いじめられっ子は、異世界で幸せに

藤色

10



「おい、お嬢ちゃん。そろそろ王都へ着くぜ。起きろ。」
「ん……。あ!は、はい…。おはようございます。…わぁ…!」

 目を覚ますと、馬車の中だった。
 ちょっと体が痛いけど…これくらいならなんてことない。
 それに…、

(朝なのにとってもにぎやか!都会ってやっぱり、田舎とは全然違うな…!)


「おう、おはよう。…もしかしてお嬢ちゃん。王都は初めてか?」
「はい…。お恥ずかしながら…。」
「そうかそうか。じゃあ入学試験日までまだ日付けがあるし、王都で少し遊んでから行くといいよ。王都は広いからな。…あっ!よかったら一緒に遊んで行くか?実はちと早くつきすぎて、ヒマだったんだ。」
「えっ……!いいんですか…?」
「おうよ!お嬢ちゃんは俺の恩人だしな!」
「じゃあ……お言葉に甘えて……。」

(あぁ……世の中にはなんて優しい人がいるんだ……!)

 ちょうどあと三日、どうしようかと思っていたところだ。
 優しい商人さんがいるなら安心だ。


「あ!でも…、どこに行くんですか?」

 王都と言っても広い。王都に初めて来た私には、遊び方が分からなかった。

「とぉっても良いところだ。だけど、ここからは歩かないと行けなくてね。ついてきてくれるかい?」
「もちろんです!」

(とってもいいところなんて、楽しみだなぁ…!)

 私はわくわくしながら馬車を降りる。
 優しい商人さんに連れられて、ひと気のない細い道を歩く。

「お嬢ちゃん、体調は大丈夫かい?あと少しで着くけど、辛くなったら言うんだよ。」
「私は全然大丈夫です!商人さんこそ、体調はいかがですか?」
「俺も全然平気さ。それどころか、絶好調だ!」

 商人さんは笑って言う。

(しばらくひと気のない道だったから、私を元気づけてくれたのかなぁ?優しい人だなぁ……)

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