邪神使徒転生のススメ
33.作戦
 「…そのエルフ達がどうしたの?」
 ミレイアが下を向いて顔を青ざめている中、シェイが代表して訊ねた。
 『簡潔に言おう。精霊達を人質にしてミレイア達を誘き出す様に言われている』
 「……っ!」
 「…なるほどね。もしかして私達をここに誘い入れたのは故意?」
 『ああそうだ、済まない』
 「でも魔力霧ってので俺達は迷ったんだよな?」
 『我々は各属性の専門家と言っただろう?つまり魔力との親和性も高く魔力であれば動かすことは苦でもないんだ』
 そういうことか。まあそれはいいとして…
 「ミレイア、大丈夫か?」
 「…えっ?あ………はい、大丈夫…です」
 とてもじゃないが大丈夫そうには見えない。顔を青くして無理して笑ってる。いつもの眩しい笑顔じゃない。
 ……訊き方、間違えたな。大丈夫か、って聞いたらミレイアが無理して大丈夫そうに振る舞うって分かってたのに。
 『済まないが我々は取り引きに応じようと思う。我々も仲間の命は大切でね』
 「…それは仕方ない。教えてくれただけでもありがたい」
 「………申し訳ありません、私のせいで……精霊の方達が……」
 『いいや、キミは悪くないよ。悪いのはあのエルフ達だ。キミがどういう立場なのかはキミを見れば分かる。エルフ達が追う理由もね。だがキミはこの世に生を受けたれっきとしたエルフだ。そこまで自分一人で背負うことはない。それに、今は仲間がいるのだろう?』
 「え…………?」
 「なあシェイ、今すぐそのエルフ達ぶっ倒しに行っていいか?」
 「…私も今すぐ行って自分達が何をしようとしているのか分からせたいところなんだけど待ち伏せが分かってるならその時叩けばいい。徹底的に」
 『ほら、血の気が多いやつがいるじゃないか』
 いやさ、だってシェイを追ってきてる奴らだぞ?シェイを傷付けようとしている奴らには苛ついて当然だろ?シェイも表情には出てないけど腸が煮えくり返る思いだと思う。何か黒いオーラ見えてるし。
 「お二人共……ありがとうございますっ………!!」
ミレイアが目尻に涙を浮かべながら今度はいつもの、ミレイアらしい眩しい笑顔を浮かべた。
 ああ、やっぱりミレイアには笑顔の方が似合うな。
 「…うん、気にしないで?私達にはどれだけ迷惑掛けてくれても大丈夫だから」
 「そうだぞ。何たって数少ない邪神使徒が二人もいるんだからな」
 『おや?マヤも邪神使徒なのかい?』
 あれ?言ってなかったか。
 「そうだぞ」
 『なるほど…。それなら何も問題はないだろう。明日の作戦について話し合おう』
 イルネーブの話によるとエルフ達は先に転移先の精霊の里の外にいるという。人質…もとい精霊質はそのエルフ達の近くにいるらしい。その精霊達は二人程のエルフが監視しているという。ミレイアが追われていたエルフは少数だったが仲間と合流したようで十人以上はいるらしい。
 作戦は単純だ。精霊達を見張ってるエルフを叩いて精霊達を取り返す。その後で存分に他のエルフ達を攻撃する。
 その肝心の見張りのエルフを倒す方法何だけど…アレを使えば倒せる事に気付いたのでそれで行く。
「よし、行くか」
 「…そうだね」
 「……はい」
 作戦を立てた次の朝、俺達三人は転移門に向かうべく空き家を後にした。
 「三人共、こちらだ。着いてきてくれ。」
 昨日最初にあった場所でイルネーブと合流して転移門があるという里の奥に来た。
 「これが転移門ってやつか……」
少し大きめのサイズを想像してたんだけど当てが外れたようだ。転移門は人がギリギリ通れる程の高さの門で一目見ただけでは転移門とは思わないだろう。
 「じゃあ転移するよ。私の後に続いてくれ」
 「分かった」
 イルネーブの指示に従いイルネーブの後を歩き門を潜る。門を通る瞬間、空間が湾曲されたように音を立て景色を変えていった。
 「…ここは、さっきとは違う場所だね。ほんとに転移したんだ…」
シェイの言う通り周りを見ると違う景色が広がっていた。イルネーブ達がいた里が明るい森だとするとこちらは暗い森、と表現するのが正しいだろう。日があまり射し込まず暗い風景が広がっている。
 「…………マヤ、今はエルフ達はここを見ていない」
 「分かった。じゃあシェイ、ミレイアのことよろしくな」
 
 「…うん。マヤも充分気を付けてね」
 「マヤさん…どうかご無事で……」
 「ああ、すぐに精霊達を助けて帰ってくるよ」
「マヤ…あいつらをよろしく頼む」
 イルネーブも先程までの凛とした表情ではなく不安を覗かせる、心配そうな顔をしていた。
 「ああ、じゃあ行ってくる」
 「────闇影術式」
 
 ミレイアが下を向いて顔を青ざめている中、シェイが代表して訊ねた。
 『簡潔に言おう。精霊達を人質にしてミレイア達を誘き出す様に言われている』
 「……っ!」
 「…なるほどね。もしかして私達をここに誘い入れたのは故意?」
 『ああそうだ、済まない』
 「でも魔力霧ってので俺達は迷ったんだよな?」
 『我々は各属性の専門家と言っただろう?つまり魔力との親和性も高く魔力であれば動かすことは苦でもないんだ』
 そういうことか。まあそれはいいとして…
 「ミレイア、大丈夫か?」
 「…えっ?あ………はい、大丈夫…です」
 とてもじゃないが大丈夫そうには見えない。顔を青くして無理して笑ってる。いつもの眩しい笑顔じゃない。
 ……訊き方、間違えたな。大丈夫か、って聞いたらミレイアが無理して大丈夫そうに振る舞うって分かってたのに。
 『済まないが我々は取り引きに応じようと思う。我々も仲間の命は大切でね』
 「…それは仕方ない。教えてくれただけでもありがたい」
 「………申し訳ありません、私のせいで……精霊の方達が……」
 『いいや、キミは悪くないよ。悪いのはあのエルフ達だ。キミがどういう立場なのかはキミを見れば分かる。エルフ達が追う理由もね。だがキミはこの世に生を受けたれっきとしたエルフだ。そこまで自分一人で背負うことはない。それに、今は仲間がいるのだろう?』
 「え…………?」
 「なあシェイ、今すぐそのエルフ達ぶっ倒しに行っていいか?」
 「…私も今すぐ行って自分達が何をしようとしているのか分からせたいところなんだけど待ち伏せが分かってるならその時叩けばいい。徹底的に」
 『ほら、血の気が多いやつがいるじゃないか』
 いやさ、だってシェイを追ってきてる奴らだぞ?シェイを傷付けようとしている奴らには苛ついて当然だろ?シェイも表情には出てないけど腸が煮えくり返る思いだと思う。何か黒いオーラ見えてるし。
 「お二人共……ありがとうございますっ………!!」
ミレイアが目尻に涙を浮かべながら今度はいつもの、ミレイアらしい眩しい笑顔を浮かべた。
 ああ、やっぱりミレイアには笑顔の方が似合うな。
 「…うん、気にしないで?私達にはどれだけ迷惑掛けてくれても大丈夫だから」
 「そうだぞ。何たって数少ない邪神使徒が二人もいるんだからな」
 『おや?マヤも邪神使徒なのかい?』
 あれ?言ってなかったか。
 「そうだぞ」
 『なるほど…。それなら何も問題はないだろう。明日の作戦について話し合おう』
 イルネーブの話によるとエルフ達は先に転移先の精霊の里の外にいるという。人質…もとい精霊質はそのエルフ達の近くにいるらしい。その精霊達は二人程のエルフが監視しているという。ミレイアが追われていたエルフは少数だったが仲間と合流したようで十人以上はいるらしい。
 作戦は単純だ。精霊達を見張ってるエルフを叩いて精霊達を取り返す。その後で存分に他のエルフ達を攻撃する。
 その肝心の見張りのエルフを倒す方法何だけど…アレを使えば倒せる事に気付いたのでそれで行く。
「よし、行くか」
 「…そうだね」
 「……はい」
 作戦を立てた次の朝、俺達三人は転移門に向かうべく空き家を後にした。
 「三人共、こちらだ。着いてきてくれ。」
 昨日最初にあった場所でイルネーブと合流して転移門があるという里の奥に来た。
 「これが転移門ってやつか……」
少し大きめのサイズを想像してたんだけど当てが外れたようだ。転移門は人がギリギリ通れる程の高さの門で一目見ただけでは転移門とは思わないだろう。
 「じゃあ転移するよ。私の後に続いてくれ」
 「分かった」
 イルネーブの指示に従いイルネーブの後を歩き門を潜る。門を通る瞬間、空間が湾曲されたように音を立て景色を変えていった。
 「…ここは、さっきとは違う場所だね。ほんとに転移したんだ…」
シェイの言う通り周りを見ると違う景色が広がっていた。イルネーブ達がいた里が明るい森だとするとこちらは暗い森、と表現するのが正しいだろう。日があまり射し込まず暗い風景が広がっている。
 「…………マヤ、今はエルフ達はここを見ていない」
 「分かった。じゃあシェイ、ミレイアのことよろしくな」
 
 「…うん。マヤも充分気を付けてね」
 「マヤさん…どうかご無事で……」
 「ああ、すぐに精霊達を助けて帰ってくるよ」
「マヤ…あいつらをよろしく頼む」
 イルネーブも先程までの凛とした表情ではなく不安を覗かせる、心配そうな顔をしていた。
 「ああ、じゃあ行ってくる」
 「────闇影術式」
 
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