憂鬱日和

飯田三一(いいだみい)

5話 面黒い

いや全く、君は面黒い人間だね。
 
どちらの意味かって?

どっちでもあるよ。
どっちでもあるから君はやっぱり、面黒い。
 

俺は、面白い人間でいたかった。
自分でも、面白い奴だなと思える人生を踏んできたつもりだ。

ただ、今、死んだ後、神様が告げたのは「面黒い」だった。

この面黒いには、二つの意味がある。
一つは面白い。
そしてもう一つは
面白くない。
 
いやはや全く、日本人は面白い日本語を作るなぁ。

話を本筋に戻すと、俺は、人々に好かれるように、面白い人間として生きたつもりだ。
なのに、
 
俺は、不治の病にかかった。
最期の姿はとびきり不様だった。
髪は抜け落ち、身体はやせ細っていた。

死んだ歳?
21歳だ。


俺は神に大意を聞いた。
「君のような面白い人間が、こんなに早く死ぬことが面白くない。」

だが、俺はもう1度生きたいとは思えない。
神の悪戯か、不運な事も多かった。
今の神の答えで打点がいった。
本当に神の悪戯だったのだ。

暇を持て余した、神の悪い遊戯。
 
神は言った。
「もう1度生きてみる気はないかい?」
 
俺は答えた。
「誰がお前の悪戯に左右される人生を送りたいか!」
 
神は一つため息をついた。
 
床が抜け落ちた。
 

 

 
 
神は無慈悲だ。
人の生命を何とも思っていない。

当たり前だ。
 
だが、私は違う。
 
「だって、私、ついこの間まで、人間だったんだもの。」
死んですぐ、神に昇格だなんて。
ホント、ついてた。
 

彼はこれも私の悪戯だと思っているだろうが。
17歳の夏、血塗られた道路
 
君がそれを目の前で突っ立って見ていた。
その翌日からは、私の悪戯。
愛してるからこその…ね?

ね?  私  の  彼  氏   ♡

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