色彩を宿す者たち〜銀を宿した少女(元青年)は異世界を生き抜く〜

スーノ

第十四話 【原初の怪物】と戦闘開始


……駆ける

敵地へと向けて、駆ける…景色が、怪物が、後方に流れていく。

恐らく、後数秒もあれば到着するだろう。しかし、今はこの時を楽しもう。
だた最後に本気で走ったのはいつ以来だろう?。中学生の時に世界最速と呼ばれている人を超えて以来本気で走っていなかったような気もする。








「ふぅー………」

「うん?、冷夜なんか満足そうだけどどうかしたか?」

そう春斗が満足そうな表情で聞いて来た。

「久々に本気で走ってたからね。なんかスッキリしたんだよ。」

「ああ、冷夜もそうか。俺もそうだよ ボソッ(あと冷夜の頰が上気してるのと、汗で服が肌に少し張り付いて色っぽいのもある)」

やっぱり、春斗もそうなんだ。ただ他にも何か言っていたような?まあいいや

「よし、工場の中に入ったら灰色の怪物を生産しているであろう生産ラインを発見次第破壊、その後【原初の怪物】を討伐する。それ以外は各自臨機応変に対応せよ。以上だ。」



そして始まった破壊活動、生産ラインが発見される度に

「《銀天魔導》"銀爆"」
銀色の爆発が起き、

「《金天剣帝技》"金炎連斬"」
金色の炎の斬撃が複数飛び、

「《紫天魔導》"紫雷天誅"」
紫の雷が降り注ぎ、

「ふんっ!」
掛け声と共に衝撃波が撒き散らされる

工場内に怪物は殆ど残っていないため探索もかなり進んで来た

「これで大体おわったんじゃねえの?」

「ふむ、私の《紫導魔眼》:時空眼で見た感じは後行っていない場所は1つだけだな、恐らくここに【原初の怪物】がいるだろうな。」

そして対【原初の怪物】戦の本番も近い……











「ここだな、とりあえずは魔力、体力を回復させて万全の状態で挑むぞ。」

最後に残っていた場所には、ただ奥の見えない自動ドアらしき物が1つあり、その扉の奥からは今までの敵とは格が違う存在感を感じた

「これが【原初の怪物】なのか?」

「そうだろうな、ただ前戦った奴より強そうだ。」

健治はその顔に挑戦的な表情を浮かべながらも頰には冷や汗が伝っていた。

「前に【原初の怪物】と戦った時と比べて弱体化させた筈なんだか。やはり、あの仮説は正しいみたいだな。」

あの仮説?

「知りたいか?、っといっても大体予想はついてるんだろう。」

「はい、と言いましてもそこまで自身は有りませんよ。」

まあ、今回それ以外にも要因がある可能性もあるんだよな

「とりあえず、いってみろそれが当たっているか答えてやるから」

「それじゃあ、【原初の怪物】は他の【原初の怪物】が討伐されると強化されると言ったところですか?」

一応他にも仮説はあるんだけど、これが一番有力なような気がするんだよ。あくまでも〈直感〉だけれども

「正解だ。他にもいくつか説があるがこれが一番有効さ。それに【原初の怪物】は討伐することでこちら側も全体の上限値の上昇という利益もあるから、敵方も強化されてても不思議ではないと言う理由だ。」

上限値の上昇は初めて聞いた。どちらにせよ【原初の怪物】討伐は予想以上に利益も大きいようだ





「そろそろ魔力、体力共に回復したか?」

全員が頷いた、どうやら完全に回復しているようだ。

「それでは、行くぞ。」

ウィーン

自動ドアが音を立てて開かれる。そして、ドアを潜った

〔条件『称号』超越者の卵…確認 【原初の怪物】への挑戦権が与えられます。〕

そんな電子音声と共に……と言うより、この4人だけの理由ってこれがあったんだな。



ドアの中は灰色の空間が広がり真ん中に鈍い灰色の輝きを放つ球体を胸に埋め込んだ5mを優に超えるであろう背に3対6本の腕を生やした巨大な像があった。
そしてその背中の手には、大斧、大盾、大槍の順番で握られていて普通の腕には大剣を2本持っていた

「フォーメイションはさっきまでと一緒で健治、春斗が前衛を務めてくれ、冷夜は中衛を、あとは必要に応じて指揮を出す。行くぞ! 《紫天導装》《紫導魔眼》"強魔眼" "強体眼"」
乃亜が着ていた服がシンプルながらも品のある宝飾のなされた紫色のドレスに変化した。

「《銀天姫装》"銀雷天装"」
冷夜が羽織っている白銀色のコートが側面に雷のような模様があるブーツに変化し、水色だった袴と瞳は黄金色になった。

「《金天帝装》"金炎帝装"」
春斗は普段の服に所々に緋色の装飾がされた金色の軽鎧姿になり、持っている大太刀の緋色の割合が増える

「《赤龍覇装》」
健治は龍の様に頭の前方から後方にかけて赤黒い角と腰の辺りから赤い尻尾が生え赤い龍を彷彿させる鎧姿になった。

そして【原初の怪物】も灰色の球体が完全に体内に入り込み武器を構えた。

……こうしてついに【原初の怪物】戦が始まる

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