充実した異世界ライフを送る......はずだったが

ざん

3話 初めての戦い。


   これからどうしよう。
携帯を失ったことがショックで、ご自慢の冷静さを忘れていた。

(うぅ......俺はどうすればいいんだよ。そういえば神様が魔物とかいるって言ってたな。ここにいたらそいつらに見つかって殺されてしまうのかな......この剣どうしよう、せっかく貰ったけど。もう考えるのやめよう。疲れた。神様なんとかしてくれ~、まぁ神様ってんだからいろいろ大変で、俺なんかに構ってられねぇだろうけどな)

小屋を背に座っている翔太は、目を閉じ、耳をすませた。
空気が澄んでいておいしい。翔太が暮らしてたとこは、都会だったので、こうして自然の中で目を閉じるととても心が安らぐ。
精神的に疲れてたみたいで、そのままぐっすり寝てしまった。

「ガサッ」

その音で翔太は目覚めた。

(寝てたのか)

先ほど音がしたので、回りを見渡す。しかし誰もいない。安心したように、また眠ろうとしたが、「グルルルルルッ」と動物のような声がした。閉じかけていたまぶたを開けると、一匹の狼がそこにはいた。
毛は銀色で、爪や歯がとても鋭い。翔太を威嚇していた。多分あれが魔獣なのだろう、そう確信した。
正直早く逃げたかったが、逃げたところで追い付かれてしまう。さっきまでは死んでしまうのかなぁと軽く思っていたが、実際目の前に死があるとすごく怖い。人間というのはそういう生き物なのだ。
翔太は決意し、両手でプラチナソードを持ち、立ち上がった。

(戦ったことないし怖いけど、この剣ならいける。しかも、あの魔獣は一匹だし、弱そう。俺ならいける!)

足と手が震えているが、「大丈夫」と何度も心の中で唱えていた。

「やってやるぜ」

その瞬間、その魔獣は翔太に向かってまっすぐ突進してきた。

(速い!だけどただまっすぐ進んでるだけだ。そのままこの剣で...)

プラチナソードを勢いよく縦に大振りしたが、当たった感触がなく、魔獣の姿がなくなっていた。気配を感じ、後ろを向くとそこに魔獣がいた。
距離をとろうとするが、もう手遅れだった。

「しま...っ!」

後ろに倒れてしまい、魔獣が鋭い歯を見せ、噛みついてくるのをプラチナソードで必死に押さえているがそろそろ限界だ。

(死にたくない!)

そう思い、最後の力を振り絞り魔獣の腹めがけて蹴りをおみまいした。
立ちあがり、魔獣がふらついているのを見ると、魔獣を斬った。

「うりやゃゃゃゃゃゃっ!!」

魔獣が死んでいるのを確認すると、その場に倒れこんだ。

「はぁはぁはぁ」

初めての戦いで初めて勝って、もう少しで死んでいたというのに、自然と笑みがでた。
達成感。
あの世界で一回もあじわったことのない気持ちでいっぱいだった。
だが、そう休めるのも今のうちだった。危険を察知した翔太はまた立ちあがりその光景を目にする。

「なんだよ......これ」

目に写ったのは、10、いやそれ以上の狼がいた。

(一匹でやっとなのに、こんなにいたんじゃ無理だろ)

翔太は死を覚悟した。後ろにだんだん下がっていくが小屋にぶつかった。狼は翔太を囲み、睨んでいた。

(さっきの狼の敵討ちだろうか。悪あがきはやめよう)

自然と脱力を感じ、プラチナソードが地面に落ちた。そのまま翔太も座り、最後のときをまっていた。



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