PROMINENCE
第46話 唖然
  天使兵の1人が神殿の扉を何度かノックする。
暫くしてから、扉の向こうに反応があり鍵が開く。
天使兵は奥へと続く階段を登り、更に奥にある扉を開きホールへと入る。
大きなホールには神々が集まり、それぞれに向き合いながら話をしていたらしい。
中断させた事を謝罪し、兵士は此処へ来た理由を述べる。
「南地区にて乱闘騒動が2件。どちらも『人間』が起こしたモノらしく、現場に居合わせた天使兵19名が対応しましたが、全員負傷。1名は大火傷を負った模様で4名が打撲」
  淡々と述べる事件の内容に、ゼウス達は大きく瞳を見開いた。
「人間が攻めて来たのか?」 
「まさか、こんな所まで足を踏み込むなど。運が良いでは済まされないぞ」
「名前は?現在の居場所は解るのか?」
  ヤハウェ・ブラフマー・クーフーリンの言葉に、天使兵は慌てながらリストをゼウスに手渡し答える。
「えぇっと、人物は『桐咲 歩夢』『山城 美鈴』『東條 真人』『日野  圭一』『ブラッド・スコール・ピオン』『ハーヴェスト・ベリー』『ミーア・キャロルフ』の7名です!!」
「うげぇっ…」
「なっ!?」
「あーあ…」
  ルシファーは嫌な顔をし、アマテラスは驚愕し頭を抱える。
それに対しクーフーリンは苦笑がてら腕を組み、柱に背を付け呆れてしまう。
「…『奇跡の姫君』が絡んどる所を見るに、動き出したようじゃな?」
「それで、居場所は?」
「はい。実は…既に神殿に集まっております」
  最早 驚く事に疲れたのか、アマテラスは呆れながら扉へと向かう。
「それと…天照大御神様。彼が帰って参りました」
またタイミングの悪い事とクーフーリンは笑う。
他の神も目を伏せて遠くを見てやり過ごす。
腹の中では大笑いしているであろう。
──特にヤハウェ。
「こちらへ招いてくれるかの?
ワシ達に話があるじゃろうし、ワシも話があるのでな」
「か、畏まりました」
ゼウスの言葉に天使兵は急いで扉を出て行ってしまう。
  歩夢達の元へ向かおうとしていたアマテラスは面食らい、ゼウスへと振り返る。
「彼奴が動き出したのであれば、天界も絡んで人間と手を取り合わなければならぬまい。
特に、主の『神代』に成りうる者であるなら尚更…のぉ」
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