PROMINENCE

第13話 集いつつある味方


  庭でのやりとりから数分後、家のチャイムが鳴り響き渡る。

それに綾が対応したのであろう。

バタバタと複数の足音を立てながら、その足音は迷い無く歩夢の部屋へと向かう。


ガチャ…。


足音がしたのでドアを開けて見ると、そこには綾と烏丸さん達が立っていた。


「あの、歩くん…この方達って多分例の…」

「よっ!! 来ちった」

「お邪魔してます歩夢くん」

「よぉ初めまして!! アタイは居酒屋『さんじょう』を経営してる、山城美鈴ってんだ!!」

  綾がおどおどしながら質問をして来るが、それは三者三様に挨拶をして来る大人達によって掻き消された。

「なんか、増えてますね?」

「安心しろ、コイツは味方だから。 というか、君の方も1人『増えた』見たいだね?」

  何か含みのある言い方をしながら、烏丸は綾の方へと視線を促す。


「色々とありまして…中でお話します」

俺は烏丸さんの意図を察すると、ドアの前から避けて中へと案内する。


「以外と片付いてんのね?」

セミロングくらいの茶髪を揺らしながら、男っぽさのある豪快な笑をしている女性。

確か、山城美鈴さんっていったっけ。

何故かベッドの上に陣取ってるけど…。


「さて、先ずは何処から話そうか?」


何処からって…あっ!!

俺は何かを聞こうと、昨日の事を思い返していたら。
ある大変重要な事を思い出した。

やべぇ…。


「ごめん!!ちょっと電話して来る!!」


  バタバタと廊下を走り、玄関付近に置いてある電話へと辿り着くや否や受話器を取り『昔ながらに』覚えていた方法で電話番号を入力した。


ププッ…プルルルル…プルルルル…。

コール音が受話器から俺の耳へ電話が繋がったと知らせてくる。

頼む!!出て来れ!!


ガチャッ!!


数回のコール音の後に、電話を取る音が響く。


「あの、もしもし?!」

『あらぁあらぁまぁ〜。歩夢くん?お久しぶりねぇ〜?』

電話に出たのは俺の幼馴染みの、望月  潤の母親だった。

「すみません!潤さん居ますか?!」

『居るわよぉ?ちょっと待っててねぇ〜?』

  少ししてから、俺はようやく話したい相手と通話が出来た。

『もしもし歩夢?  アンタ、昨日はどうしたの? 先生怒ってたわよ。』

呆れた声で責め立てられ、一瞬引き気味になってしまったが。

今の潤の発言に妙な違和感を感じた。

「メール…見てないのか?」

『メール?  あぁ、ごめんね。  ウチの携帯お風呂で水没しちゃって、今日新しく替えに行こうとしてたのよ』

  そう言えば、なんでアンタは家電から掛けてきてんのよ?と質問され。

咄嗟に「携帯を無くしたから、知らないか聞こうとしただけ」とはぐらかして説明をした。

馬鹿にはされたけど、何とか納得してくれた見たいで
「それじゃあ、また明後日ね。」と言って潤は電話を切った。


不幸中の幸いとは、正にこの事だ。

昨日のメールが無事に届いていたとしたら、今頃潤はパニックになっていたかも知れないからな。


受話器を置き振り返ると、そこには烏丸さんが腕を組みながら壁に持たれ掛かって居た。

危惧きぐして無かったと言えば嘘になるね…」

  烏丸さんは俺の真正面に立つと、鋭い目付きで俺の目を見詰めてくる。

その迫力に冷汗が滲み出る。

國信田隼人この件に付いては他言無用とは言えないが…それでも、言うべき人は選んだ方が良いぞ?」

「言うな…とは言わないんですか?」

「そりゃあ逆に駄目だ。あっちが拉致して来る以上、コチラからも何かしらの警戒は必要となる」

  但し、と付け答えて烏丸は話を続ける。

歩夢はその威圧さに押されながら、ゴクリと唾を飲み込む。

「今君が感じている魔力コレを感知できる者だけに話すのがベスト。
もしくは、君をしっかりと信頼してくれている子でも良い。」

  烏丸は歩夢の隣まで歩いて来ると、肩に手を乗せ小さく呟く。

「國信田の野郎は平気で人を操り、切り捨てる。
それが大人だろうと子供だろうと関係無い。
だから、君は君で警戒網を作りつつ。味方を増やすのが最善手だ。」

「味方って…皆見たいな魔力持ちって、そうそう居ないんじゃ?」


「いいや。魔力というのは少からず人に宿るもんだ。
魔力が扱うのが苦手な人は『気力』や『覇気』を扱ったり、『地脈』を扱う者が居る」


  それは実際に見たら判る筈だ。
要注意しながら周りを探れ。と烏丸は念を押す。

「わ、解りました。でも、魔力は兎も角。
他のは自信があんまりありませんよ?」

  烏丸はケラケラと笑いながら、歩夢の肩をポンポンと叩く。

「安心しろ!その筋のエキスパートを連れて来てるよ」


  烏丸さんはそう言うと、少し俺の後ろへと進む。

もしかして、あの二人のどちらかがその力を扱えるのか?



そんな事を考えて居たら、烏丸さんは振り返ってこう言った。




「あっ、悪い悪い。 トイレ何処?」

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