邪神使徒転生のススメ
37.約束
 「ここが王都か…人、多いな」
 「ですね」
 「…当たり前だよ。ここはこの世界でも有数の都市なんだから。それにこの間も言ったでしょ。ここはこの国の女神教と邪神教の中間の位置にあるの。だからどっちの教徒もいるの。……まあもう少しで《金龍祭》があるから、っていうのもあるけど」
 そういえばそんな話を聞いた気がする。
 それにしてもこんなに人が多いの久しぶりだから人混みに酔いそうだ。レイゼルの街はこんなに人はいなかったからな。
 「よし、とりあえずミレイアのご両親が住む家、探しに行くか」
 ここも不動産屋みたいなのあるのかな?まあ無いとどうやって家買うんだよ、って話だけどな。
 「…マヤが不動産屋探せばいいじゃない。便利なスキル持ってるんだから」
 あ、そっか。忘れてた。
 「んー………あった。よし、行くか。皆俺に付いてきて」
 一番近い不動産屋は歩いて十分ぐらいの所にあった。
 「ごめんくださーい、住める家探してるんですけど、どこかいい所無いですか?住居予定者は二人なんですけど」
 「いらっしゃいませ。そこのエルフのご夫婦ですか?」
 「はい、そうです」
 店員さんよく分かったな。
 「それならいい場所がありますよ。王都の東区、森の近くに一軒あります。自然豊かでエルフの方なら気に入られると思いますよ」
 「おお、それはいいな。森の近くなのは嬉しいな」
 「そうね。森の近くだとすごい落ち着くから嬉しいわ」
 どうやらミレイアのご両親にも好感触のようだ。一回内見したらすぐ買えるかもな。
 「内見なさいますか?もし気に入られたらその場で契約も可能ですよ」
 「是非お願いしたい」
 お気に召したようだ。そういえば…
 「あの、その家がある場所ってどの辺にあるんですか?地図があると有難いんですが」
 「場所はこの辺りですね。ここは王都の入り口の南区ですね」
 なるほど………ちょっと、試してみるか。
 「………時空の覇者よ、我の為に門を開け、全ての空間を歪曲させよ。《ワープ》」
 さっき見た地図とスキルの場所把握を用いて座標を確定。すると────
 「よし、成功だな」
 目の前に一軒の家があった。場所把握で確認するとさっき地図で示された家の場所だった。近くには木が茂っており自然豊かだ。
 「転移魔法、出来たな」
 「「「「「…………………」」」」」
 皆目を丸くして家を見ていた。
 「あ、あの…マヤさん、これは、どういうこと、ですか……?」
 ミレイアが一早く立ち直って質問をした。それでもまだ動揺してる様子に見えた。
 「転移魔法だよ。出来るかなーって思ってやってみたんだけど、出来たな」
 これで大分移動が楽になったんじゃないか?やったな。
 「て、転移、魔法だなんて、見たことがない……!」
 「……これは、長年生きてきたがこんな体験は初めてだ…」
 「私もです…」
 「…………………」
 あー…そういえば転移門で大分驚いてたから、もしかしてこれってすごいことしちゃったか?
 「…マヤ、今のどうやってやったの?私にも教えて、今すぐ、早く…!」
 おおう、シェイがいつもと比べものにならんぐらい積極的だ。心なしか少し顔も火照っている。もしかして自分が使えないから悔しいのか?
 「何か、自分の下に門みたいなのをイメージして場所把握と地図で場所を確定させてからそこに向かって門を開く、そんな感じだな」
 「…なるほど、門………。確かにそうすれば………」
 シェイが自分の世界に入ってしまった。放って置こう。
「まあ転移魔法のことはいいですから早く内見しましょうよ。この家で合ってますよね?」
 「は、はい。では、此方へどうぞ…」
 まだ動揺してる店長さんが案内する。
 家は平屋で3LDKとなっていた。二人で住むには十分な広さだろう。ご両親も大変気に入っておられた。
 「ここならしっかり暮らせそうだな」
 「ええ、そうね。シェイさんに感謝だわ」
 「…………………はっ。…いえいえお気になさらず」
 やっと帰ってきた。
 その場ですぐに契約書にサインをしてこの家はネーデ家となった。
 「…ふんっふっふっふん、ふっふふのふー」
 「シェイが鼻歌歌ってる…。珍しい…」
 今はミレイア達は日用品やらを買いに行っており不在でその間俺とシェイが家の掃除をすることとなった。勿論不動産屋が定期的に掃除していたが前回掃除してからそこそこ経っていたようで埃がちらほら見えていたのだ。
 そうしたらシェイが鼻歌を歌いながら箒で床を掃いていた。もしかして掃除好きなのか?いや、でも物はよく散らかすし…どっちだろ。
 「あ、そういえば」
 「…?どうしたの?」
 「シェイさあ、ミレイアを追ってきた奴らに呪いを掛けたって言っただろ?呪いって何なんだ?魔法とは違うのか?」
 あの時は色々あって話を聞けないままでいたのだ。呪いのこと。
 「…呪いは、他にも呪詛って呼ばれることもある呪術。魔法とは違って正規の手順が存在する。しかも邪神教じゃないとこれは使えない。多分マヤも頑張って練習すればすぐ使えるようになるよ。でも、あんまり使うのは推奨しないよ。殆どの呪いは人命に関わってくるから」
 なるほどな。要は使い方だよな、重要なのは。
 「シェイは迷わず使ったんだな」
 まあ俺でもしてたとは思うけど。使えたらな。
 「…当たり前。あんな奴らあれでも足りなかったと思ってる。………でも、ミーちゃんが止めてくれなかったら危なかった。私も死ぬところだった」
 「え?どゆこと?」
 「…私、自分に呪いを掛けてるの。能力は『人を殺めたら自分も絶命する』っていうやつ。昔、人をいっぱい殺しちゃったから、その戒めでこの呪いを掛けた。次、人を殺したら私も死ぬ。それがせめてもの償いだと思ってる。………自己満足だとは思ってるけど」
 自分に呪詛を掛けてたのか。まあシェイは今でも昔に人を殺したことを悔やんでるもんな。自分が死ぬような呪いを掛ける程、人の事が大切なんだろう。今まであんまり昔の話は聞いてこなかったけど、今度聞いてみようかな。大体は想像できるけど。
 「なるほどな…。じゃあ間違ってもシェイが人を殺さないように、俺とミレイアが見張ってないとな」
 「……うん。これからも私のこと、ずっと、見張っててね。約束だよ」
 「ああ、約束だ」
 これでシェイと離れることは無くなったと考えていいだろう。ずっと一緒だからな。
 「ですね」
 「…当たり前だよ。ここはこの世界でも有数の都市なんだから。それにこの間も言ったでしょ。ここはこの国の女神教と邪神教の中間の位置にあるの。だからどっちの教徒もいるの。……まあもう少しで《金龍祭》があるから、っていうのもあるけど」
 そういえばそんな話を聞いた気がする。
 それにしてもこんなに人が多いの久しぶりだから人混みに酔いそうだ。レイゼルの街はこんなに人はいなかったからな。
 「よし、とりあえずミレイアのご両親が住む家、探しに行くか」
 ここも不動産屋みたいなのあるのかな?まあ無いとどうやって家買うんだよ、って話だけどな。
 「…マヤが不動産屋探せばいいじゃない。便利なスキル持ってるんだから」
 あ、そっか。忘れてた。
 「んー………あった。よし、行くか。皆俺に付いてきて」
 一番近い不動産屋は歩いて十分ぐらいの所にあった。
 「ごめんくださーい、住める家探してるんですけど、どこかいい所無いですか?住居予定者は二人なんですけど」
 「いらっしゃいませ。そこのエルフのご夫婦ですか?」
 「はい、そうです」
 店員さんよく分かったな。
 「それならいい場所がありますよ。王都の東区、森の近くに一軒あります。自然豊かでエルフの方なら気に入られると思いますよ」
 「おお、それはいいな。森の近くなのは嬉しいな」
 「そうね。森の近くだとすごい落ち着くから嬉しいわ」
 どうやらミレイアのご両親にも好感触のようだ。一回内見したらすぐ買えるかもな。
 「内見なさいますか?もし気に入られたらその場で契約も可能ですよ」
 「是非お願いしたい」
 お気に召したようだ。そういえば…
 「あの、その家がある場所ってどの辺にあるんですか?地図があると有難いんですが」
 「場所はこの辺りですね。ここは王都の入り口の南区ですね」
 なるほど………ちょっと、試してみるか。
 「………時空の覇者よ、我の為に門を開け、全ての空間を歪曲させよ。《ワープ》」
 さっき見た地図とスキルの場所把握を用いて座標を確定。すると────
 「よし、成功だな」
 目の前に一軒の家があった。場所把握で確認するとさっき地図で示された家の場所だった。近くには木が茂っており自然豊かだ。
 「転移魔法、出来たな」
 「「「「「…………………」」」」」
 皆目を丸くして家を見ていた。
 「あ、あの…マヤさん、これは、どういうこと、ですか……?」
 ミレイアが一早く立ち直って質問をした。それでもまだ動揺してる様子に見えた。
 「転移魔法だよ。出来るかなーって思ってやってみたんだけど、出来たな」
 これで大分移動が楽になったんじゃないか?やったな。
 「て、転移、魔法だなんて、見たことがない……!」
 「……これは、長年生きてきたがこんな体験は初めてだ…」
 「私もです…」
 「…………………」
 あー…そういえば転移門で大分驚いてたから、もしかしてこれってすごいことしちゃったか?
 「…マヤ、今のどうやってやったの?私にも教えて、今すぐ、早く…!」
 おおう、シェイがいつもと比べものにならんぐらい積極的だ。心なしか少し顔も火照っている。もしかして自分が使えないから悔しいのか?
 「何か、自分の下に門みたいなのをイメージして場所把握と地図で場所を確定させてからそこに向かって門を開く、そんな感じだな」
 「…なるほど、門………。確かにそうすれば………」
 シェイが自分の世界に入ってしまった。放って置こう。
「まあ転移魔法のことはいいですから早く内見しましょうよ。この家で合ってますよね?」
 「は、はい。では、此方へどうぞ…」
 まだ動揺してる店長さんが案内する。
 家は平屋で3LDKとなっていた。二人で住むには十分な広さだろう。ご両親も大変気に入っておられた。
 「ここならしっかり暮らせそうだな」
 「ええ、そうね。シェイさんに感謝だわ」
 「…………………はっ。…いえいえお気になさらず」
 やっと帰ってきた。
 その場ですぐに契約書にサインをしてこの家はネーデ家となった。
 「…ふんっふっふっふん、ふっふふのふー」
 「シェイが鼻歌歌ってる…。珍しい…」
 今はミレイア達は日用品やらを買いに行っており不在でその間俺とシェイが家の掃除をすることとなった。勿論不動産屋が定期的に掃除していたが前回掃除してからそこそこ経っていたようで埃がちらほら見えていたのだ。
 そうしたらシェイが鼻歌を歌いながら箒で床を掃いていた。もしかして掃除好きなのか?いや、でも物はよく散らかすし…どっちだろ。
 「あ、そういえば」
 「…?どうしたの?」
 「シェイさあ、ミレイアを追ってきた奴らに呪いを掛けたって言っただろ?呪いって何なんだ?魔法とは違うのか?」
 あの時は色々あって話を聞けないままでいたのだ。呪いのこと。
 「…呪いは、他にも呪詛って呼ばれることもある呪術。魔法とは違って正規の手順が存在する。しかも邪神教じゃないとこれは使えない。多分マヤも頑張って練習すればすぐ使えるようになるよ。でも、あんまり使うのは推奨しないよ。殆どの呪いは人命に関わってくるから」
 なるほどな。要は使い方だよな、重要なのは。
 「シェイは迷わず使ったんだな」
 まあ俺でもしてたとは思うけど。使えたらな。
 「…当たり前。あんな奴らあれでも足りなかったと思ってる。………でも、ミーちゃんが止めてくれなかったら危なかった。私も死ぬところだった」
 「え?どゆこと?」
 「…私、自分に呪いを掛けてるの。能力は『人を殺めたら自分も絶命する』っていうやつ。昔、人をいっぱい殺しちゃったから、その戒めでこの呪いを掛けた。次、人を殺したら私も死ぬ。それがせめてもの償いだと思ってる。………自己満足だとは思ってるけど」
 自分に呪詛を掛けてたのか。まあシェイは今でも昔に人を殺したことを悔やんでるもんな。自分が死ぬような呪いを掛ける程、人の事が大切なんだろう。今まであんまり昔の話は聞いてこなかったけど、今度聞いてみようかな。大体は想像できるけど。
 「なるほどな…。じゃあ間違ってもシェイが人を殺さないように、俺とミレイアが見張ってないとな」
 「……うん。これからも私のこと、ずっと、見張っててね。約束だよ」
 「ああ、約束だ」
 これでシェイと離れることは無くなったと考えていいだろう。ずっと一緒だからな。
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