不幸な男は異世界で最強になったようです

大島 こうのすけ

33#エレナのターン

あの人たちが帰ってきた。そう、私の幼馴染、ウィル・アルスターとカルナ・マジェスだ。ウィルは私の婚約者でもある。5歳の頃に冗談で言った事が本当になって。
私はまだ結婚なんかしたくない。まだ冒険を続けたい。まだあの人と、冒険を続けたいのだ。
私は今、久しぶりに会った幼馴染と昔の思い出話、現況報告などをしていた。

「にしても、久しぶりにあったら可愛くなってるじゃないか」

「全く、カルナは相変わらず口が上手いわね。ねぇ、ウィル」

「僕もそう思うけど」

「冗談はほどほどにね」

「いやぁ、驚いたよ。僕の前職の正魔導師にエレナがなってるなんてね」

「そうだよ。2年前は王城にいたじゃないか」

「ちょっとあったのよ。気にしないの」

「にしてもあのトドロキ ショウタ君だっけ?驚いたよ。とてもガッチリしてるし目がウィルと同じなんだ。かなりの場数も踏んでるみたいだしね」

「ああ、あの子か。あの子は確かに興味があるね。明日あったら声をかけてみるよ」


私たちはその夜を楽しんだ。そして翌日


「エレナ!」

「ウィル?どうしたの?こんな街中で」

「こっち来て!」

「ちょ、ちょっと!」


私は手を引かれ路地裏に連れていかれる。何の話だろう。


「いきなりこんなことをしてごめん。でも言いたいことがあるんだ」

「え?何かある?」

「僕、ここを離れる時に言ったよね。必ず君に見合うくらいの男になって帰ってくるって」

「あ、そう言えば言ってたわね」

「だからエレナ、いや、エレナ・シルフォードさん。剣魔武闘会、優勝したら僕と結婚してください」

「.........」

「返事は今じゃなくてもいい。優勝したその日にまた聞きに来るよ」

「わ、私は!剣魔武闘会に出る!あなたが出るならカルナも出るはず!私がカルナを倒して大賢者になる!」

「っエレナ!」


私は屋敷に向かって走り出す。ショウタみたいに『移動』が使える訳では無いから。....告白された。何も言えなかった。自分の気持ちすら伝えられなかった。どうすればいいの.....私は、私は......今夜、ショウタに.....ショウタなら.......きっと


「ショウタ、私告白されたの。剣魔武闘会で優勝したら僕と結婚してくださいって」


次彼から出た言葉は「良かったな」。ショウタなら、ハクアとかエミリとかルビーとかミリアの気持ちを掴んできたショウタならわかってくれると思った。でも現実は......やっぱりそうだよね。人生うまく行くもんじゃないよね、ははっ。どうしよう.......


「じゃあね」


私は逃げだすように自分の部屋に飛び込んだ。ベッドで永遠泣き叫んでた。やっぱり人生なんか上手くいくことばかりじゃないってことがよく分かった。ならせめても、せめてもカルナに勝って大賢者になると誓った。

そうしてお父様が企画した剣魔武闘会、その日がやってきた。

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