努力は才能、才能は堕落

ゆーD

第13話



「それで何がうまくいかないんだ?」
 「そうだな。まずは我が強すぎて攻撃する奴が決まってねえな。それでいて防御はそれぞれ出来るからとかいって結局それぞれがバラバラになってしまう。現状一番悩んでるのは皆のまとまりがないってことだろうな」
「Sクラスに真面目なやつがいたろ?試合のときに俺に話しかけてきたあの女生徒。あいつならまとめられると思うんだがそれは違うのか?」
「いやおそらくあの人が一番まとめる能力がある。
 だけどあの人はこのクラスでもあまり強い方ではないからな。強い者にしかいうことを聞きたくないとか考えてる古い奴も結構いるんだよ、俺もなんとかまとめようとしてるんだがそれでも言うことを聞く奴はあまりいなくてまだまだってとこだな」
「はぁ・・・・・・そうか。お前も苦労してるんだな」



「じゃ俺が出てってやるよ。強い奴に従うってなら全員倒した俺なら認めてくれるんじゃないか?」
「その可能性はなくはないがお前が反則していたんじゃないかって話もあったし心配だな・・・・・・」
「まぁとりあえず行くだけ行ってみようぜ?俺はあまり仕切るタイプじゃないからこの件が終わったらすぐに身を引くよ」
「ああ、今回はよろしく頼むよ」

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~

「『雷滅剣』!!」「『火球』」「『龍力爆滅ドラゴニックインフェルノ』」「『水晶刃クリスタルブレード』」

「殺傷能力Aの魔法乱発すんな!死んだらどうすんだ!」


 何でこんなことになってしまったのか・・・・・・。

 

 話はほんの30分ほど前に遡る。

「おーい。お前らまとまりがないぞー」
 そう。まずこんなノリで入っていったのが間違いだった。

「お前は・・・・・・。くそっなんでお前がここにいる!」
「なんでって言われても俺がSクラスの生徒だから?」
「そういうことを言ってんじゃねえよ!しかも来ていきなりまとまりがねえとか何様のつもりだ!」
 こいつは苦手なタイプだな・・・・・・。頭ごなしに否定していって最終的には暴力に頼る、そんなタイプだろう。
 しかも緑髪のうえに剃りこみ入れてダサすぎるだろ。
 せめて青にしろ。青に。
「いやそれは事実だと思うんだ。現にお前ら集団戦闘の訓練してるはずなのに結局個々でやってるだろ?」
「うるせえ!お前に何がわかんだよ!ステージ2の低ランクのくせに!俺らにお前が勝ったのだってイカサマかなにか使ってたに決まってる!」
「んー。仮に俺がイカサマを使ってたとする。
 しかしお前らはそれに全員気づかなかった。
 しかもこの学年の最高峰であるSクラスの生徒が、だ。
 そいつらに気づかせず自分にドーピングしてたって言うなら結局は俺の実力ではないのか?まぁステージ2でドーピングの能力は使えないっていうのはお前ら自身よくわかってるはずだけどな」
「か、会長に使ってもらってるかもしれないだろ!」
「梓ならあのときは会場の結界外にいた。
 結界外からの干渉は訓練場の設定で禁止になってたはずだ。つまりすべて俺一人の力になる」
「・・・・・・っ!だけどよぉ!」

「もう辞めなよ、加藤くん。僕達は彼一人に負けたんだよ、認めたくないのもわかるけど認めることも大切だ」
 へぇこの緑髪加藤っていうのか。確かにプライドは高そうだよなぁ。

「えーっと、とりあえずありがとう。このまま喧嘩に発展しても嬉しくないからさ。名前は?」
「僕の名前は藤堂達彦。よろしくね?」
「俺の名前は神木大虎。よろしく」
「面倒だから名前で呼ぶことにするよ、ちなみに大虎のことはよく知っているよ。
 それで大虎、ここに一体なんのようだい?
 確かにSクラス専用ということで大虎も使えるのもわかっている。
 しかしこの状況で来るほど君は考えてないなんてこと無いはずだ」
「まぁ、そうだな。でも本当に興味本位って部分もあるよ。
 でも本命はこのSクラスの実力を見たかったんだよ」
「僕らの実力?」
「あぁ、このSクラスの生徒は確かにすごい実力の持ち主ばかりだ。
 そのせいか集団の戦闘を好まない傾向にある。
 まぁそれで戦闘で一番大切な自分だけの武器を失くしてしまっている」
「僕だけの武器か。確かにそうかもしれない。けど僕はそれを捨ててでも今の僕の方が強いと思っている。それは間違いではないはずだよ」
「確かに間違いではない。それで強くなるやつももちろんいる。ただそれは基礎があってこそなんだよ。
 このSクラスが基礎を出来ていないとかではなくて言ってしまえばこの学校の全生徒が基礎を出来ていない。無論俺もな」
「どういうことだい?それでは僕がやってきたことが無駄みたいではないか」
「まぁ無駄ではないが現状は無駄だな。それが証拠に今のお前なら俺は右腕一本で勝てる。足も動かさずにな?」
「それは言い過ぎじゃないかな?いくら君でもそれは無理だ」
「まぁ論より証拠だ。かかってきなよ」
「上等だよ。行くよ!」


「『テレポート』!『光剣ライトソード』!」

「ほら、そこがお前の甘いところなんだよ。起動」

「何を言ってるんぐへっああああああや、やめ、やめてくれ!」
「解除」
「・・・・・・ハァハァ、いったいどうやって僕は倒されたんだ・・・・・・」
「気付いてなかったのか。お前がこっちに向かってきた直後に俺は右腕を伸ばして挑発した。
 その挑発にお前は乗ってしまった。ここが一番の敗因だな。
 お前ほどの魔力を纏えば俺が放出したごく微量のロープ型魔力には気づくことができない。
 そしてロープがお前を掴んだ瞬間一気に締め上げて魔力をこちらに吸収した。
 ただそれだけのことだよ。
 だけどな?これが集団だったらどうだ?お前が気づかなくても周りが気づけば先ほどの攻撃は余裕で避けられたはずだ。
 そしてもし当てられたとしても誰かがあの程度の魔法は解除できるはずなんだよ。
 一緒に戦うことは決して甘えることではないし逆にそれは利点に変わる。ムカつくこともあるかもしれないがそれは誰かがカバーしてやればいい。
 強くなるには誰かの力が必要だ。一人で強くなれる奴なんていない。
 まずは人を頼ることから始めてみたらどうだ?」
 他の生徒のことも見ながら話す。
 こうすることで話はしやすいし人の心に染み込みやすい。
「・・・・・・そうだね、それじゃもう一試合いいかな?」
「あぁもちろんいいさ」
「ありがとう。その前に加藤くん僕と一緒に攻撃に徹して欲しい。君の攻撃力はとても魅力的だ。
 そして才田くん、君には僕と加藤くんを防御結界で覆っていて欲しい。さすれば彼からの攻撃はあまり貰わないだろう。
 そして権藤さんと片江さんは支援魔法、形原くんと水上さんは回復魔法を僕と加藤くんにかけ続けてほしい。
 よろしく頼む」
 そういって頭を下げる藤堂に文句を言う生徒はいず、そればかりか次々と手伝わせてくれとの声が上がる。
 
 実にこれは・・・・・・イイハナシダナー。
 うん、かなりまずい。
 自分で焚き付けといてなんだけど彼らの支援魔法、回復魔法を受け続けながら攻撃する二人を真っ向から向かい打つとか本当に大変そうだなぁ。
 いや、少しコツを教えてみただけでここまでひどくなるとは思わなかったんだ。ほんとに。
 俺はスイッチが入らないとビビりなんだよ。
 逃げたい逃げたい、うんそうしよう。
「『透明化インビジブル』」
 
「『解散ディスペル』逃げさせないよ?」

 ええ・・・・・・。冷や汗が止まらないんですけど。

 そして先程に戻るわけだがさっき藤堂が指定したメンバーだけでなく、結局完全に団結したSクラスと戦うことになり、逃げ回るのだった。

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