アクティベート・オンライン

時塚オイモ

第24話 〜可能性、そして別れ〜

・・・・・・・・・


「だから僕は助けたいんだ!透を!結衣ちゃんを!」


僕は必死に透に訴えかけると、透はようやく正気に戻るが暗い顔をしながら言う。


「だから……どうやって結衣を助けられるって言うんだよ!」


「それは…………」


僕は、どうすればラグナロクを起こさずに結衣ちゃんを助ける事が出来るかを考えていると、1人の希望の言葉が聞こえた。そこ言葉を言ったのは、未来から来た希望の光。アーサーだった。


「助けられる方法があるかもしれません。」


僕はアーサーにその方法を、希望の可能性を聞いた。


「これは悪魔で私の推論ですが、このゲーム『アクティベート・オンライン』通称『AVO』のキャラクターには沢山の種類がいます。例えば、『攻撃型』なら私や馬鹿犬。『援護型』はルパン。そして、他にも居るはずです。そう…………『回復型』のキャラクターが。」


アーサーがそう言うと、僕と透はお互いを見て僕はアーサーに言う。


「それじゃあ!その回復型のキャラクターに会ってお願いすれば!」


「ええ。その子の病気が、もしかしたら治るかもしれません。悪魔で可能性ですが。」


僕は笑顔で、もう一度透を見ると透は涙目になっていた。


「本当に……結衣を助けられるのか?……本当に?」


そう言いながら透は膝をついて、涙を流し泣いた。すると、透とユグドラシルから何か邪悪な物が消えていくようにスーっと、離れて行き空中に消えていった。そして、黒いダークユグドラシルが元のユグドラシルに戻っていきユグドラシルは戦闘を止めて信長は一息ついて刀と銃を納める。透も正気を取り戻していた。僕は一安心して膝をついている透に笑顔で手を差し伸べる。


「透……多分、そのキャラクターを見つけるのは大変かもしれない。でも、それは1人での話しだ!今はこんなに沢山の仲間がいる!だから、直ぐに見つかるさ!透。一緒に結衣ちゃんを助けよう!」


「いいのか?俺は悠斗達を殺そうとしたんだぞ!そんな奴を………」


「別にいいよ!だって僕達……友達だろ!」


透は本当に申し訳ないという顔をして僕を見るが、僕はそんなの関係無いと言わんばかりの笑顔で透を見つめる。透は感謝の言葉をずっと言って、僕の手を掴み立ち上がる。そして、僕達は集まり透は皆に謝った。皆は微笑みながら許して和解した。しかし、ずっと気になっていた事がある。透から出たあの黒いオーラは一体何だったんだろうか。その所為で透もユグドラシルもおかしくなった訳だが……色々と謎が残ってるけど今は、戦いが終わった事を喜ぼう。そうだ。これで、戦いは終わり『ラグナロク』も起きなくなった。一件落着だ!そう思っていると急にアーサーの体が光りだした。


「………そろそろ。時間のようですね。」


「アーサー?」


「悠斗。短い時間でしたが、過去の貴方に会えて嬉しかったです。」


アーサーは愛想笑いをして言うので僕は直ぐに理解した。


「……そっか。もうお別れなんだね。」


僕はたった3日間だけどアーサーとの楽しかった思い出が一気に脳裏に浮かんでくる。寂しいけど、その気持ちを抑え込んで微笑みながらアーサーを見る。



「安心して下さい。また直ぐに会えますから。」


アーサーは僕の気持ちに気づいたのか優しく微笑みながら言う。すると、どんどんアーサーが薄くなり始めた。


「そうだね!また直ぐに会おう!」


アーサーは頷いた後、信長を見ると信長は恥ずかしそうな顔で喋る。


「そ、その何だ?えっと……だな。最初は貴様の事が大っ嫌いだった!喧嘩は売ってくるし、毒舌は吐くし腹が立つ事ばかりだった……が、しかし……今は、まだマシにはなったかな。」


信長は顔を真っ赤に染めながら横を向きアーサーと目を合わせないようにした。


「何、顔を真っ赤にしているんですか?気持ち悪い。猿のお尻ですか?」


アーサーは最後まで笑顔で信長に毒舌を吐くと、信長は怒った顔で


「なっ!?やっぱり……き、きききき貴様は大っ嫌いだぁぁぁぁ!!」


そう言ってアーサーに向かって叫ぶ。するとアーサーは笑う。


「冗談ですよ。私も今はマシだと思っています。『信長』。」


「ふっ。ようやく初めて私の名前を呼んだな!『アーサー』!」


2人は笑顔で見つめ合いながら握手をし、アーサーは消えて未来へ帰って行った。少し寂しいけど、でもそこまで寂しくは無かった。だって、また直ぐに会えると確信しているから。


「また会おうね!アーサー!」


僕は空を見上げながら心の中で喋った。


・・・・・・・・・2059年   7月7日   月曜日


13時24分   東京都渋谷区   未来の悠斗の部屋


「ただいま。悠斗。」


「お帰り!お疲れ様!アーサー。向こうはどうだった?」


「楽しかったですよ。過去の悠斗に会えましたし。それに……もう居ないあの人にも。」


「……………って!こらー!勝手に私を殺すなぁ!」


「あら?生きていたのですか?今、良い空気でしたのに台無しです。流石、KYうつけ犬ですね。」


「ケー……ワイ……?何か知らんが、馬鹿にされた気分だ!」


「あら?KYも知らないんですか?最近の流行り言葉なのに流石、空気が読めない馬鹿犬ですね。」


「いや、KYはちょっと古いかなぁ……」


「らしいぞ!駄目狐!はっはっは!」


「何ですって!」


「何だと!大体貴様はいつも………」


こうして、『ラグナロク』を阻止する戦いは終わった。そして、これでこの物語も終わった……筈だった………あの男が現れるまでは…………

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