片思い

日向葵

26話 冷血な告白

キーンコーカーンコーンと終礼がなりいざ田辺の指定した中庭へと足を運んだ。
田辺は先に来ておらず私が待つことにした。
待つこと5分、彼はやって来た。
怪訝そうな表情を浮かべ今までふざけていた表情はない。
謝りに来たのかと思ったら、「ちっ」と舌打ちしてみせた。
「お前さー、呼び出されたからってほいほいくるか、普通ー。」
「え?そっちが話しあるって…」
どっちなんだよと思いつつ苛立っている田辺が怖くて早く去りたかった。
でも、緊張と不安で足が動かない。
いや、動けないのだ。
田辺はめんどくさげに頭をかき私を睨みつけるような視線を浴びさせこう言い放った。
「お前、罠にはまったな。」
口角を上げて不気味な笑みを浮かべ彼は私に告げる。
「罠?どういうこと?」
「仕組まれてたってこと。気づかなかったのかよ。」
「は?」
「だから、俺がお前に好きだとかいって煽てて翔太先輩に目を向けないようにしてたこと。園崎たちから頼まれてやってたってこと。まあ、計算違いで翔太先輩に邪魔されたけど。」
私の頭の中では真っ白になって田辺の言ってることが理解できなかった。
この人の言ってることの方がバカげてて間違ってるのではと疑った。
「俺はもう降りるから。お前といてちょっとだけ楽しかったけどゲーム終了。これ以上はやってられっかよ。じゃ、言いたかったことってこれだけ。あんまなんでもかんでも信じねーほーがいいんじゃね?」
呆気にとられてる私を置いてきぼりにし言いたいことだけでは吐き捨てて教室へ帰っていった。
その時、音楽室から3年の一人の女子高校生吹奏楽部の女神、神城愛菜(かみじょう まな)はその様子を窓越しからみていた。

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