転生した閻魔様、正体を隠して高校生になる。

たい焼きの餡

1:ついにアレをする日が来た

今日も変哲のない1日が始まる、はずだった。

「ああぁーーーー!もうさすがに我慢できぬ。どうしたものか………ふふっ、ふはははは!そうじゃそうじゃ。ついにアレを実行するかの。」

そうニヤリと笑う男、こう見えて閻魔様である。


閻魔様っていうと残酷で、恐ろしい王というイメージを浮かべる人が多いかもしれないが、実際には冥界の王として死者の生前の罪を裁く神である。しかも最上位の。つまり究極の善の存在である。

神は食事も睡眠も必要としない。食事も文化も発達しないし、もちろん娯楽も何もない。

閻魔様のお仕事は、裁く裁く裁く。とにかく裁く。村人から神様までバリエーション豊富だ。
だが、神である閻魔様でもさすがに3000億年も同じことをしていると飽きてきて耐えられなくなるようだ。

だから閻魔様はこの100年を使って計画した。
自分自身を異世界転生させることを。
異世界に行けばさすがに仕事をやれやれとうるさい眷属たちも追ってこないだろうし、
それに転生してしまえば容姿も変わるし神としての魂の格も抑えられるだろう。

まず、どの世界に転生するかだ。
魔法の溢れる世界、超能力のある世界、生き物のいない世界、などなど数え切れないくらいある。

その中で閻魔様は「地球」を選ぶことにした。地球には人知を超えるものを存在させない力が働いている。
つまり最上位の神の力を持つ閻魔様にとってもってこいなのだ。
神の気配も消せるし、ついうっかり力を使ってしまっても大きな被害はでないだろう。
さらに保険として、戦いのない平和な日本にする事で「ついうっかり」の可能性をなくしたわけだ。
他にも、この100年間で思いつく限りの保険をかけておいたが、まぁ、それは後々話そう。

「とりあえず、転生するのじゃ!!」

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