双子の大神

緋想山 黒乃

序章 出逢い

やしろからは、少しの笑い声が漏れていた。
這入りはいりずらくねェか?」
疲れた様子の紅は、漆に云った。少し考え漆は、私から這入る、と云い社に近づいた。障子しょうじに手を掛け、スパン、と良い音を立てながら開けた。社の中に居た人達は驚いたまま、静かに成った。
「談笑中済まない。龍王様は御在宅か。」
威圧を含みながらに云うと、後ろから紅がくびを掴み云った。
「済まねェ。俺達は怪しいモンじゃァ無い。大神だ、何て云っても判らねェと思うが、まァ良い。龍王さんは居るかい?」
紅が笑顔を見せると子供達は警戒を少しは解いたらしく、御爺様おじいさま、と一人の老人を呼んだ。如何どうした、と云いながらに来たのは白装束で、少しばかりに伸びた髪を後ろで纏めたまとめた齢八十位よわいはちじゅうくらいの老人であった。
「嗚呼、大神様でしたか。子供達や、奥の部屋で遊んでおいで。黒乃や、頼んだよ。」
小さな黒髪の少女に優しく云った。黒乃と呼ばれた子は、二人の子供を連れて奥の部屋へ行って仕舞った。

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