アクティベート・オンライン

時塚オイモ

第13話 〜毒舌、未来からの危機〜

「え……?アーサーって、あのアーサー王!?」


僕は驚いた。世の中で知らない人はいないと言っても過言ではない程の有名な英雄が目の前にいるというのもあるのだけど、一番驚いたのはその英雄が僕をマスターと言うことと女性だったという事だ!いや、信長も歴史では男だけど今は女の子だ。これもゲームのキャラクターだからこそ出来る業なのだろう。


「そんな奴が何故、悠斗の部屋にいる!」


信長は殺気を出しながらアーサーを睨みつける。


「そんなに殺気を出さないで下さい。ゴミクズが移ります。」


「誰がゴミクズだ!!」


「あら。言い方を間違えました。それはゴミに対して失礼でしたね。クズ以下さん。」


「ムキーッ!!」


信長はキレ出したので僕は慌てて信長を抑えた。どうやら、何故かアーサーは信長に対してはかなりの毒舌を吐くらしく、怒らせるのが好きみたいだ。アーサーがとても面白そうな笑みで信長を見ている。すると


「ちょっとお兄ちゃん!良いかな?」


横を向くと、僕の方をニッコリと見つめながら殺気を出す赤髪ツインテールの女の子が………そこにいた。


「朱莉さん!えっと……これはですね。何と言いますか……」


不味い……本当に不味い状況だ!信長の裸を見ただけじゃなく、さらに金髪美少女が僕の部屋にいるこの状況……これは間違いなく………死刑だな。


「お兄ちゃん!」


朱莉は怖い顔をして、僕を睨みつけながら大声を出した。そして僕は慌てて返事をして、死を覚悟する。


「はいっ!」


「次!信奈さんの裸を見たら絶対に処刑だからね!だ、だからって義妹の裸を見ようとしたら……その……」


朱莉は何故か赤面で、もじもじしながらボソボソと喋っているのであまり聞こえなく、もう一度聞いてみると、怒りながら大声で


「な、何でもないわよ!バカッ!!」


そう言ってドアを壊れそうなくらい勢いよく閉めて下に降りて行った。あれ?金髪美少女はスルーなのか?それとも気づいていないのか?僕は不思議に思っていると


「残念ながら彼女には私が見えません。私を見ることが出来るのは、マスターである貴方とアクティベート・オンラインに参加している方のみなのです。」


「どうしてアーサーは、僕の部屋にいたの?」


「決まっているではありませんか。貴方を守りに来たのですよマスター。いや、悠斗。」


アーサーはニッコリと微笑んで僕を見る。でも、僕はやっぱり今の状況がまだ理解出来ていなかった。そもそも、キャラクターは1人のマスターにつき1体だけじゃないのか?というか僕はアーサーを召喚なんてした覚えがない。なのに何故……


「アーサーは、僕のキャラクター……なの?」


僕は不思議に思いながらも聞いてみた。すると


「はい。ですが…………」


この後、とても信じ難い突拍子もない言葉を僕と信長は聞いてしまったのだ。


「ですが、私は未来から来たキャラクターなのです。マイマスター」


僕と信長は、全くというほど全然理解出来なかった。あまりの急な言葉に、驚いていいのかどうかも分からなく只、唖然とした顔でアーサーを見ていた。


「えっと……ごめん!何を言っているのか理解が出来ないんだけど……どういう事?」


「いきなりこんな事を言われて戸惑うのは当然ですよね。ですが、あまり詳しい事は言えないのです。」


アーサーは申し訳ない顔で僕を見る。そして、信長は疑問に思い何故なのか聞いた。すると


「貴方は脳の回転が本当に遅いですね。馬鹿なんですか?あ!馬鹿でしたね。すみませんクズ馬鹿さん。」


「うがぁぁぁぁぁぁぁ!!」


またアーサーは信長に毒舌を吐き信長を怒らせようとして楽しんでいる。アーサーって本当にSだなぁ。いや、それよりも……


「未来を知れば僕達の時代、つまり過去が変わり未来まで変わってしまう可能性があるって事なのかな?」


「その通りです!流石は悠斗。素敵です!」


アーサーは微笑みながら僕を褒める。というか、何故か僕と信長の話し方に差があるような。それはともかく、僕は疑問に思った事をアーサーに聞いた。


「でも、どうやって未来から過去へ来れたの?」


そう聞くと、アーサーはまた突拍子もない事を言う。


「悠斗のスマホから時空を超えて過去に来たのですよ。」


……え?待って?僕のスマホから時空を超えて!?どういう事?そんな事が可能なの?未来ってどうなってるの?僕は、段々混乱し始めていた。とりあえず、頭を整理しよう。えっと、アーサーは未来から来たキャラクターであり僕のキャラクターでもある。そして、僕のスマホから時空を超えて未来から今の時代にタイムスリップしたって事なのか。よし!とりあえず流れは理解した。そして整理が出来た時、アーサーは何故未来から今の時代に来たのかを話す。


「私は私と同じ未来から来た2人のキャラクターを倒しに来たのです。その2人は悠斗達も戦った事があるはずです。」


「……まさか!?」


僕はある2人のキャラクターを思い出していた。神にして最強のキャラクター。主神『ゼウス』と女神『ヘラ』だ。


「はい。ゼウスとヘラです。あの者達は私と同様、未来から時空を超え城ヶ崎姉弟のキャラクターになったのです。」


僕はその話を聞いて1つ不思議に思った事があったので聞いてみた。


「2人はどうして、未来から今の時代に来たんだ?」


すると、アーサーは深刻な顔で僕を見て暫く間を開けて口を開いた。


「この時代で、第二次『ラグナロク』を始めるためです。」

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