次からは、気をつけてくれ。ところで、武器屋はどこにあるんだ?」
「それはなぁ、ここの角を右に曲って、まっすぐ歩いたらあるんやけど、あそこの店主むっちゃ変わりもんやから行くんやったら気ぃつけてなぁ。」
「あぁ、分かった。ありがとう。それじゃ。」
「ほんまごめんな。また会おうな。」
 名前も知らない男性と別れて、男性の言った通りの道順を歩いたら武器屋らしき店がみえた。(よし、行くか。)
 店のドアを開けて中に入ると、左にカウンターがあり、右にはたくさんの武器があった。内心驚きながら、店の店主らしき人物のところに向かった。そして「おすすめの武器はないか。」と声をかけたが、店主は振り向かず、何も言わない。(はぁ?ふざけてんのこいつ。)と思ったが、口に出していうわけにもいかずしかたなくもう一度声をかけた。「おすすめの武器はあるのか!」だがやはりさっきと同じ態度だった。(さっきの人、変わり者とか言ってたが、こいつは変わり者というより感じが悪いだけだな。もう1回声をかけて、無視したら蹴ってやろう!)今度はさっきよりも大きな声で肩に手を置いて「おすすめの武器はあるのか!」と尋ねたら、やっと振り向いた。「あぁすいません。あそこにあります。」それだけ言うと、またもとに戻った。(もっとちゃんと謝罪しろよ!)と思ったが、また声をかけるのはめんどくたかったので、店主が言っていたおすすめの武器が置いてあるところに行った。
(安っ!ってか、日本円なのか!?)一番切れ味が良さそうな剣でも千円ちょっとだった。(これなら、買えるな。)切れ味が良さそうな剣を買おうと思い、手に取ろうとしたがピタッと急に手が止まった。手を前に出そうとするが、動く気配がなかった。
 なんとなく右から視線を感じた。(なんだ?)右をみても、誰もいなかった。だが、そこにある剣をみて目を見張った。(なんだ、この気持ち...懐かしい?...そんな馬鹿な!この世界には初めて来たし、ましてや初めてみる剣に懐かしいなど思うはずがない!それにあれは店主がおすすめとは言ってない剣だ。店主は信用できないが。)だが、どうしてもその剣が気になってしまう。(あぁ、もう!あの剣が切れ味良さそうなら買おう!そんなに値段も高くないし。)そう思い、その剣に近づいてみたら、その剣の美しさに息を呑んだ。鞘だけでもすごく美しいが、鞘から抜いてみるともっと美しかった。銀色の綺麗な刀身にまっすぐな刃。ところどころに細工が施されてあった。(この剣にしよう!)即決だった。そして、その剣を持ち店主のところに向かった。そして肩に手を置き、大きな声で「この剣が欲しいんだが。」店主はちゃんと振り向き、だが持っている剣をみて目を見開いた。そして上ずった声で「だ、駄目です。お客様。その剣だけは!」「なぜだ?」と問うと「その剣は誰も抜くことができないのです!」(なにを言ってるんだ、こいつは。)「ならなぜ剣を売り物として置いてあった?それに普通に抜けたぞ。」「そんなはずは...。すみませんが、1回抜いてみてくれませんか?」「あぁ。」さっきと同じように、抜くと店主は「嘘だろ...。はっ!お客様。その剣は代金は要りません。どうぞ、持っていってやってください。」(いいのかよ...。)「分かった。ありがとう。じゃ。」「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!」(ありがとうございましたは、私のセリフだと思うんだが...。まぁいいか。)店を出てその剣を装備すると、なぜか凄く落ち着いた。ふぅと息をついて(次は防具屋か)と思いながら前に進んだ。

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