太平洋戦記 〜九七艦攻の戦い〜

11月光志/11月ミツシ

12月6日のタイムスリップ

♦︎これはフィクションです。

僕は、今過去に来ている。
何を言っているかなんてわからないだろう。僕自身何があったかわからないんだ。





 あれは、2022年12月8日だったはずだ。
その日は、大学も早く終わり河川沿いに自転車を走らせていたはずだった。
 鼻歌を歌いながら走っていたら、なんの前触れもなく視野が狭くなっていく感じがしたんだ。
 疑問に思いながらも、目を1回閉じたんだ、そしたらどうだ。背景が河川から街中に変わり、自転車もなく、周りにマンションはおろかすべて木造建築の家だったよ。
いや正確には、目の前にある建物以外という方が正しい。
 だいぶ混乱したね。落ち着いて近くに落ちてあった新聞を見たら、

【1941年12月6日、毎日旭日新聞】

って書いてあった。
僕は、歴史が得意では無いが、このあたりのことは知っている。
「し、真珠湾攻撃の2日前じゃないか」
真珠湾攻撃の2日前という読みがすぐ出た理由がある。昔、図書館の資料で、確か毎日旭日新聞というものはあった。この新聞は、終戦後すぐに発刊が中止され、貴重な資料として残っていたはずだ。
こんなに綺麗に残っているはずはない、そう確信したからである。

状況整理をした後僕は、ここがどこかを確かめるため、何かの役所らしき赤レンガの建物の中に入ることにした。
今考えれば、立て札がかけてあり、それを注意深く確認していればよかった。だが、入ってからそこがなんなのか気がついた。
 「嘘だろおい」
だがその時には遅かった。
ここは、
【大日本帝国海軍岩国航空基地】
の中だった。
「君!そこで何をしている」
突如としてかけられた声にドキッとした。
 「あーえっと」
おずおずしていると、
 「入隊希望か?ならこっちだ」
 「えっ?」
そこからは、早かった。
身体検査や持ち物検査をして、配属部隊を振られた。
日本海軍空母機動部隊の加賀発艦の九七式艦上攻撃機の銃手、階級は上等兵だった。
 そして僕はこう悟った。
 「ああ、銃手になったといい、艦攻の乗組員といい、明後日の真珠湾攻撃するんだな」
 

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