異世界少女

Aurora

初めての魔物

 「キャーーーーーーーー!」
(なになになになに?)

・・・・・・・・・・10分前・・・・・・・・・・

「ここどこ...?」
(何がおこったんだ?)
 周りは見渡すかぎり、草原が広がっていた。そしてちょうど朝日が昇っていた。あまりの美しさに、ぼーっとみていたら突然後ろの茂みから「ガサっ」と音がした。驚いて後ろをみたら、オオカミみたいな魔物がいた。私は、どうしたらいいから分からず立ちつくしていた。魔物は、私をみた途端にその顔に獰猛な笑みを浮かべた。(逃げなきゃ!)とは思ったものの、足が痺れたように動かず、魔物はじりじりとよってくる。そしてついに魔物が襲いかかってきたが、間一髪のところでなんとかかわした。そしてそのおかげで、痺れたように動かなかった足も動くようになり、一目散に走りだした。私は悲鳴をあげながら走りなんとかまいたと思ったとたん、今度は別の方向から何かがやってきた。訳も分からずまた走り出し、今に至る。

 「キャーーーーーーーー!」
(なになになになに?)
 私は後ろをみてみようかと思ったが、もしさっきよりも凶暴な魔物だったらと思い、後ろを振り返らずただ前だけをみて走っていた。だが、スピードは相手の方が速く、追いつかれてしまった。(どうしようどうしようどうしよう)追いつかれてもとりあえず走ろうとしたが、「待って!」と相手が言ってきた。(人だったのか...?)そう思い、後ろを振り返るとそこには綺麗な女性がいた。綺麗という言葉だけでは表せないくらい整った顔に、艶やかな薄いピンクの髪、形の良い桜色の唇、そして何よりも目を引くのは星のように煌めいている銀色の瞳だった。その女性は、私の隣にくると立ち止まり少し息を整えてから、私に話しかけてきた。
「さっき、オーガンに追いかけられていたけど大丈夫?」
「(オーガン...?さっきの魔物のことか。)えぇ、なんとか。ところであなたは?」
「ごめんなさい。まだ名乗ってなかったわね。私はルーナレシア・ヴァイス。ルーナとよんで。これでも、一応冒険者よ。よろしくね。」
「(本名を名乗るのはやめておいた方がよさそうだな。)私はアリステア・ルイス。呼び名は何でもいい。こちらこそよろしく。」
「うん。アリステア、あなたは特に武装をしてないみたいなんだけど、どうしてこんな魔物が出る場所にいるの?」
「(誤魔化せなさそうだな...。)それが私にもよく分からないんだが...」
今までにあったことを話した。
「そう。それは大変ね。ねぇもし良かったら、近くの町まで送りましょうか?ここから、1キロミート(1キロメートルのこと)離れたところに町があるの。」
「いいのか。ありがとう。頼むよ。(疑わないんだな。素直なのか、何か裏があるのか、分からないが気をつけとおこう。)」
「いえいえ。では早速出発しましょ。」
 私はルーナと喋りながら町へ向かった。時々魔物が襲いかかってきたが、すべてルーナが倒してくれた。そして、楽しい時間はあっという間に過ぎ町についた。
「ここは、ソルトの町よ。結構良い武器や、防具がそろうの。これからどうするのかは、知らないけど、見ていて損はしないわ。私は、ちょっと寄りたいところがあるからまたね。」
「あぁ。ありがとう。ほんとに助かった。また何かあったら、頼むよ。」
「分かったわ。それじゃあ。」
 ルーナは、手を振りながら町の奥へ行った。(良い人だったな。裏は無さそうだが、一応警戒しておこう。)そう思いながら、ルーナが言っていた武器や防具をみるため歩き出した。

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