44#魔城ガルガンド、ショウタVS二体の魔人＆魔神サタン

今回ちょっと長めです。ご了承ください

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ハクア、クレア達が戦っている時、翔太は魔神と睨み合っていた。


「ふっ、筋肉が強ばっているではないか。やはり貴様も恐怖は感じるらしいな」

「そりゃな、だから早めにてめぇを倒す。行くぞ魔神、アテナ様とこの世界は返してもらう！」

「やはり貴様は人間だ。こんなのにも気づかないとはな」

「っ！？」


翔太は瞬時に後ろに飛び去る。するとさっき翔太のいた所には斬撃の衝撃波と魔法陣が展開された跡が残っていた。


「流石と言ったところかぁ？」

「まぁ、当然だね」

「誰だテメェら！」

「あぁん？俺は魔人メフィスト、てめぇを倒すのさ」

「私はベルフェゴール君も私の魔法に堕ちるかい？」


おうおう、これは厄介になってきたぞ。魔人が2体と来た、悪いエレナ達、少々無茶しちまうしかないみてぇだ！


「我と戦いたくばまずはそやつらを倒すことだ。まぁ、幹部の中でもそやつらは群を抜いて戦闘力が高いがな！さぁ、醜き地のものを殺せ！」

「「はっ！」」


同時にまずメフィストが俺に向かって切りかかってくる。俺はなんとか受け止めるが突っ込んできた威力で後に吹き飛ばされる。なんとか空中で態勢を立て直し足から地面に着地する。が、飛んできた魔法をなんとか避けるのが精一杯だった。


「なるほど、今のを避けるのか。確実に殺す気で行ったのにな〜」

「俺の突撃も若干バックステップで衝撃を軽減しやがった。何者だ？」


うわぁ〜この人結構やり手の方々やん。とりあえず様子見ってのがバレたら確実に癇に障るなこれ、とりあえず2本で行くか。


「なるほど、二刀流か。片手で何かおかしいと思ったら」

「まぁ、俺の前には関係ないけどな！行くぜぇ！」


俺は魔法を避けながらもメフィストの剣をいなしていく。メフィストは型はボロボロだがその剣さばきと力は確実だ。ベルフェゴールの魔法もエレナと並ぶ一級品で、メフィストの攻撃の間に魔法攻撃を挟んでくるため非常に連携が取れており、休む暇がない。俺は大きく後ろに飛び退って距離をとる。


「ほほぅ、まさかこれも防ぐなんてね。いよいよ君は人間じゃないんじゃない？」

「どうでもいいがまさかベリアルに次ぐ俺の剣撃を防ぐとはな」

「しょうがない」

「じゃあ」

「「本気で行くぜ(行こうか)」」

メフィストとベルフェゴールの体に魔素が集まっていく。
なんでこの人達こんなにも息があってんの！？ってか本気出すつったな。んじゃ俺も本気で行くか。


「くらえ！『サタンズブレイド』！」

「これでどうかな！？『メルクリアテンプラン』！」


飛来したのは漆黒の刃と高圧の水の刃の団体様。これはやるしかねぇな！
俺は剣を交差していくつかの攻撃を耐え、一気に剣を真横に振り抜き乱舞を展開する。避けれるものはすべて避け飛来してくる刃を全て斬った。


「ちっ！ベルフェゴール、頼むぞ！」

「任せなよ。君はどんどん攻めるといい」

「さぁて、暴れるぜ！」


俺はメフィストと剣を交える。剣速はだいたい同じだが手数では俺が勝っている。俺は右手の神威で剣を弾き、左手のエンペラーで一閃するも避けられる。だから俺は右足で回し蹴りを腹に打ち込む。吹き飛ばされたメフィストを無視して飛び上がり浮遊しているベルフェゴールに2本の剣を突き立てる。障壁でガードされるが振り下ろした2本の剣によって地面に激突する。


「ゲホゲホ！な、中々だな.......」

「ま、まさか私が地に落とされるなんてね」

「おいおい、大口を叩いておいてその程度か？」


俺はエンペラーを肩に担ぎ挑発する、案外乗ってこないが。


「さて、メフィスト」

「分かってるぜ」

「「『バリンギル』！」」


同時に二体の魔法が発動する。魔法は俺の左右に展開されており、鎖が俺を捉える。


「さぁ、これでおわりだ！」

「君もここまでだね！」


おいおい、ここで終わりだって？それは大変だ、まぁ俺を舐めないでほしいがな。剣聖を舐めるなよ！


俺は力で強引に引きちぎり突っ込んでいくそして


「『メルド・エンペラー』！」


俺の剣が光り、二人を切り刻む。これは『ジ・エンペラー』の上位互換、脅威の36連撃の二刀流上位スキルである。俺は一気に二人を切り捨てる。二人は同時に灰となり消え失せた。


「ほう、あの2体を見事に倒すか.......む、貴様！その刻印は！」

「ん？これか？ほれ見せてやるよ」


サタンが目につけたのは俺の右手の甲の刻印。これは俺が剣聖になった日に魔法によって転写された刻印だ。俺は手の甲をサタンに見せるように掲げる。


「ふむ。人間離れした身体能力、並外れた剣技、そしてその刻印。フフッ、ハハハハハ！まさか貴様が現剣聖とはな！面白い！」

「別に誇ることもないと思うがな......さて、てめぇのくだらねぇ野望を滅ぼしてやるよ」

「何、貴様を倒した後にこの世界を完全に統一してやろう。そういえば、アテナも体つきがよかったな......こいつを邪神にして我が妻に迎えるか。そうすれば邪神アテナとわが子孫で世界統一も夢ではない！ハハハハハ！」


うわぁ、俺も薄々思ってたけどこいつはっきり言いやがったよ........この変態がぁ！あんな格好であんなに露出も多くて胸もでかいならそりゃ興奮するはなこんにゃろう！まぁまて、俺には4人もいるんだ、何を血迷っている。


「ま、まぁどうでもいいがてめえを倒す。それだけだ」

「さて、こいダインスレイフ」


サタンが腕を水平に掲げるとおぞましいオーラと共に細長いレイピアのような剣が顕現する。相性は最悪、と言ったところか。その時、神威が喋り出した


「しばらく見ないうちにより外道になったようだなサタン」

「ん？誰かと思えば.......はっ、神威か？なんだその姿は！貴様こそ落ちたものだな！」

「口を慎め下等悪魔が、貴様に我が姿の経緯など到底話すに及ばん。そしてここにいるのは我を認めさせた現剣聖だ。貴様では勝てん」

「ふっ、まず剣聖を倒したあとに貴様をへし折ってやろう堕落神が」


何となく神威とサタンのあいだにバチバチとちってる気がする。おお怖........
俺は神威を刀に変化させて迎撃する。
俺は『強化』の魔法で床を蹴りサタンに接近して懐に入り刀を振り上げるも、サタンは半身引いてよける。そしてダインスレイフがショウタに振り俺されるが刀の刃を這わせて右方面に促し神威を一閃するがサタンはバックステップで距離をとる。


「なるほど、少しはやるようだな」

「伊達に剣聖名乗ってないさ、さてもういっちょ！」


俺は床を蹴りサタンへと接近する。サタンも床を蹴りこちらに向かってくるため、両者剣を振り、交じり合う。硬い金属音が何度も空気を振動させ、誰もいない魔城に響き渡る。実力は両者互角かどちらかがそれ以上、戦況はすぐに動いた。


「これでも喰らえ！『ダインロード』！」

「負けるか！『メルド・エンペラー』！」


２本の刃と高速の刃が交じり合う。だかそれでも手数よりはスピードが上なようでサタンの剣は金属音とともに翔太の体にかすり傷を入れていた。翔太のクロスさせた2本をサタンの剣が受け止めるも、威力に関してはやはり2本の剣が上回るためサタンを吹き飛ばした。


「さて、これで締めるか！っ！」


翔太は1歩を踏み出そうとするも、体に力が入らない。そう、ダインスレイフの恐ろしい能力が発動したのだ。


「さてさて、さっきの攻撃は予想外だったが貴様の体は蝕まれているようだな」

「それはどういう.........」

「我がアテナを倒したのもこの剣、ダインスレイフだ。この剣は斬った相手の血を少しでも浴びると相手の体のエネルギーを奪っていく。貴様はアテナの時のように『ダインロード』をもろに食らった訳では無いからそこまで立っていられるがアテナはこれで沈んだ。今貴様のエネルギーがどんどんと削られていくのがわかるぞ！」

「ちっ、これは厳しいな。だけどまだ！」


俺は2本を携え再び床をける。だが先程よりもかなり遅めになっており振り上げた肩さえもとても重かった。


「貴様の今の剣は我には届かん。はぁっ！」

「がぁ！ゲホッ！ゲホッ！」


俺は腹に蹴りを入れられ壁際まで吹き飛ばさせる。肺の空気が一気に外に放出し、恐らく内臓器官のどこかに損傷が出たのか血反吐がでる。ついでに呼吸ができないというおまけもついて。


「まだ終わらんぞ！『ダインロード』！」

「くっ！そうは.............ぐわぁぁぁぁぁぁ！」


瞬時に接近されたサタンの技を防御しようとするが体に力が全く入らず技をもろに食らう。俺の体からエネルギーが吸われていくのが分かる。


「さぁ剣聖、こんなにも血がついてるぞ！さぁどうだ！これで立ち上がれるか！？」

「ぅ........ぁ.............ま、まだ.................おわ..........ら..................な」


俺の意識が朦朧としてくる。脳で考えられない、腕に力が入らない、口も動かせない。不思議と心臓の鼓動が聞こえてくる。俺の心臓はだんだんと鼓動を弱めていき、止まった。
その瞬間、俺の意識が落ちた。

◇

ここはどこだ？
目を開ければ知らない場所、だがどこか知ってる場所。そうだ、ここはあいつの場所。


「主よ」

「神威........俺死んだのか？」

「正確には仮死だな。心臓が動き出せば再び動き出す」

「でも動かないだろ？だって俺は体の活動エネルギーを」

「主」


俺は神威のその言葉によって喋るのを中断された。神威の瞳には覚悟がこもっていた。


「主、我と契約しないか？」

「え、契約ならとっくに........」

「ちがう、あれは剣としての我との契約だ。今言っているのはこの状態の我とだ」

「どういうことだ？」

「今の我の力は二つに分断されている。ここで喋る時に駆使する神としての我の力と、雷切などを操る剣としての我の力。今の契約とこっちの契約、2つをしないかと言っているのだ」

「........したら、どうなるんだ？」

「主は我の力のすべてを手に入れることになる。我の力はやつを簡単に撃退できる。代償として体にとても莫大な負担がかかる。慣れればいいのだが慣れるのには時間がかかるのでな、これだけは言いたくなかったが」

「.......勝てるんだな？」

「さっきから何度も言っている、我の力はやつよりも遥か上だ。負けるなど万一にもありえん」

「そうか、ならやろうか、勝つための契約を」

「いいんだな？我から持ちかけておいてなんだが後悔しないな？」

「構わない、俺はここで死ぬわけには行かない。あいつらの悲しむ顔なんてものは見させられない」

「.......了解した。我にすべてを任せろ」


そして俺の胸ぐらいしかない神威は顔を上げ俺の唇に唇を触れさせる。それは十秒にも満たない時間、体に何かが流れ込んでくる感覚がした。そして唇が離れ、神威は祈りを込めるように胸の前で手を組み、俯きながら目を閉じる。


「我、神威は轟 翔太を完全な主と認め、この力のすべてを捧げます」


その瞬間、俺の中の何かが爆発したような気がした。

◇

「ふむ、やはり剣聖ごとき我の敵ではなかったか。だがいい太刀筋だったぞ、剣聖よ。我は世界征服とアテナの汚染に戻るとしよう.........」


サタンが踵を返し王座に戻ろうとした時、絶対に聞こえないはずの声が聞こえた。


「........待てよ」

「.......っ！？なぜ貴様が立っている！ダインスレイフで確かに貴様のエネルギーをすべて奪ったはずだ！..........まぁいい。ならこれで沈め！『デビルナイトメア』！」


サタンの水平に上げた右手から紫の魔法陣が展開され、黒い球体が翔太に向かって放たれる。その球体は翔太を包み込むが一瞬にして消滅した。


「何っ！？我が闇魔法を生身で弾いただと！？」

「貴様は何もわかっていないようだな。今の主は神の肉体も同然、貴様の下級魔法などいくら擦っても火がつかない薪と同じだ。無駄だとわからんか？」

「ならもう1度その力も奪うまでだ！『ダインロード』！」


サタンは数秒で翔太と距離を詰め高速で剣を振るが、初撃が翔太の肩をかすろうという時、翔太は人差し指と中指でダインスレイフの刀身を受け止めた。


「なんだと！」

「だから無駄だと言ったろう？」


神威の言葉が終わり俺は瞬時に懐に侵入して腹部に拳を叩き込む。そして間髪入れず回し蹴りでサタンを吹き飛ばした。


「がはぁ！何故だ！貴様どうしてそんな力を........」

「なに、契約しただけだ」

「契約だと！？」

「今から見せてやる。我、神と契約せし」

「我、契約に応じ神託を与えん」

「「融合開始リンクスタート」」


俺は右手を水平にあげ言葉を紡ぐ。そして二人の声が重なった時、約100はあるだろう光の魔法陣が俺を半円状に包み、その円周を回転している。数秒の後、回転している魔法陣が煌めき出し、やがてサタンを光に包み込んだ。


光が収まった後サタンが見たもの、それは人間と神の心を通わせた姿。オールバックになった黄色の髪は肩まで伸びており、マントを羽織り、軽装備を施した全身黄色の姿。周りには魔素同士が共鳴し、黄色になった魔素があたりを覆い尽くしている。


「主の心音、脈拍、思考状態、安定。異常なし」

「き、貴様まさか神と契約したというのか！？」

「さっきも契約しただけだと言ったろ？まぁ無駄話はここまで。行くそ魔神、覚悟はいいな？」

「貴様ごときが私に勝てるものか！」


サタンが床を蹴り俺に向かってくる。だが俺も床を蹴り一瞬でサタンの懐に潜り込み蹴り上げる。そこから追撃で先にサタンが来る位置に移動しかかと落としを食らわせる。そしてまたも追撃で今度は下に降りて回し蹴りを打ち込む。その後俺がサタンをことごとく追撃し、休む暇も与えずに最後に床に叩きつけた。俺はバックステップで一旦距離をとって警戒する。サタンの体は打撲痕があちらこちらに出来ていた。


「........はぁ.........はぁ。貴様.........！」

「なるほど、これが神の力ってやつか。こりゃいいね〜いつしか自由に使えるようになりてぇもんだ」

「おのれ！おのれ貴様！」

「さて、そんじゃ行くぜ！」


俺は2本を携え一気に距離を詰める。剣を振り上げるが即座に反応したサタンはダインスレイフを横にして防ぎ反撃に出る。


「『ダインロード』！」

「今度こそ負けない！『エンペラー・オプティマス』！」


高速の剣に対して64撃の二刀流最上位スキル『エンペラー・オプティマス』。単純に見れば高速の剣が上だろうが今回は訳が違う。圧倒的に速さ、力、剣さばきは翔太が上だ。
2つの技はぶつかり合いながらも翔太がかすり傷を追わせる形で上を行っていた。そして、振り下ろされた2本の剣を耐えるために防御に使われたダインスレイフは粉々に砕け散った。


「何！？ダインスレイフが！！！」

「これでどうだ！『双雷切・天墜刃』！」


それは本来であれば禁忌の技。だが今自由に操れる翔太にとっては関係の無いこと。翔太の剣が光り、乱舞を展開する。どんどんとサタンに傷跡がついていく。


「うぉぉぉぉぉぉ！」

「なっ、なんなんだこの力はぁぁぁぁぁぁぁ！！」


最後の2本の振り下ろしがサタンの両肩を切り裂く。その瞬間、サタンが光に包まれ大爆発を起こす。だがそれはヘラクレスの時の比ではなく、威力はその三倍と言ったところだろうか。城の天井に大きな穴が開き、黒い雲に覆われた空が見えるようなになった。煙が晴れ辺りがしっかりと見えてくるようになるが、やつは立っていた。


「なっ、まだ立ってやがるのか！」

「くくく......ハハハハハ！まさか切り札を使わされることになるとはなぁ！この力で貴様も、この城も、この世界も破壊してやる！」


するとサタンの体はぐにゃりぐにゃりと変形していき、気がつけば全長100メートルはあるであろう巨大な暗黒竜になった。


「グォォォオオオォォォォォ！！！」

「『アルブヘイン』！」


技が放たれたその瞬間、俺の目の前に10人の戦天使が降り立った。そしてクレアが俺の近くに降り立った。ルビーとエレナが背中から降りてきた。エミリは緑髪の天使の背中より降りてきた。


「「「ショウタ！(さん)！！」」」

「おう、無事終わったみたいだな」

「ちょっと何その格好！」

「なんかすごいわね.........」

「ぜんしん真っきっきです.........」


あれ？俺そんなに変かな？俺スー〇ーサイヤ人ではないぞ？


「いやまぁ、あとで話す。それよりもこいつだ」

「グオォォォォォォォ！」

「皆！ブレスがくるわよ！気をつけて！」


そう叫んだのは真ん中にいたおそらくリーダーらしき眼鏡をかけた美人の戦天使。だがその瞬間にサタンよりブレスが放たれる。


「エクスカリバー！」


だが、ブレスは後方からきた技によって相殺され、押し返しさらにダメージを与える。俺が後ろを向くとそこには色々と混ざったハクアが浮遊していた。


「すまない皆！遅れてしまった！見たところ..........大丈夫だな。ってショウタ！どうしたんだ！？」

「お前の方がよっぽど変だと思うぞ！？なんだよそのごちゃごちゃしたの！」

「なんだと！？これは由緒正しき騎士王と聖女の.........」

「ハイハイ二人とも、こんなところで言い合いしないの。怒らないからあいつのことを考えて」

「「はい.........」」


エレナに止められ俺らがしゅんとなる。そんな姿を眼鏡の美人戦天使は苦笑しながら見ていた。


「あなたが剣聖様のトドロキ ショウタさん？私は天翼十二議会総議長、兼王宮治療師のメタトロンよ、よろしくね♪。それでね、急だけどあれどうにかならないかしら？」

「あんたらでどうにかできないのか？」

「私達ではせいぜい動きを封じるくらい。だから何か決め手があれば........」

「分かった、皆！少しの間時間を稼いでくれ！俺の合図があったら全力でこの天井に空いた穴からアテナ様が閉じ込められて汚染されそうになってるクリスタルもって離れてくれ」

「どうするの？あんなやつを元の状態に戻すには相当な火力が必要だけど......」

「安心しろ、俺を信じてくれ。頼むぞ」


俺の目を見たメタトロンは納得したのだろう。静かに頷いた。


「皆！聞いた通りよ！ショウタさんのために時間を稼ぐわ！全員散らばって！」


再び来たブレスを避け空へ飛び立つ。俺はメタトロンの背中に乗りサタンの頭上から900ｍぐらい上の地点に神威を構え、他のみんなはサタンの引きつけてくれている。


「こっちだ！『聖人の舞』！」

「こっちもよ！『シャイニングメテオ』！」

「くらいなさい！『インドラの矢』！」


ハクア、エレナ、エミリの魔法がサタンに直撃するがほとんど無償であった。その他の戦天使達もそれぞれ魔法やスキルを発動して応戦しているが全く傷が入らない。


「くそっ！なんだこいつ！」

「あれぜんぜん効いてなくない！？」

「アズリエルさん、避けて！」

「危ないですね〜ありがとうございますエミリさん」


などそれぞれ言葉が飛び交っている、ここでだいたいチャージは50%くらい。ここでメタトロンが叫んだ。


「皆！行くわよ！！」


その声に反応して戦天使全員が手を掲げる。


「「『ヘブンチェーン』！！」」


戦天使全員で唱えたその魔法はサタンがいる位置のあらゆる場所から光の魔法陣を出現させ、その中より竜を拘束できるような鎖がサタンへと絡みつく。これによりサタンが身動きできない状態になった。


「メタトロンさん、全員を逃がして！」

「みんな聞こえたわね！誰かアテナ様のクリスタル持って逃げてね！」


俺はメタトロンの背中約高度1000ｍから飛び降りる。下では戦天使達もエレナ達が撤退していくのがわかった。にしても、自分が考えた作戦とはいえ高いなこれ........


「グォォォォァァァァァァ！！！」

「ああ、そろそろ決着だ！行くぞ！剣よ、罪を滅ぼせ！」


俺の新しい詠唱に剣の刀身はこれまでになく光り輝いていた。そして今持てるありったけの全力で剣を振り下ろす。


「『真・雷切』！！」


音もなく光が現れる。1秒後サタンを包み込み、2秒後光が凝縮し、3秒後轟音と共に大爆発が起き、極太の光の柱が発生する。


「グオオオオオオオぉぉぉぉぉぉ................」


苦痛にも満ちたその咆哮はだんだんと小さくなっていき、やがて消えた。そして落下している途中で光が収まり、元に戻ったサタンが見えた。もう動けなさそうではあるが、まだだ。


「サァタァンーーーー！！！」

「なっ！やめろ！放せ！」

「地獄の底にぃ！行って来ぉぉぉぉぉぉぉぉい！」


俺は野球選手顔負けのフルスイングで掴んでいたサタンの腕を城の床から地獄まで開通した道に投げ捨てる。勢いのまま、サタンは地獄へと落ちていく。もちろん空中なので踏ん張る所もなければ捕まる所もない。


「覚えていろ！いつかかならず............」


サタンは言い切る前に展開と地獄の境の結界を通り過ぎた。んで、肝心の俺はというと、現在落下中。恐らくこのままだと俺は結界に突っ込んで首が折れる。良くて全身骨折、悪くて死亡と言ったところだ。


「ショウタ！手を！！」

「ハクア！」


何とかハクアの手に掴まりハクアに引き上げてもらう。俺はみんなの所に帰るまでは意識を保っていたかったがそんな余裕はなく、最後に見たのはハクアのマントであった。

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