邪神使徒転生のススメ
31.精霊種
 二人でミレイアからお叱りを受けた後、朝食を食べてテントを片付けてから王都に向けて出発した。
 「今日はどの辺りまで行くかなー。」
 「…理想は王都までにある三つの村の最後の村に着くことかな。」
 「ハサミ村、ですよね。」
 「…そうそう。ミーちゃんは行ったことあるの?」
 「追われている時に少しだけ寄りました。休憩程度でしたけど。」
 「…ここから大体100km程の所にあるから頑張って歩こう。」
 「了解だ。まあちょっとゆっくりでも大丈夫そうだな。」
 「私も頑張りますっ!」
 ミレイアが笑顔で答える。
 うーん、可愛い。よし頑張ろう。
 「……どうすんだ?」
 「あはは……」
 「…どうしよう。」
 俺達は今道無き道を慎重に歩いていた。
 平たく言おう。迷った。
 「もう来た道も分からなくなってるから戻るのも無理そうだし…。」
 「周りは岩とか木とかで目印になりそうなのもありませんでしたしね…。」
 「…ごめん、二人とも。」
 「いや、シェイだけの責任じゃない。俺もよく確認せずに進んでたからな。」
 とはいえ、これからどうするかは考えものだな。最初は森の付近を歩いていたんだが気が付くと中に入っていたらしい。
 場所把握を使えば分かるか?
 …………駄目だ。俺が今探知できる場所には村とか集落とかは無いみたいだ。
 場所把握が使えないとなると本当にどうしようもない。
 「えーと、マヤさんのスキルで場所把握?っていうのありませんでしたか?」
 「今使ってみたんだが俺が探知出来る範囲には人も村も町もない。」
 「そうですか…。」
 「………ねぇ、二人とも。」
 「どうした?」
 「何か、聞こえない?」
 シェイに言われ耳を澄ましてみると微かに音が聴こえてきた。
 「……ほんとですね。何か歌のようなものが聴こえます。」
 そう、歌だ。誰かが森で歌ってる。でも場所把握に反応はしなかったぞ。
 「とりあえず…行ってみるか。」
 「…そうだね。」
 「今は他に手がかりもありませんからね。」
 歌が聴こえる方に歩いて行くと段々とはっきりと歌が聴こえるようになってきた。
 「何だかさっきより道が開けて来ましたね。」
 「確かに。さっきは草の上とか歩いてたけど今はちゃんと地面歩いてるしな。」
 「…この歌……どこかで……。」
 「どうしたんだ?」
 「…いや、何かこの歌聞き覚えがあるような気がして…。まあ気のせいかもしれないから気にしないで。」
 シェイはこの歌聴いたことあるのかもな。でもこんな森の中みたいな所で聴くことなんてあったのか?
 歌が聴こえる方に進んでいたある時、突如歌が聴こえなくなった。
「おやおや、これは珍しいお客さんだね。」
 歌が止み少しすると翠色の長い髪を持った凛とした佇まいの女性が姿を出した。可愛いというよりは綺麗系な感じだな。
 「あの…貴女は誰、ですか?」
 「私かい?私はイルネーブ。この森に住んでいる精霊種の長だ。歓迎するよ、キミたち。」
精霊種?この人って前にシェイが言ってた精霊なのか?にしては人間にしか見えないけど…。
 「あの…俺、精霊のことあんまり知らないんですけど…。精霊ってどんなものなんですか?」
 「マヤさんご存知ないんですか…?精霊種と言えば人生で会えない人が殆どだと言われてる程珍しい種族ですよ。」
 「確かに私達精霊種はあまり人族と関わることはないからね。」
 女性────イルネーブさんが肩をすくめながら答える。
 「私達精霊種は人族に比べると数が少なくてね。その中でも小さい集団で行動しているんだ。精霊種は人間や魔族、エルフが使う魔法を司っている象徴なんだ。火、水、風、土、雷、聖、闇。簡単に精霊種とは何か、と言われたら各属性の専門家だ、って答えたら間違いはないかな。」
 ふむん、なるほど。精霊は個体によって専門としている属性があってそれらに秀でているということか。
 「イルネーブさんはどの属性が専門なんですか?」
 「私は風だよ。風属性はこういう森とか、逆に何も無い平原などで好んで生活をしているんだ。」
 「あと…さっき歌ってた歌はどういう意味があるんですか?」
 ミレイアがずっと気になっていたのか質問した。
 「ああ…あれかい?あれは私の趣味だよ。私は歌うのが好きでね。暇があればさっきの様に歌っているんだ。」
 「へえ、そうなんですか。すごい綺麗な歌声だったからまた聴きたいです。」
 「ははっ、キミは褒めるのが上手いな。お世辞でも嬉しいよ。あと敬語はよしてくれ。普通にしてもらって構わないよ。」
 「そうか、それなら遠慮なく。」
 あとお世辞でもなんでもないけどな。すごい良い歌だったからな。
 「そう言えば俺たち自己紹介してなかった…。俺は天魔魔夜。よろしくな。」
 「私はミレイア・ネーデです。よろしくお願いします。」
 「……………………………。」
 「久しぶりだね、シェイ。」
 「え、シェイ知り合いだったのか?」
 「……まあね、随分会ってなかったから歌だけじゃ思い出せなかった。………久しぶり、イブ。」
 「またキミと会えて嬉しいよ。」
 「…うん、私もだよ。何年ぶりになるかな?」
 「そうだね…。多分、十年ぐらい前だったと思うよ」
 え?十年前?
 ていうかシェイに年齢聞いたこと無かったけど見た目通りの年齢じゃないのか?見た目は俺と変わらないぐらいなんだけども…。
 「…確かにそのぐらいだったかもしれない。元気にしてた?」
 「ああ、元気も元気だよ。誰一人として欠けることなく過ごせてるさ。…キミのおかげでね。」
 「…そう。それは良かった。……私は大したことはしていない。みんなが頑張っただけ。」
 ふむ、よく分からないが何か過去にあったっぽいな。まあそれはまたの機会にでも聞ければいいか。
 それよりも今はシェイの年齢について知りたい……。
 「今日はどの辺りまで行くかなー。」
 「…理想は王都までにある三つの村の最後の村に着くことかな。」
 「ハサミ村、ですよね。」
 「…そうそう。ミーちゃんは行ったことあるの?」
 「追われている時に少しだけ寄りました。休憩程度でしたけど。」
 「…ここから大体100km程の所にあるから頑張って歩こう。」
 「了解だ。まあちょっとゆっくりでも大丈夫そうだな。」
 「私も頑張りますっ!」
 ミレイアが笑顔で答える。
 うーん、可愛い。よし頑張ろう。
 「……どうすんだ?」
 「あはは……」
 「…どうしよう。」
 俺達は今道無き道を慎重に歩いていた。
 平たく言おう。迷った。
 「もう来た道も分からなくなってるから戻るのも無理そうだし…。」
 「周りは岩とか木とかで目印になりそうなのもありませんでしたしね…。」
 「…ごめん、二人とも。」
 「いや、シェイだけの責任じゃない。俺もよく確認せずに進んでたからな。」
 とはいえ、これからどうするかは考えものだな。最初は森の付近を歩いていたんだが気が付くと中に入っていたらしい。
 場所把握を使えば分かるか?
 …………駄目だ。俺が今探知できる場所には村とか集落とかは無いみたいだ。
 場所把握が使えないとなると本当にどうしようもない。
 「えーと、マヤさんのスキルで場所把握?っていうのありませんでしたか?」
 「今使ってみたんだが俺が探知出来る範囲には人も村も町もない。」
 「そうですか…。」
 「………ねぇ、二人とも。」
 「どうした?」
 「何か、聞こえない?」
 シェイに言われ耳を澄ましてみると微かに音が聴こえてきた。
 「……ほんとですね。何か歌のようなものが聴こえます。」
 そう、歌だ。誰かが森で歌ってる。でも場所把握に反応はしなかったぞ。
 「とりあえず…行ってみるか。」
 「…そうだね。」
 「今は他に手がかりもありませんからね。」
 歌が聴こえる方に歩いて行くと段々とはっきりと歌が聴こえるようになってきた。
 「何だかさっきより道が開けて来ましたね。」
 「確かに。さっきは草の上とか歩いてたけど今はちゃんと地面歩いてるしな。」
 「…この歌……どこかで……。」
 「どうしたんだ?」
 「…いや、何かこの歌聞き覚えがあるような気がして…。まあ気のせいかもしれないから気にしないで。」
 シェイはこの歌聴いたことあるのかもな。でもこんな森の中みたいな所で聴くことなんてあったのか?
 歌が聴こえる方に進んでいたある時、突如歌が聴こえなくなった。
「おやおや、これは珍しいお客さんだね。」
 歌が止み少しすると翠色の長い髪を持った凛とした佇まいの女性が姿を出した。可愛いというよりは綺麗系な感じだな。
 「あの…貴女は誰、ですか?」
 「私かい?私はイルネーブ。この森に住んでいる精霊種の長だ。歓迎するよ、キミたち。」
精霊種?この人って前にシェイが言ってた精霊なのか?にしては人間にしか見えないけど…。
 「あの…俺、精霊のことあんまり知らないんですけど…。精霊ってどんなものなんですか?」
 「マヤさんご存知ないんですか…?精霊種と言えば人生で会えない人が殆どだと言われてる程珍しい種族ですよ。」
 「確かに私達精霊種はあまり人族と関わることはないからね。」
 女性────イルネーブさんが肩をすくめながら答える。
 「私達精霊種は人族に比べると数が少なくてね。その中でも小さい集団で行動しているんだ。精霊種は人間や魔族、エルフが使う魔法を司っている象徴なんだ。火、水、風、土、雷、聖、闇。簡単に精霊種とは何か、と言われたら各属性の専門家だ、って答えたら間違いはないかな。」
 ふむん、なるほど。精霊は個体によって専門としている属性があってそれらに秀でているということか。
 「イルネーブさんはどの属性が専門なんですか?」
 「私は風だよ。風属性はこういう森とか、逆に何も無い平原などで好んで生活をしているんだ。」
 「あと…さっき歌ってた歌はどういう意味があるんですか?」
 ミレイアがずっと気になっていたのか質問した。
 「ああ…あれかい?あれは私の趣味だよ。私は歌うのが好きでね。暇があればさっきの様に歌っているんだ。」
 「へえ、そうなんですか。すごい綺麗な歌声だったからまた聴きたいです。」
 「ははっ、キミは褒めるのが上手いな。お世辞でも嬉しいよ。あと敬語はよしてくれ。普通にしてもらって構わないよ。」
 「そうか、それなら遠慮なく。」
 あとお世辞でもなんでもないけどな。すごい良い歌だったからな。
 「そう言えば俺たち自己紹介してなかった…。俺は天魔魔夜。よろしくな。」
 「私はミレイア・ネーデです。よろしくお願いします。」
 「……………………………。」
 「久しぶりだね、シェイ。」
 「え、シェイ知り合いだったのか?」
 「……まあね、随分会ってなかったから歌だけじゃ思い出せなかった。………久しぶり、イブ。」
 「またキミと会えて嬉しいよ。」
 「…うん、私もだよ。何年ぶりになるかな?」
 「そうだね…。多分、十年ぐらい前だったと思うよ」
 え?十年前?
 ていうかシェイに年齢聞いたこと無かったけど見た目通りの年齢じゃないのか?見た目は俺と変わらないぐらいなんだけども…。
 「…確かにそのぐらいだったかもしれない。元気にしてた?」
 「ああ、元気も元気だよ。誰一人として欠けることなく過ごせてるさ。…キミのおかげでね。」
 「…そう。それは良かった。……私は大したことはしていない。みんなが頑張っただけ。」
 ふむ、よく分からないが何か過去にあったっぽいな。まあそれはまたの機会にでも聞ければいいか。
 それよりも今はシェイの年齢について知りたい……。
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