俺の妹はヤンデレでした

繭月

9話

あの後瑞樹は俺を拘束したことには全く触れて来なかったので俺も瑞樹と話し合うことを整理するために部屋にいたのだが何も思いつかないまま時間だけが過ぎていきいつの間にやら夕飯時になっていた
リビングに降りると瑞樹はなにか嬉しいことがあったのか鼻歌を歌いながら食卓に料理を並べていた
「あ、お兄ちゃんもうすぐ準備できるから待ってて」
「あ、・・・うん」
あれー?あのこと気にしてるの俺だけなのか?
いやたしかに瑞樹は加害者で俺は被害者なのだから俺のほうが意識するのは当たり前としてなぜ瑞樹はここまで平静を保てているのだろうか
「それじゃあ、いただきます」
いつのまにか俺の前には一般的な料理が並べられており向かい側にはいつもと同じで瑞樹が座っている
「・・・・いただきます」
「・・・・」
「・・・・」
二人無言で黙々と料理を食べていく
普段なら瑞樹が俺にあれこれ話しかけてきて静かな時間などないのだがやはり瑞樹もあのことを気にしているのだろうか?
そのまま無言で食べ続けているとカチャッと音がしたので俺は顔をあげた
すると瑞樹が箸を置いて真剣な顔でこちらを見ていた
「・・・どうかしたのか?」
俺も自然と真剣な表情をだすと
「ごめんなさい!」
そう言って瑞樹は頭を下げた
「・・・・」
「・・・・」
正直監禁されたとはいえ恐怖を感じたのは最初だけだし、学校も休むことができて嬉しかったと。とはいえこのまま何もせずに許してしまえばまた同じことを繰り返しかねない
俺はじっと瑞樹を見つめる
瑞樹も俺の言葉を待っているのか何かに怯えるように目をぎゅっとつぶっている
先に無言に耐えられなくなった俺は一度息を吐きゆっくりと口を開けてに瑞樹のしたことに対する処罰を口にする
「今度同じようなことをしたら父さん達に言って瑞樹には寮に入ってもらうからな」
俺の言葉を聞いた瑞樹は顔に安堵の表情を浮かべていた。
それにしても自分でも甘いとは思うものの妹にあんな顔をさせたらあっちがどんなに悪くても罪悪感を覚えてしまう
その後は瑞樹の本心を知ってしまったから今まで通りに、とはいかないもののそれでもいつも通りの距離感に戻るのも時間の問題だろうと思っていた



「おはようお兄ちゃん」
朝目を覚ますと俺の隣でこちらをじっと瑞樹が見ていた
なんでいるの!?
すぐさま両腕を確認して拘束されていないことを確認する
「あはは、昨日の今日だからね。流石にもうしないよ〜」
そうは言うもののなら何故ここに朝からいるのだろうか?
「だってお兄ちゃんが他の女の子に取られるのはやっぱり嫌だから私がお兄ちゃんを籠絡させてみせる」
そう言って自信満々な顔を俺に見せてきた
「・・・・」
「それじゃあお兄ちゃん。朝ごはんにしよっか」
そう言って瑞樹は部屋を出て行った
「なんだったんだ・・・」
籠絡とか言ってたけどまさかこんなことが毎朝あるのか?



「はぁ・・・」
「お、朝から溜息とは幸せが逃げるぞ?」
教室の自分の席についてうつ伏せていると遅刻ギリギリで登校して来た隆盛がやって来た
「おはよー」
俺は顔を上げることなく挨拶をした
「そこまで元気の無いおはようを俺初めて聞いたよ ︎どうかしたのか?というか昨日休んでたけど大丈夫だったのか、お見舞いに行こうとしたら瑞樹ちゃんに『絶対に来ないで!』って言われて行けなかったんだが・・・」
まあ、昨日はちょっと色々あってたしな、会わなくて正解だっただろう
「あー、うん。大丈夫だから心配ない」
「ならなんで溜息なんかついてたんだ?」
「あーそれはーーー」
あの後瑞樹からのアタックは続いていた
まずは朝食の時だ。朝起きた時間がほとんど同じだったから久しぶりに手伝いでもしようかと思ってキッチンに行ったら驚くことに瑞樹が料理に自分の血を入れようとしていたのだ。もちろん急いで止めて理由をきくと
「まずは心を掴むなら胃袋からっていうでしょ?でもお兄ちゃんはいつも私の手料理を食べてるからどうしようかなぁって思って」
「それでなんで朝食に血を入れることにつながるんだよ」
「お兄ちゃんの中に私を入れようかなって思って」
と、とんでもなく可愛い笑顔でアホなことを言う妹に今後しないように言って一緒に朝ごはんにした。

その後瑞樹が一緒に登校しようと言ってきた
一昨日も一緒に登校したから翠や隆盛でも呼ぼうと思ったら二人きりでがいいと言うので恥ずかしくはあるものの珍しく瑞樹がお願いしてきたので二人きりで登校することにした
しかしそれが間違いだった。あろうことか瑞樹は登校中ずっと俺の腕を組んで歩いていた
最初は早く出たこともあり誰ともすれ違うことはなかったが学校に近づくにつれて同じ制服を着た生徒をちらほらと見かけるようになった
「瑞樹そろそろ腕を放してくれないか?」
「ダーメ」
「だめって・・・」
すでに学校は見えており校門付近には数多くの生徒が学校へと向かっている。
そんな中腕を組んで歩いている男女がいるわけだからそれはもう視線が半端じゃない。
男子からは恨み妬みなどのマイナス感情のこもった視線、女子からは好奇心や興味深いものでも見るような視線が向けられている。
てか流石に同級生には俺たちが兄妹だってこと知られてるよな。
あたりを見回すと同じ一年生を示す赤いネクタイやリボンをつけている生徒もちらほらこちらをチラ見しては走って学校に入って行く。

そして俺は結局瑞樹のされるがままにされて精神的なHPをごっそり削られて教室に向かったのだが教室では俺たちを目撃していた生徒に瑞樹との関係を質問攻めにされた。
そしてそんなことは無いと聞きに来ていた奴らを説得させるのに俺の体力を大幅に使いうつ伏せていたというわけだ。

俺の話を聞き終わった隆盛はというとまるでわかってたかのようなしかし困ったような顔をしていた。
というか困ってるのは俺なんだが
「とうとう瑞樹ちゃんが葵攻略を・・・てことは翠もそろそろしてくる可能性は高いよなぁ・・・」
なにか言っているが意味がわからない。それになぜ翠の名前が出てくるのだろうか?
「「はぁ」」
朝の教室の後ろで溜息をつく二人の高校生男子の出来上がりである。
「だ、大丈夫?」
そんな俺たちを心配して声をかけてくれる柏木さん。
「あー、うん大丈夫、大丈夫。大丈夫になるようになるべく頑張って今の状況をなんとか打破できないか考えることを前向きに考えてみるよ・・・」
「星原くん本当に大丈夫!?」
「ああ、冗談だから」
笑顔を向けると少しホッとした表情をしていた
「そうか!」
「うわっ ︎いきなりどうした?」
俺の前で隆盛が大声で叫んで立ち上がる
「なぁ今度の週末さーーー」
そこまで言って教室の前の扉が開き駿河先生(みんなからは藍ちゃん先生と呼ばれている)が入ってきたので隆盛も仕方なく席について前を向く。
まぁなにを言いたかったのか気になるし後で聞いてみよう。そう思っていたのだが結局色々なことが重なり聞けるのは放課後となった。
昼休みはなぜか教えてくれなかった。隆盛いわく瑞樹や翠がいると話しにくいことらしい。

「それで、朝何を言いたかったんだ?」
「そのことなんだけどーーー」
そして一度周りをキョロキョロと見回して瑞樹達がいないことを確認して俺に向き直る
放課後の人が少なくなったタイミングで切り出して来た
てか隆盛が女の子なら告白されそうな雰囲気だなぁ
「付き合ってくれない?」
まじでか ︎隆盛はいつのまにそんな趣味を持つように?
教室に残っている生徒が俺たちを遠目から見ている
「ごめん無理」
もちろん俺は即答で拒否る
「え?」
隆盛は断られるとは思わなかったのかとても驚いた顔をしてこちらを見ている
てかよく断られないと思ったな!俺にそっち系の趣味はないんだよ
「なんで無理なんだ?なにか不都合でもあるのか?」
「いや、不都合しかないんだが?率直に言うけど俺はそっち系は持ちあわせていないからな」
「そっち系ってなんだよ。俺は買い物に付き合ってて頼んでるんだけど?」
あ、買い物。雰囲気にのまれて勝手に早とちりしてたわ。
周りのクラスメイトも皆納得したように雑談やらを再開した。
「ごめん」
勝手に隆盛を同性愛者そっち系と判断して・・・。
心の中でそう付け加える
「なんで謝るのか知らんけど結局のところ付き合ってくれるのか?」
「あぁ、買い物全然いいぞ」
「それじゃあ予定が決まったらラインでも送るから。あ、後瑞樹ちゃんと翠にはくれぐれも内緒にしてくれよ」
「なんでーーー」
理由を聞こうとしたタイミングで教室の扉が開かれ
「おまたせお兄ちゃん」
瑞樹が教室に入ってきた
「俺は用事あるから一緒に帰れないから」
そう言って隆盛は教室を出て行った
「それじゃあ私たちも帰ろっか」
瑞樹に連れられ俺も教室を後にした


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