32#開幕、剣魔武闘会

次の朝、この国全域にサイレンで知らされたことがあった。それは剣聖と大賢者が帰還したから祝福として剣魔武闘会なるものを開くという事。開催は1週間後、優勝報酬は金貨100枚らしい。ちなみに武闘部門と魔法部門で別れるらしい。
朝のがあって街はめちゃくちゃ賑わっていた。


「ショウタ、朝のこと聞いたか？」

「ああ、ミリアに起こされてからだけど聞いたぜ。参加するのか？」

「もちろんだ。お前みたいなのがいたらいいのだが......お前はどうするんだ？」

「わかんねぇ。まだ迷い中ってとこかな？」

「まぁそれも悪くないと思うぞ。しばらくはクエストに行かなくてもいい暮らしだからな。今日から少し実家に泊まってくる、わるいが伝えてお言えてくれ。それじゃあな」

ハクアはそのまま玄関を出て空へ飛び去って行った。なるほど、予想だが備えるんだな。俺はクラムさんにその旨を伝えて鍛錬に励むことにした。
にしても武闘会ねぇ......どうしよっかな〜出るも出ないも自由なんだよな。ここは見る側に徹するっていうのもありかも！？まぁ、迷っていよう。

昼頃に訓練を終え、午後からは適当に街をブラブラと歩いていた。そうしたら歩いているあの人がいた。あの人とはもちろん......


「やあ、ショウタ君じゃないか！」


おっと、先に声がかかったみたいだ。

「あ、どうも。ウィルさんもブラブラしてる感じです？そういや、もう1人の人は？」

「いやいや、これから目的があるんだ。それにあいつは僕と一緒で1セットじゃないよ。それと僕のことは呼び捨てでいいよ、敬語もなしでいい。あの無礼の詫びだ」

「んじゃ、遠慮なく行かせてもらうけど、俺のこともショウタでいいぜ」

「それじゃあよろしく、ショウタ」

「こちらこそよろしく、ウィル」

「ところで聞いたかい？朝の」

「聞いたぜ、すごいよな剣聖と大賢者って」

「いやいや、とんでもない。.....僕は参加しようと思う」

「え！ありかよ！剣聖と参加とかもう誰も勝てないんじゃ......」

「なんとか正体と力は隠すよ。あ、僕はこれで失礼するね、じゃあまた」

「おう、またな〜」

俺らは最後に握手を交わして別れた。いくらブラブラしても暇だから親方のところに行くことにした。

〜王都、親方の工房〜

「へぇ！あの剣聖と大賢者が帰ってきたのか！俺も見に行きたいな！」

「ダメですよ〜親方。ちょうど仕事入ってますから」

「るっせい！んなもん分かってるわ！願望だ願望！.....それでお前はどうすんだ？」

「俺？ん〜保留かな」

「なんでだよ！参加すればあの剣聖と戦えるかもしれねぇんだぞ！お前なら決勝まで行けるだろ！」

「特に理由ないし、それでほかたたき落とすのもなぁ......」

「まぁ、俺は見に行けないが出るなら応援するぜ。あとなんで走ってきた？」

「暇だったからかな？ちょうど夜になってるし、帰りは『移動』でひとっ飛びだから」

「お、おうそうか......それじゃあ気ぃつけてな」

「兄ちゃん！またな！」

「おうまたな。気ぃつける意味は無いけど」


俺は『移動』で屋敷に帰った。その日の夜 


「ショウタ、ちょっといい？」

「いいぜ、入れよ」


扉をノックして聞こえてきたのは元気がないエレナの声。そして入ってきたエレナはそのまま元気がなかった。


「どうしたんだ？」

「私ね、夢があるの」

「お、おう。その夢って？」

「今の私の幼馴染、が就いてる地位、大賢者になること」

「そりゃ大層だな！エレナならなれるさ！」

「ありがとう。それでね、本題はここからでね」

「どした？」

「私たちが婚約者って言うのは知ってるわよね？」

「ああ、俺も聞いてびっくりしたがそうらしいな」

「これね、建前上って言うけどお父様も公認なの。それでね、今日......されたの」

「うん？何をされたんだ？」

「告白されたの。この武闘会で優勝したら僕と結婚してほしいって」


俺は驚いた。あいつもう手を回したのか。だから急いでたんだな〜


「いいんじゃないか？」

「.......」

「だって、剣聖だろ？しかも幼馴染なんだろ？なら尚更グッドじゃんか！」

「そう.....そうよね、いいわよね。尚更......か」

「？、エレナ？」

「私ね、剣魔武闘会出ることにしたの、それだけ。じゃあね」

「っ！エレナ！？」


彼女は一瞬こっちを見てそして出ていった。いつも明るくて、綺麗な彼女の顔は涙でグシャグシャになっていた。


「.....どうしろって言うんだよ。どういったら正解だったんだ？」

「マスターは女の子の気持ちをわかっておられませんね、今日は先に失礼しまふ......」


状況を呼んで隠れていたミリアが眠り始める。俺はその後数時間考えた。その結果は
.....決めた。俺は剣魔武闘会に出る。そしてエレナの笑顔を取り戻す！
この気持ちである。