妹を助けようとしたら死にそうなんだが

シルク

新たな『迷宮』


「透君、集合です」

 昼休み俺が昼食に入ろうとすると優羽が話しかけて来た。

「は? 集合? どこに」

「決まっているでしょう。超常現象究明部ですよ----」



「おっ、やっと来たか木更津後輩に四宮後輩!」

「すみません部長。透君が抵抗していまして」

「いやだ! もう『迷宮』はこりごりだ!」

 俺は優羽に無理矢理部室に連れて来られてしまった。
 ていうかこいつ見た目の割に力強くね?
 部室を見回すと里香もすでに部室にいた。

「おっす! お兄ちゃん先輩」

「よし全員揃ったな。これより部のミーティングを始める」

 そう部長が切り出した

「まずは二週間前に我々は『迷宮』に挑戦。見事攻略し、『コレクション』『墓荒らし』を手に入れた」

「そういえば『墓荒らし』は今どこにあるんですか?」

「あぁ、そのことなら……」

「ここにおるよ」

 部室の奥の方から声が聞こえる。そちらに目をやると棚の上に気味の悪い人形が座っていた。

「『墓荒らし』はここで管理している」

 そうだったのか。
 というか墓のアンティークに不気味な人形ってうちの部室相当趣味悪いな。
 ここで俺はふと思いついた事を口にした。

「そういえば、部長は『笠地蔵の墓』と『墓荒らし』の他に『コレクション』って持ってるんですか?」

「うん? あぁ持っているぞ。あと一つ我々は『コレクション』保有している」

 へぇ。まだあったのか
 部長が出してきたのはただのハンカチだった。

「なんすかこれ? まさかこれが?」

「そう『コレクション』だ」

 そう言うと部長は指で輪を作りそこにハンカチを乗せた。まるでマジシャンのようだと思っていると……

「ほっ!」

 ハンカチの中から正にマジシャンよろしくステッキをとりだした!

「なっ!」

「これがこの『奇術師のハンカチ』の能力。ハンカチの中に何でも出し入れ出来るんだ」

「あぁ何でもだ」

 まるで某猫型ロボットだな。

「おっと話がそれたな。その他の報告だが、みんなも分かっていると思うが我々の他に『迷宮』を攻略している団体がいるということだ」

「あの時のローブの男の事か」

 確かにあの時あいつは報告だけはしておくといっていた。俺たちの他にも『迷宮』に挑戦している奴がいるなんて。

「まぁ、この件については今はどうすることも出来ない。皆そんなに警戒することはないだろう」

 部長はそんな事を言って笑って見せるが、警戒は怠らないようにしよう。
特に里香は『コレクション』そのものみたいな存在だからな。俺が守らないと。

「さぁ! ここからが本題だ。なんと新しい『迷宮』を見つけたかもしれん」

「なっ」  「へー」

 俺は目を見開く。里香はあまりことの重大性を理解していないようだ。呑気か。

「一体どこにあったんですか?」

「これを見てください」

 そう言って優羽は1枚の写真を差し出した。そこに写っていたのは薄暗い路地だったが……

「一体どこに『迷宮』があるってんだよ?」

 入口どころか行き止まりにしかみえなかった。

「実はですね、そこにあるマンホールなんですけど、調べたところ下には水路どころか空間さえないはずなんですよ」

「なっ、てことは」

「まぁ、十中八九『迷宮』と見て間違いないだろうな」

「てことはまさか…」

 部長はとてもいい笑顔でいうのだった。

「今日の夜にこの路地に超常現象究明部員は集合だ!」

 ひとときの平和よ、さようなら。


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