努力は才能、才能は堕落
第12話
「梓おーきーろー!!!」
「・・・・・・おきてるよぉ」
「何度も謝ってるじゃん。・・・・・・ねぇ歩きながら寝るのやめよう?いくら授業の途中で起こしちゃったとはいえ今歩いてるんだよ?なんで寝れるの?」
「謝って済むなら人は寝ないの!!」
 そう。授業中に梓を起こそうとしたとき周りの人には「や、やめといたほうがいいんじゃないかな」と言われたが何のことかもわからず起こそうとしたのだが何度呼びかけても起きないので肩を揺さぶって起こしたのだがそのせいで絶賛不機嫌なのである。
 俺は悪くない。そう。俺は悪くないはずなんだ。
 なのに「大虎くんなんて大嫌い!」といってそのあともスタスタ歩いていってしまうため謝りながら後ろをつけていた。
 なぜ梓を起こさなければならなかったかというと裏実技訓練施設の場所がわからないため梓に教えてもらうほかなかったからである。
 あの施設はSクラス専用のためにAクラス以下の生徒はその存在を知らない。
 聞こうにも聞けないしそうなってしまうと起こす以外の選択肢がなかったのだ。
 
 授業が終わるまで待てばいいと思われた人もいるだろう。
 この学校の授業は3限制で1限何と3時間。そして思いたったのが授業が始まって1時間。
 2時間も待てと?さすがに無理です。
「ごめんね?今度言うこと一つ聞くから!ね?機嫌直して?」
「・・・・・・絶対だよ?言うこと一つ聞いてもらうからね!」
 その瞬間大虎は「完全に地雷踏んだ・・・・・・」そう思うのだった。
「それでなんで裏実技訓練施設に行きたいの?あそこは大虎くんが行っちゃったら結構反感もらっちゃうと思うんだけど・・・・・・」
「いや、Aクラスの生徒が必要のない魔法までデバイスに入れようとしてるのをみてもしかしたらSクラスの生徒もその無駄に気づいていないのかと思ったのが一つ。
 そしてその思い違いのせいで動きが鈍くなってる可能性があるから、かな?」
「でもいいの?それは強くなっちゃうよ?負けたら罰。わすれてないよね?」
「んーまぁそれはあまり良くないけど人がもがき苦しむ姿を見るのはあまり好きじゃなくて。それならコツの一つでも教えてそれが伸びるならいいかなって思ってさ」
「ふふ、さすが大虎くんだね~!それじゃ行こっか」
「え、手は繋がなくても・・・・・・」
 まぁ悪い気はしないけど・・・・・・。
 少し歩くとそこには大きな建物があった。
 ここは実技訓練場。全生徒がいつでも使える場所は放課後、休み時間など多くの生徒に使われている。
 そこに入ると練習している生徒に脇目も振らずこの建物内にあるエレベーターを使いそこにSクラスの生徒である証である校章を翳すとそこにはなかったはずのB2の文字が浮かび上がった。
「え?」
「大虎くんでもびっくりした?隠し扉みたいなものなんだけどね?この校章を翳しながら魔力を押し込む。この装置はそれを感知して下への道を作る。
 簡単に言ってしまうと土魔法と科学の融合かな?」
 へぇ、この学校はそんなことも応用しているのか。それは実に面白いし実戦でもかなり使える。
 味方でないなら入れない施設。それを考えるとウキウキしてくる。
 
 そして下に来るとそこは凄まじかった。
 一か月前に出たばかりの超最新の自動攻撃機はもちろん迎撃機、防衛機。
 しかも実技訓練場よりも強い結界が張られていてここで強大な魔力を放出しても気づかないうえに最上級の防御結界が張られているため壁に魔法が当たろうが傷一つつかないしホコリもつかないというわけだ。
 ここは完全にSクラス専用といった所だろうか。
 それほどまでに圧倒的な設備の整いと質の良さだ。
 ちなみに俺は隠れてみているためまだ皆にはバレていないが梓は「私もここに来たから久しぶりに思い切り打ってみようかなぁ」っていって中に入ってしまった。
 ただSクラスというだけあってレベルが違う。
 Aクラスなら十秒ほど貯めるのに必要な魔力を詠唱と共に放出している。威力も段違いだ。
 ただこいつらすべてが惜しい。
 一つ変えるだけで格段に強くなるのにその一つが間違っているせいで噛み合わなくなってしまってる。
 ああそうじゃない!こうするんだよ!
「おまえ何やってんの?」
「ああごめんなさいごめんなさい来るなと言われていましたが気になって来てしまいましたごめんなさい反省してます!!」
「いやいや、ってか顔上げろって」
「ああ、ありがとうございます・・・・・・って健介か。びっくりさせんなよ」
「いや勝手にビックリしてたのお前だろう?それでなんで来るなって言われてたんだ?確かに今は皆殺伐としているからいい空気とは言えないが別に来るなとは一言も言ってないぞ?」
「え?そうなのか?」
「ああ、確かにお前と戦って為す術もない状態で負けて悔しくて悔しくて必死に鍛錬し直して今は集団戦闘練習をやっているんだがうまく噛み合わなくてな・・・・・・。それで今空気が悪いんだよ」
「あぁそういう事だったのか。心配して損したよ」
 梓の奴絶対とっちめてやる。そう思う大虎だった。
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