不幸な男は異世界で最強になったようです

大島 こうのすけ

08#宝剣と契約

目が覚めるとそこにいた。いや、目が覚めたと言うのだろうか、ここは真っ暗なよくわからない場所。音もなければ匂いも、風もない。そう、あの時、死んだ時の世界のように。
故に翔太は焦っていた。自分はまたも死んだのかもしれないと。


「残念ながらそれは外れだ」


聞き覚えのない少女のような声、だがどこか貫禄のある言い方、翔太は声のした方に振り返る。


「やっと気づいたか、もう一分はたっているぞ」
振り返った先にいたのは金髪ショートボブのサラリとした髪型、身長は145cmくらいだろう。典型的な「少女」である。


「.......誰?」

「我か?我は神威、貴殿が持っている剣の大元オーナーだ」

「どういうことなんだ?」

「貴殿が質問で始めるから狂ってしまった、まずは我ら・・の説明からしよう。我らは宝剣と言われる類の武器だ。貴殿も聞いたことがあるであろう?」


そう言えばエレナがちょっと言ってたな~
翔太はそんな思考を巡らせながら説明を聞いていた。


「その宝剣にも二種類ある。我ら意思疎通ができる意志を持つ剣イレギュラー、もう一つは意思疎通はできないが我らよりも性能の上を行く神剣ノーマルだ」

意志を持つ剣イレギュラー神剣ノーマル?」

「そうだ、そして我らは使用者を選ぶ。我らならば意思疎通ができるようになり、神剣の場合はその剣に眠る最大の力を引き出すことが出来る。そして貴殿は我と意思疎通ができている。つまりこれがどういうことか分かるな?」


神威の問いかけに翔太は無言で頷く。


「物分りが良くて助かる。それでは審査を始める」

「ちょっと待て、俺選ばれたんだよな?」

「ああ、選ばれた者だ。だから審査をする。貴殿が我らをどう使用するのかをな。審査は簡単だ、我はいくつかの質問をする、貴殿はその質問に答えるだけでいい。ではまず一つ目、貴殿は自身のためなら仲間を捨てるか?」

「いいや、捨てない。仲間を捨てるなんてことは絶対にしない。これからもずっとな」

「では二つ目、貴殿は仲間のために死ねるか?」

「場合による、悪に手を染めてるならそれを全力で阻止する。善意ならば死ねるさ」

「では三つ目、最終質問だ。貴殿は我をどう使う?」

「今は戦う時、としか言いようがないだろうな」

「なるほど、事前に行っておくがこの世界、貴殿のいた世界ほど綺麗事は通じないぞ?貴殿がいる場所は平和だがこれが自然界ともなると弱肉強食の世界になる。それでも生きるか?」

「そんなものはそこに行ったら考えればいい、事前に計画を立てて上手くいく確証は理論上なのと同じさ、だからその時々で臨機応変に対応すればいい。そして俺はこのもらった命、無駄にはしない、絶対に。」

「......合格だ。貴殿を我があるじと認めよう。我が名は神威、我は貴殿、轟 翔太の剣となろう。思考を共有し、我が命運は主のものなり。よろしく頼むぞ主よ」

「えっと、これで本当に選ばれたってことでいいんだよな?」 

「ああ、貴殿は我の主だ。そして時間だ、これから我を呼び出す時は我の名を呼べ、剣を使用するなら『剣よ、罪を砕け』と詠唱しろ、さすれば我は全身全類を持って貴殿の力とならん」

「お、おう。何はともあれよろしくな神威!」


その言葉を最後に翔太の目の前は真っ白になった。

コメント

  • NONAME

    「計画を立てて上手くいく確証は理論上なのと同じさ」

    机上の空論の事ですかね?

    日本語難しいなら言い回しを変えた方がいいですよ

    「計画を立てて上手くいく確証はないだろ」とかでもいいかと。

    0
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