邪神使徒転生のススメ

黒イライ

10.加護とシェイ

 しばらく魔法の練習をしたところ、もう魔粒子を出さなくてもそのまま魔法を発動させられるようになった。
 心配していた魔力制御もコツをシェイに教えてもらいながらスパルタ特訓を受けたおかげである程度制御できるようになった。
 今後魔法を使う度に鬼のようなシェイを思い出して震え上がりそうな気もする。

 「ただ、聖属性の魔法だけは使えなかったな。」

 「…仕方ない。邪神使徒は邪神の力を最も多く与えられる《仕事ラボロ》。邪神は闇属性の力が強いから真逆の聖属性は使えない。女神使徒も闇属性は使えないから。」

 そう。聖属性だけ使用することが出来なかった。こればっかりはこの世界の女神教、邪神教で分かれているのが原因だ。
 女神教の力をより多く与えられる《仕事》程聖属性適性は高く、闇属性適性が低い。
 逆に邪神教、つまり俺やシェイは全く聖属性適性は無いが、代わりに闇属性適性が異常に高い。

 魔法なら何でも使うことが出来ると思ったらそういう訳では無いらしい。誰でも魔法適性はあるんだけど闇属性と聖属性は邪神教寄りだったら闇属性、女神教寄りだったら聖属性が使えるらしい。

 「…でも、聖属性が使えない分、闇属性はとても強力だから大丈夫。一般人だと到底追いつけないレベルの力はあるから。邪神様の加護も付いてるし。」

 「邪神の加護?」

 「…うん。人それぞれ加護の種類は違うけど邪神使徒や女神使徒は加護を受けているはずだよ。」

 加護か。でも確かシンラって俺達に干渉するのダメじゃなかったか?

 『そうですねー、確かに私達邪神と女神は基本的には干渉してはいけませんね。』

 (うおっ!びっくりした!全部聞いてたのか…。)

 『ふふっ。私、セイラと遊ぶ時以外は暇なのでずーっと魔夜さんのこと見てましたよー。』

 (…邪神って案外暇なんだな。)

 『ま、まあそんなことはさておき。先程の話ですけど、邪神使徒の加護に関していえば、その世界に存在する事としてあるので邪神と女神の介入もある程度は認められています。』

 (ある程度ってのはどの辺ぐらいまでなんだ?)

 『んー、そうですねー。世界のパワーバランスを崩さない程度なら大丈夫だと思いますよ。』

 (ちなみに俺はこの世界だとどのぐらい強いの?)

 『まだレベルが低いので何とも言えないですけど、レベルを上げていけば間違いなく世界トップレベルになれますよ。』

 (マジか。俺最強になれんのか。)

 強くなれるんなら楽に生きれるだろうし、早く強くなりたいな。

 『焦ってはダメですよ。焦ったら危険ですから。気をつけてくださいね?』

 (…はい、わかりました。ゆっくり自分のペースで頑張ります。)

 『はい!頑張ってくださいね。シェイさんの言うことはちゃんと聞くんですよ?』

 (シンラはシェイの事知ってるのか?)

 『もちろんです。邪神使徒になる人は私と関わりがあって私が邪神使徒にしたいと思わなければなれないものですから。』

 (そういうもんなのか。自然となることってないのか?)

 『無いですね、邪神使徒と女神使徒は私達が選ばないとなることは絶対有り得ません。』

 (でも、邪神使徒って強いけど女神教?ってとこから危険視されてるんだろ?シェイを勝手に邪神使徒にして良かったのか?)

 『……それに関しては許可…というわけではないですけど、シェイさん、前の《仕事ラボロ》が嫌いだったんです。だから《仕事》が変わった時も本当に喜んでいましたし。』

 (その《仕事》ってどんなやつか聞いていいのか?)

 『……すいません。これはシェイさんのプライバシーにも関わるので言えません。もし気になるならご本人から聞いてください。これは私からは言えません。』

 まあ、それはそうだよな。分かってたけど一応聞いてみただけだからな。

 「……?どうしたの、マヤ?急に黙り込んで。」

 流石に無言が長すぎたか。

 『では、魔夜さん!これからも頑張ってください!見守ってますから!』

 (おお。ありがとな、シンラ。)

 「ああ、悪い。ちょっと考え事しててな。」

 「…へぇ。マヤって考え事するんだ。バカなのに。」

 「ちょっとシェイさん?滑らかに悪口を言うのやめてもらえませんか?」

 こいつはまだ俺のことをバカだと思ってたのか。ひどいな。

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