努力は才能、才能は堕落

ゆーD

第16話『研修旅行編』



「今から転移魔法で目的地に向かうが、この研修旅行は決して甘いものではないことを今一度認識してほしい。
 魔法は便利なものだがそれだけではない。
 わかったらゆっくり目を閉じて集中しなさい」
 今挨拶したのは闇光の創設者でこの学校の理事長であるお義父さんこと南芳樹だ。
 
 そして今の言葉でやはりこの研修旅行は別の目的があると確信する。
 何をするかまではわからないが調査しておくだけ損は無いはずだ。

「それでは行くぞ。『ゲート』起動」

 そして学園から綺麗な砂浜へと景色が変わる。
 ゲートは魔法ではなく魔術の面が大きくあらかじめ陣を書いておく必要がある。
 つまり学園とこの砂浜は陣が埋め込まれていることになる。
 一人で移動する時は『テレポート』という中級魔法があるためゲート自体あまり使われないのだが大量の人物を一気に送るときには『門』が最適なのである。
 ちなみに『テレポート』は座標指定のため計算が大変重要になってくるがそれが出来てしまえば行ったことのない場所にすら簡単に行けることができる。
 『門』はあらかじめ陣を書く必要があるため行ったことのない場所には行くことは出来ないが多くの人や物を運ぶことが出来るし消費魔力が『テレポート』に比べると極端に少ない。
 そのため時間があれば『テレポート』よりも『門』の方が使われる場面が多いが面倒くさがりの魔法士は『テレポート』ばかり使うため一概にどれがいいとは言えない。

「加藤、理事長のさっきの言葉どう思った?」
「理事長の?そんなもんただ気をつけろってことじゃねえのか?」
「んなわけあるか、どうもこの研修旅行は本来の目的から逸れてる気がする。
 Sクラスの皆にそこまで心配はしていないがやはりAクラス以下の生徒は正直に言って不安しかない。
 なにもないといいがなにかあったらみんなと協力して闘ってくれ」
「大虎、お前が言うならやってやるぜ!
 ただ俺も戦闘面では圧倒的に長けてるわけではないから結局はみんなを頼ってしまうだろうけどな」
「いやそれでいいんだよ。頼ってダメなら俺に頼れ。
 勝てない奴でも気合でなんとかしてやる」
「心強いこった!あぁ、任せとけ!」
 加藤はあの裏実技訓練施設の件からなにかと頼られることが多くなって体術やら支援魔法の運用法など詳しく教えている。
 藤堂はあくまで武器を変えるというだけだったため個人のやり方でやった方がいいということで自己鍛錬を中心にやっていてもしどうしても上手くいかなかったら俺のところに来てくれとだけ伝えておいた。
 
「大虎、そういえば先生があとで部屋に来てって言ってた」
「ああ伝えてくれてありがとう。美瑠香」
「いえ、大したことじゃないから」
 この少女の名前は如月美瑠香。魔術の基礎を築いたともに言われる如月家の次女である。
 風になびくその長い黒髪は今の風景とマッチしていてとても魅力的だ。
 スレンダーな体型をしていていつも冷静かつ沈着に行動を起こしてくれる頼りになる存在だ。
 ちなみにステージ7の初期といったところで水の応用魔法である氷が得意な魔法士だ。


「大虎、これどう思うにゃ?」
「にゃ、とか痛いからやめろって言ってるだろ?しかもその猫耳も。ちなみにその水着はいつ着替えたのかわからないがよく似合ってる」
 そしてこのにゃとか言ってしまううえに猫耳までつけてしまう痛い少女は小桜侑。
 小桜家といえば魔法界ではかなり有名の権力を持っていて礼儀を重んじる家だ。
 そして礼儀を重んじる家から育った侑がこんなにおかしくなってしまった理由を聞きたい。
 ただ容姿に関しては完璧という他ない。
 軽くウェーブがかかった栗色の髪は白のフリルビキニに良くあっていてそれでいて胸が強調されているため目のやりどころに困る。
 そればかりかくびれも凄ければ全てが黄金比といえば伝わるだろうか?
 恐らくこの侑の性格を知らなければ100人いたら100人が惚れるだろう。
 この性格を知らなければの話だが。大事なことなので二回言いました。

最近は加藤、藤堂、美瑠香、侑と一緒にいることが多い。
 加藤と藤堂は男子の中核を担ってくれてる面もあるためすごい助かっているし美瑠香と侑はお互いの性格が真反対なためとても良い納得のできる意見が出されることも多くこの二人にもかなり助けられている。

 
 ちなみに俺は何をしているかというとSクラスの指導がメインだ。
 裏実技訓練施設の件以降なにかと教えを乞われることが多くなって改良方法、訓練方法などさまざまなことを教えている。
 たまに熱くなりすぎてしまうこともあって『Sクラスの鬼教官』という嬉しくない二つ名までついてしまった。

 俺の教えもあってかステージランクで敵を判断することもなくなってきてすぐさま魔力を読み取る動作をするあたりはなかなかだと思う。
 長年ついた癖を直すのはかなり大変なことだと自負してるからだ。

 だがあくまで1年生Sクラスがその行為をしているだけで他の学年や他のクラスがこの行為をすることはまずないだろう。
 それほどに根強く印象がついてしまっている。
 いずれは全生徒がステージランクで判断するのは自殺行為であるということに気づける日が来るかもしれないと期待する大虎であった。



 そしてこの砂浜に来てからかれこれ数時間立つわけだが未だ目立った動きはない。
 他の生徒は水着を着て海で遊んだり土魔法を使って砂浜に馬鹿でかい城を作ったりしている。
 その城後々どうすんだよ・・・・・・。

 一方で大虎はほとんどこの状況を楽しむことなく警戒に徹していた。
 島の全容はほとんど掴めたが依然として警戒は怠れない。
 相手が『テレポート』でこの島まで来る可能性も否定出来ないし船で堂々と来るかもしれない。
 保険はかけてあるがそれはうまく機能するかわからないし現状うまく飲み込めてるのは自分ただ一人。
 加藤にはなんとなく伝えたがあれではヒントにもならないであろう。

 死人を出すほどのものでないと思うが今回に関しては嫌な予感がする。
 戦闘面であっても生活面であっても熟練したものの感はよく当たる。
 そのため今この状況が好ましくないということを大虎が身にしみてわかっている。
 ただ相手の出方がわからない以上こちらが打つ策はもうない。


「大虎くん、宿に行くって言ってたよ」
「あぁ、ありがとう藤堂。先行っててくれ」
 警戒をしていたせいで思ったより時間が経つのが早かったらしい。

 とりあえずは宿に向かって先程の先生の話とやらを聞かなきゃならないか。
 なにやらきな臭いがそれも今は後回しだ。

 なんてったって今俺の背後に5人の敵がいるのだから。
 

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