最弱天職でなんとか生きていきます!

黄泉津狐

3話 ダンジョン 前編

ガヤガヤ ガヤガヤ

「うわぁ〜!」

「すごいね!」

どこを見ても人だかりがたくさん出来ていて目がまわりそうだ。まさに人の波だ。

「ねえカム。まずはギルドに行かないとだよ。ご飯を食べてる暇なんてないんだからね?」

「わかったよ」

「でもレナ、俺たち場所知らないだろ?」

「ふふふ、こんなこともあろうかと地図を持ってきたんだよー」

「おぉーさすがレナだ!落としたりしてないだろ?」

「ふふふ〜………あ、あれ?無い、無い!地図が無いよー!」

「えぇーナイワー」

「うるさい!だって仕方ないないでしょ?無いものは無いんだから。聞くしかないんだよ!」

やっぱり、レナって昔っからおっちょこちょいだな。肝心な時に何か失くしたり。実は持ってたり。

「ほら、聞こう!」


たくさん人がいるのにいったい誰に聞くんだろうか?まぁいいや。おや?あれは………

「おい!ジジィ、その果物は俺のだぞ!」

「い、いや。この果物はワシのじゃ!おぬしがワシにぶつかって、その果物を取ったんじゃろうが!」

「なんだと!!このクソジジィが!調子に乗んじゃねぇ!」

男が護身用に持ち歩いているのだろうナイフを、老人に突き刺そうとした瞬間!刹那、近くにあった人影が一瞬にして男の前に躍り出た。
いつのまにかナイフを持つ男の手を抑えていた。

「どっちが悪いのかは知らないけど、暴力はダメだよ」

「なっ、なんだてめぇ!」

「通りすがりの旅人さ」キラッ

「その名をカムという」

え?誰か今僕の名前を呼んだかな?気のせい…だよね?

「ねぇ〜カム」

「なっ、レナ!名前を言わないでよ!せっかくカッコつけたのに」

「いいじゃん。カムはもともとカッコいいでしょ?(笑)」

「ねぇ、今笑ったでしょ?」

「冗談だよー」

まったくレナはいつもこうだ!でも優しいし、かわいいからな。許してやろう。上から目線やめるので睨まないでください。
あ、ごめんなさい。男の人を忘れてました。

「まあいいや。さてあなたはどうしますか?」

「あれ?ねぇカム、あれ見て」

「どれどれ、ふむふむ。最近老人の格好をした犯人の強盗があったみたいだね。」

さっきのおじいさんと顔が似てるな。

「あ、おじいさんどこに行こうとしてるんですか?」
ギクッ
「い、い、いやどどどこにも行こうとはし、してはせんよ」

「まさかおじいさんが強盗の犯人だったのか」

そこでさっきの男が近づいてきた

「そうだよ!お前らよくも邪魔してくれたな。それにリア充っぷりを見せつけやがって。デートの途中か?ったく」

「すみません。あ、あと お、俺たちはリア充じゃないですよ」

「そ、そうですよ」

「ははーん、そうか(笑)まぁいい。それよりもお前らどこから来た?ここら辺じゃ見ない顔だからわかるんだよ」

すごいな。ここら辺の人の顔、全部覚えてるのかな?俺だったら絶対無理だ。
あ、いつのまにかおじいさんが捕まってる。

「えーと、森を抜けた先の村から来ました」

「そうか。何しに来たんだ?」

「ダンジョンに入るために来ました」

「そうか。ならさっさと行け。お前の顔を見たらわかるさ。俺の名前はディートだ。ギルドに行ったら俺の名前を出せ」

「わかりました。俺の名前はカムです、こっちがレナです。」

そんなに顔に出やすいかな?直さないとなーレナにもそう言われたし。
まぁ、レナが聞いてきたみたいだし。早く行こう。




ギルドに着いた。さっきディートさんがぽつりと言っていたことが気になる。たしか、テンプレがどうのこうのと言っていたな。まぁ行けば分かるか。

「わぁ〜すごい人だな」

「ディートさんが言っていたテンプレ?があるかな?」

「まぁ行こう」



「次の方。どんな御用でしょうか?」

「ギルド登録をしたいのですが……」

不意に周りの人からの視線が集まった。

「お前みたいなガキじゃ無理だ。死ぬだけだ。嬢ちゃんもやめときな」

「ガキじゃないぞ!」

「そうだよ!あっ、そういえばディートさんの名前を出せって言われたんだった」

「なに!?ディートさんからだと?」

「先ほどディートさんから連絡が来ましたが、その方たちだったとは……すみませんでした。では登録をしますのでこちらに個人の情報を書いていただいて、こちらに血を1滴たらしていただければあとはこちらで作成しますので少しお待ちください」

こちらに近づいてくる大男がいる。
すごい絡まれる。これがテンプレなのだろうか?

「おい、ガキ!てめぇディートさんに本当に認められたのか!?」

「そうだよ!それにガキじゃないって言っただろ!俺の名前はカムだ!こっちがレナだ!」

「ちょっと喧嘩はやめようよ、カム。あなたもあまり絡んでこないでください!」

「んだとッ!クソガキがぁ!!大人を舐めんじゃねぇ!」

大男の拳がカムとレナに襲いかかる!
だが、この大男は相手にするべき人間を間違えた。カムは父親に体術を習っていたのだから。
カムは天職では負けるが、単なる喧嘩では負けない。

「わかりやすすぎっ!」

大男が振りかぶった拳をカムが手を添えるように投げ飛ばした。柔よく剛を制すとは、まさにこのことだろう。大男はギルドの外に飛んでいった。

「ふふん、父さんから学んだ体術だ!どうだ!」

周りの人達が唖然としている。その光景にレナは見飽きたと言わんばかりの呆れ顔だ。そこでちょうど登録が終わったようだ。

「カムさん、レナさん、登録が終わりました。って皆さんどうしたんですか?」

受付嬢は話を聞いた。そして受付嬢も驚きの表情を浮かべた。

「強いとディートさんから聞いていましたが、これ程とは。今投げた方は天職は戦士で、ギルドランクはVですのに。あっギルドの説明をするのを忘れてました。
ギルドではランクがあり下からI, II, III,〜と分かれていて最高ランクはXになります。そこにある依頼を受付まで持ってきてくだされば依頼を受けることもできます。主な説明はこれで終わりになります。なにか分からないことがあれば受付嬢にお聞きください」

「はい。わかりました」

ディートさんってなんかすごい人なんだな〜!俺もそうなりたいな〜!
いまだに周りの人は唖然としている。だがしかし、かまわずに出て行く。





すみません!自分で長いと思ったので急遽、前編と後編に分けました。本当にすみません。
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