勇者の冒険(仮)

あべこー

神さまってホントにいたんだ


俺は何もない白い空間にいた。そして目の前には長いひげを生やした老人が立っていた。俺は確かに列車にひかれた。身体が砕けるような痛みが走り、それからここに正座していた。タイムラグが全くないのである。

「気がついたようじゃな」

目の前の老人が話しかけてくる。

「あなたは誰ですか……?」

「わしは世界を支配する者。君らの言葉では神と呼ばれておる」

「神様……ですか」

俺は目の前の状況を飲み込めずにいた。だが、一つだけわかることがある。俺は死んだんだ。あの痛み、間違いない。それから神様を名乗る老人から状況を説明された。

「なるほど、俺は確かに死んだけど、生き返らせてもらえるんですね?」

神様の説明によると良いおこないをして死んだ者には、記憶を持ったまま生き返ることが許されるらしい。

「そうじゃ、ただし生き返る場所はこちらで指定させてもらう。元の世界へ戻るのはほぼ不可能だと思ったほうがいい」

「そうですか……」

少し残念な気持ちになった。つまらない人生だと思ったけどやっぱり父や母、友達がいないところというのは寂しいものだ。

「まぁ座れ、これから行く世界について説明する」

神様が杖をかかげるとテーブルとイスが現れ、座るよう促してきた。

俺は「失礼します」と一礼し、イスに座る。

「これから君が行く世界は、いわゆる剣と魔法の世界だ」

俺は説明を聞いて心躍った。なんと、魔法が存在する世界らしい。ゲームの中だけかと思っていたが 実際にあったんだな。

だが、同時に不安もよぎった。魔法が存在するということは、文明レベルや治安がどうなのか分からない。つまり異世界に行ってまた死にました、ではこちらとしても困るわけだ。

「君の心配もよくわかる。特別にあっちの世界に行ってもそれなりに生きていける能力を授けよう。ただし、それには条件がある」

「ホントですか! 条件って何ですか?」

条件があると言われたが魔法のある世界へ行けるならどんな条件でも飲むぞ。
俺はすでに胸に期待を膨らませていた。

「あっちの世界には魔物がいてな、その魔物の数を減らしてもらいたい」

「魔物退治ですね。戦える力をいただけるならやらせてもらいます。俺が生きていく世界ですからね。いずれにしろ無関係ではいられないと思いま すから」

「ほう、やってくれるか、それはありがたい」

どうやら、神様と利害が一致したようだ。

「では、君に力を与えよう」

神様は俺の頭に手を当て、なにかぶつぶつと唱え始めた。
それと同時に自分に力があふれるのがわかった。


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