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時塚オイモ

第22話 〜死、絆の奇跡〜

「信長!」


僕は、動ける信長に託して指示を出す。しかし、樹に纏われている女の子が指示を出しているのか、地面から何本も樹を出し信長を攻撃する。信長は、その樹を斬り避けながら進むが先程の戦闘でかなり体力を消耗している所為か動きが鈍く敵の鋭い樹に当たり吹き飛ばされた。


「ぐわっ!!」


「信長!!」


慌てて、他に動けそうな人がいないか周りを見たが、アーサーもルパンもゼウスとヘラも動けない状態でどうする事も出来なかった。そして、信長は息を切らしふらつきながら折れた刀を構えながら立つ。


「ふふ。あははは!悠斗!お前のキャラクターは体力が限界でもう立つのがやっとみたいだが、まだ俺に勝てるとでも思っているのか?」


透は笑いながら樹に纏われている女の子に指示を出し信長を樹の槍で何度も何度も攻撃をする。


「止めろ!止めてくれ!それ以上攻撃したら信長は……」


僕は涙目になりながら動揺する。攻撃が止むと信長は意識を失い、沢山の血を流しながら倒れていた。


「これで……終わりだ。」


透は、冷たい目で自分のキャラクターにトドメを刺せと命令をする。すると、樹に纏われている女の子は樹の槍を創り信長の胸に…………刺した。


「がはっ!!」


信長は心臓を刺されて、完全に意識を失った。僕はゆっくりと立ち、ふらつきながら倒れている信長の所まで歩く。


「のぶ……なが……?返事をしてよ。ほら、皆で帰ろう?信長の好きなカフェロテを食べに行こう。ねぇ……どうしたの?どうして返事してくれないの?」


僕は心の中が空っぽになったように現実が理解出来なかった。いや、理解しようとしていなかった。


「悠斗……諦めろ。お前のキャラクターは………死んだんだよ!」


透は哀れみの目で僕を見つめる。


「あぁ……あぁぁぁ………のぶ……なが………信長ぁぁぁぁ!!」


僕は、倒れたまま起きない信長を見ていると段々と現実を理解していき涙が出て膝をつく。


「さてと……後は此処にいるキャラクターを殺してラグナロクを起こせば……」


「…………ない。」


喋りながらゆっくりと起き上がる。


「は?何か言ったか?悠斗。」


「そんな事……絶対にさせない!」


透の顔を睨みつけながら言うと透は呆れた顔で僕に言う。


「はぁ……悠斗。状況を見ろよ。お前のキャラクターは死に他のキャラクターは動けない。そんな状況でどうやって俺を止められるんだ?」


「それでも、僕だけでも!透!お前を止める!」


僕はそう言って透の所に向かって走り出す。


「そうかよ!じゃあ此処で………死ね。」


透は自分のキャラクターに僕を殺せと命令を出した。そして、樹に纏われている女の子は僕に攻撃してきた。僕は必死に避けながら進むが樹が僕の右足を擦れて、転けてしまう。でも、必死に立ち僕は諦めずに歩き出す。すると透は少し動揺し始める。


「何でだよ!?何でそこまで……」


「僕は……諦めない!絶対に!」


そう言った瞬間、急に僕の右手が光り出し信長の体も光り出した。


「な、何だ!?」


透は驚き慌てて信長の方を見る。


「のぶ……なが?」


光は信長を包み込んでいき、そのまま見ていると段々と光が弱まっていき信長の姿が見え始めた。すると、さっき怪我をした右足の傷が癒えて無くなる。そして、信長は呆れた顔で僕を見る。


「全く……我が主は無茶をするのが好きみたいで、危なっかしくて放って置けないではないか!なぁ悠斗!」


「信長っ!?」


僕や他の皆も信長を見て笑顔になるが、1つ気になった事があった。その違和感を信長に聞いた。


「あれ?信長、服が変わっているような……」


よく見ると、さっきまで着ていたフリフリのお姫様のような白いドレス服ではなく、黒い軍服のような服に変わっていた。


「ば、馬鹿な!?お前はさっき殺した筈だ!」


「確かに……先程、私は其奴に殺された。だが!悠斗の諦めないという心が私を生き返らせたのだ!」


信長は刀を取り出し透に向かって突き出す。透は慌てて命令をする。


「くっ!やれ!『ユグドラシル』!!」


「ほう?なるほど。其奴の正体は『ユグドラシル』か。ようやく名前を言ったな!」


「だから何だ!名前を知った所で、ユグドラシルを俺を倒せるとでも思っているのか!」


ユグドラシルは何十本の樹の槍で信長を貫こうとした時、信長は今までの動きとは全く違う速さで樹の槍を次々と斬っていく。それを見て透は動揺する。


「悠斗の諦めない強い気持ちが、うつけ犬を生き返らせ更に強くさせた……まさか!?これがマスターとキャラクターの絆で起こる奇跡『進化』と言うものですか!」


アーサーはそう言うと皆は呆然と只、信長の力の凄さに見ている事しか出来なかった。


「くっ、くそっ!なら!ユグドラシル!」


透は、ユグドラシルに命令をして何十本、何百本もある剣の形をした樹を出した。まさに剣樹だ。透は遂に最後の切り札を出して来たのだ。


「切り札を出させた事は褒めてやるよ悠斗!だが!これで今度こそ終わりだぁぁぁ!!」


そして、数百本の剣樹が一気に信長に向けて襲う。すると信長が僕を呼んで見つめる。僕は頷き、信長を信じた。すると、信長の右手と僕の右手の甲の印が光り出す。


「透と言ったか!例え貴様が悠斗の親友でも容赦はしない!覚悟しろ!」


信長はそう言って、持っている刀を襲ってくる剣樹に向けると信長の背後から異空間が現れてそこから何十本、何百本、何千本の刀ではなく沢山の種類の銃が出てきた。


「なっ!?銃だと!」


「いくぞ!これが私と悠斗の絆の力だ!!くらえーーー!『神魔銃千本桜花』!!」


無数の銃弾で、ユグドラシルの無数の剣樹を破壊していく。そしてついに、ユグドラシルの無数にあった最後の切り札、剣樹が無くなり本体のみが残った。

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