努力は才能、才能は堕落

ゆーD

第3話


「あ、ちなみに今抜けるという方いたらあそこで見ててくださいね〜」
 誰も行かないが俺は問答無用で観戦ゾーンへいく。
 今誰も気付いてないかもしれないがこの空間にはあらかじめ仕掛けがしてある。
 その名も『空間斬撃エアスラッシュ』。

「あ、忘れてました!1年生で生徒会にはいった神木大虎くん!あなたは強制参加です」
「ふざけんなああああああああああ!!」

今日2度目の悲鳴はここで響くのだった。


 そして戦いは始まったがもちろん皆『空間斬撃』のことに気づいていないためどこから攻撃されているかもわかっていない。
 そしてCクラス500人、Bクラス300人、Aクラス180人と皆が会長さんと副会長さんにやられていく。
 もちろんこの二人は一歩も動いていないし時々魔法を使ってるふうに手を動かしているが実は何もしていない。
 皆が勝手に『空間斬撃』に触れ勝手に怪我しているだけだ。

 そしてこのSクラス25人で挑むこととなったがこのSクラスなんといっても我が強く連携など取れる気がしないうえに高威力の魔法を連発するせいで近くに寄りたくても寄れない。
 そのせいでAクラスより酷いこととなっていてもう半分以上が倒されている。
 俺は『空間斬撃』に触れないよう後ろの方で時々くる流れ弾を避けながら観戦している。

 そしてついに俺以外の生徒全員が倒され会場には俺と会長さんと副会長さんの3人が立っていると結果になっている。
 1年次生代表みたいな感じで嫌だが本当にただ立っていただけで何もしていない。

「大虎くん来ないの?」
 会長さんがこちらに笑いながら話しかけてくる。
「そうですね、行くとしても僕が今たっている場所以外ほとんど『空間斬撃』が施されていて動きたくても動けないって言うのが本音ですかね?」
 会場がまたもざわめく。それはそうだろう。自分たちはまともな方法で倒そうとしていたのに相手はイカサマをしていたのだから。
 ただそれは言い訳にしかならない。『空間斬撃』はハマれば最強の技となるがその実とてもわかりやすい。
 空間に一瞬でも歪み、反射があった時点でそこは『空間斬撃』エリアだ。
 それに気づかず突っ込んでいくのはバカがやることだと俺は思う。
「やっぱり気づいてたんだね~、だから観戦しようとしたんでしょ?」
「当たり前でしょう、殺傷難易度Cの魔法だからって血が出れば痛いんですよ、痛いものは避けて通りたいものですね」

「じゃ『空間斬撃』解除したらまともに戦ってくれるの?」
「嫌です。こんなとこで手の内晒したくないので」
「ふふ、ますます合格だね!貝田くんどう思う?」
「ん?いいんではないか?この勝負になった時点で我々の勝ちは決まっていたのだし」
「違うよ!生徒会入会条件!また寝てたでしょ!」
「あぁそうかすまんつい寝てしまった。うん、この仕掛けに気付けたのなら君は合格だ」
「え?でも溝上さんのところでも書類かかされましたけどあれはなんですか?」
「あれは早苗ちゃん専用の試験ね、でこれは生徒会本試験ってことになるかな?でもとりあえず入会おめでとうございますってことだね!みんなに自己紹介でもどうぞ?」
「あぁわかりました。生徒会に加入することになりました神木大虎、Sクラスですけどステージ2です。よろしくお願いします」

 今日何度目かの会場のざわめきが起こる。
 俺も人並みの耳を持ってるため様々な声が耳に入る。
 ステージ2の出来損ないだのあらかじめ聞かされてただのすごい言いがかりだな。
 まぁそれもそのはずでここにいる生徒は基本的にステージ5以上だ。
 ステージ5はこの学校では最下位だが他の学校に行った場合間違いなく最上位の方に位置するだろう。
 そんな奴らが負けてステージ2の俺がたっているこの状況は受け入れ難いことだと思う。
 
「会長!納得行きません!このステージ2の奴はただ立っていただけ、会長たちに恐れをなして動けなかったに決まっています!」
 こいつはステージ6の奴だろう。上手く魔素が練り合わされている。
 その声に感化されてそうだそうだ!との声が会場を埋め尽くす。
「でも『空間斬撃』を見破っていたのは彼だけではないの?あなたはわからずに私たちに挑んできた。仮に彼がすくんで動けなかったにしてもこの状況は動かない方が正解。まぁそんなことはなかったでしょうけど」
 そこで溝上さんが一般的な正論を述べる。
 ただそれは余計だ。ただでさえ信じられない状況なのにステージ2に劣っている、そう思わされるだけで彼らの精神は大きなダメージを受ける。

「そ、それでしたら私とこのステージ2で決闘をさせていただけませんか?」
「うん、不満があるならそうしようか」
 うん、おかしい。明らかに俺の意見が反映されていない。それどころか聞かれてもいない。おかしい、おかしすぎる。

「あの、会長さん僕に辞退っていう権利はないんですか?」
「本来ならあるけど会長権限で今はなしにすることにした!」
 うん、この人天然自己中だ。しかも会長権限とか職権乱用過ぎる。
「あ、ちなみにさっきと同じ方式でやるからね」
 みんなの目が一気に恨めしくなったのが俺でもわかる。
「はぁ・・・・・・」
 俺は今日何度目かのため息をつくのだった。



次回戦闘回です。

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