PROMINENCE

第18話 団欒


特訓を開始してから二日目、俺と綾は学校に通いながらも放課後は各々に課題を出され。それを消化していた。


アマテラスさんはあの後の晩、戻ったと知らせて来てからあまり話し掛けて来なくなっていた。

何やら、ルシファーから聞いた話が関係しているらしく。

少し考える時間が必要らしい。



「魔力の基本は『放出』『固定』『変化』『操作』の4つ。その中で今やってるのが『放出』で…ちょっと、聞いてる歩くん?」

  やべ、考え事に夢中で話を半分聞いてなかった。


綾は頬を膨らませながら、歩夢に冷たい視線を送っていた。


「あぁ、えっと…放出だろ?」

「そう。魔力を扱うには放出を必要とするの」

「火の玉や透明な爪は、先ず魔力が放出されてなければ作れない。」

「そ、基礎となる土台が無ければ作れないからね!!」

  綾は腰に手を当て、えっへんと言わんばかりに胸を張る。

何故、今こんな話をしているのかと言うと。


「まさか歩くんが魔力を扱えるだなんてねぇ〜」

「全くだ、兄さんや儀姉ねえさんは何故黙っていたんだ!!」


  この様に、綾の両親が俺の魔力の事を知ったからである。

綾は俺の両親に知らされていた見たいだけど、綾のご両親は俺の魔力の事を知らなかったらしい。


しかしこの両親もやり手の魔術師らしく、俺の魔力が微かに庭に残っているのを感知して呼び出したのだから凄い。

しかしながら、家族会議と言いながら すき焼きをつついてるこの絵面はどうだろうか。


ただの一家団欒にしか見えない…。


親父さんに至っては、酒の肴にしているだけだろこれ。


「そう言えば、俺って魔力が戻ったらやばいんじゃないんですか?  」

  俺はずっと聞きたかった事を口に開く。

その時、ビールを飲んでいた親父さんの動きが止まり 静かにジョッキをテーブルへと置く。

や、やべぇ。タイミングミスったかな?


「もう良いだろ。本家の奴等は言い方は悪くなるが、お前さんを…兄貴達を追放した身なんだ。
それが今更歩夢くんの魔力が欲しいから帰って来いだの、そんな事口が裂けても言えんだろうしな」

「お儀姉さんもきっと、歩くんにはあの家の仕来りに縛られて欲しくなかったと思うのよ。
強い者が上に立ち、支配するなんて…古い仕来りでしか無いからねぇ」

  叔母さん達は少し哀しそうな顔をして、互いに俯いてしまう。

今思えば、俺が本家の人に冷たくあしらわれたり。

出来損ないと呼ばれた意味も理解出来る。

しかも、その出来損ないと言ったのが現当主である『桐咲 元治』だ。

俺はてっきり、ヤクザかなんかだと思ってたけど。


「しかしまた、なんで封印が解かれたのかねぇ?」

  しまったと顔に出してしまい掛けた歩夢は、直ぐに綾の父親から目を逸らす。


そう、歩夢は封印はたまたま解かれたとしか説明していなかったのだ。

「時間のせいじゃないですかね?」

「封印が弱まってしまっていたと?」

顎に手を当て、俺を見る親父さん。

何か勘づいていそうだなぁ〜。

魔術師だし、やっぱりおかしいと思ってるのかな?


「まぁ良いか、魔力があると便利だしな!!」


──危惧する事は無かったらしく。

親父さんは高らかに笑ながらビールをグビグビと飲み干す。


その後は浸すら親父さんと俺の親父の武勇伝を聞かされ、解放されたのは23時を過ぎてだった。

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