アクアリウムの思い出

ノベルバユーザー133681

3話

大井くんの第一印象はチャラい。髪の毛はワックスで少し逆立て、制服は着崩している。ほのかに香水の香りもした。外見にはかなり気を遣っているのが想像できた。私はあんまり慣れてない人とだと話せないのだが、なぜか彼は始めから話しやすかった。

それからクラスでもよく話すし、予備校でも会えば話していた。連絡をとり合ったりということはしなかった。話す内容は、やっぱり勉強のことが多かった。模試の結果が悪かっただとか、古文の先生の雑談が好きだとか。結構他愛ない話が多かった。

彼と話す時間はなんだか心地よくて、特に予備校で会えるのを楽しみにしていた。思い返してみると、私は会った時から彼に惹かれていたんだと思う。

4月の終わりに学校の校外学習があった。行き先はディズニーランド。15時くらいまでクラスの班で行動してその後は自由時間。私は、由依の2年生の時のクラスの友達だった河田理沙と林美南とも一緒に行動するようになっていた。自由時間もこの5人で回っていた。

受験を気にせず遊べる貴重な時間だったので思いっきり遊んだ。最近は結構追い込んでいたから…

日も落ちて暗くなってきた頃お土産を見るためにお店に入った。
そこで大井くんが女の子と2人でいるのを見かけてしまった。

「あ、よう!」
向こうから話しかけてきた。彼はなぜか私を名前で呼ばない。
「彼女さん?」
「あー、うん、 そう」
「そっか、お幸せにね」
「おう、さんきゅ」
 
大井くんに彼女がいたことは想像以上にショックだった。所属している陸上部のマネージャーと今年に入ってから付き合っていたらしい。
ショックは受けたけど、別に恋愛感情は持っていなかったつもりだからそんなに影響はなかった。彼との話に彼女のことを聞くのが加わっただけだった。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品