勇者の冒険(仮)

あべこー

いつも通りの日常


収穫祭が終わり普段通りの日常が訪れる。
コンコンッ

「こんにちは。元気?」

扉を叩く音とともに、茶髪の女性が訪ねてきた。村長の娘、エルザだ。

収穫祭が終わってからも相変わらずエルザの通い妻は続き、平穏な日常を過ごしていた。
晴れて、俺たちの関係は婚約者だ。婚約者って日本じゃほとんど聞かない言葉だけど、彼女みたいなもんかな。

こういうのは、がっついたりすると嫌われるってよく言うよな。気をつけないとな。うん。

いつものように畑で取れた野菜とボアの肉のスープを調理するエルザ。
そんな彼女の姿をぼーっと眺めているとなんだか無性に愛おしく感じる。

エルザは料理に集中している。
俺はゆっくりと彼女の背後に忍び 寄り、優しく背中から抱きしめた。

「はぅッ」

エルザが謎の甲高い声を上げる。

「ご、ごめん。でも、いつも俺のためにいろいろやってくれてうれしいなって思ってたらつい……」

俺は、言い訳して謝りつつも両腕はエルザの腰に回している。
細いくびれは容易に腰に手が回り、彼女固有の匂いを感じる。
なんか、スッゲーいいな。女の子ってこんなに、か細くて柔らかいんだな。


「もう……。甘えんぼさんね。私の旦那様は」

エルザはあきれながらも、身体の力を抜いた。
しばらく沈黙が流れ、エルザが口を開いた。

「そういえば、お父さんから聞いたわ。領主様に税を払うように言われてるんだってね」

「いや、まぁその……。ダンジョンを攻略すれば税を免除してくれるという話で……」
「そう。その件が片付くまでは、婚姻の儀もできないわね。税を納めない人となんて結婚できないもの」
な、なんだってー!?村長め、余計なことを……。と思ったが至極当然のことである。
その後、エルザは「離して」と冷たくあしらう口調で俺をはねのけた。
くそう……。エルザとイチャイチャラブラブな生活を送るために、さっさとダンジョン攻略しなければ。
ケイスケは新たに決意を固めるのであった。
翌日、村長が俺を訪ねてきた。
「よう、ケイスケ。この間の件だが……」
どうやら、領主が言っていたダンジョンの件のようだ。
村長の話によると、ダンジョンは100年前から存在し、かなり強い魔物が出現するようだ。先々代の領主はダンジョン周辺に守備隊を配置し、ダンジョンから魔物を出さないよう食い止めていたようだ。
ここ10年くらいはダンジョンから魔物がまったく出てこないことから守備 隊の数を大幅に減らしたが、あるとき大多数の魔物がダンジョンからあふれ出て、討伐にあたったが、かなりの損害を被ったらしい。
「それで、お前さんにそのダンジョンに入って攻略してもらいたいそうだ」
村長の説明を、なんとなく聞き流す。
「前にも言いましたけど、税の免除と引き換えにぜひやらせていただきます。それで、場所はどこなんですか」
俺の承諾を確認したことで村長は安心した様子を見せる。
「やってくれるか。場所はこの村から南に馬車で1時間のところにある領主の別荘のそばらしい」
そうか。わざわざ、ダンジョンのそばに別荘を建てて、守備隊の休憩所としても使っているのかもしれないな。
「わかりました。すぐにでも向かいます」
「あぁ、明日の早朝 にちょうど行商人が領主の別荘まで行くそうだから、その護衛を兼ねて、行ってくれ」
俺は快く返事をし、明日に備えて準備をすることにした。


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