Fifteen minutes~十五分の少年達~

加藤エザン

序章、少年達の物語

西中軍にしちゅうぐん、こちらに攻めてきます!数は見る限り、推定一万はいます!」
ここは住吉すみよし神社、南中軍の本陣が置かれているところだ。
「どうする、日豪ひごう?」
「全軍引くな!ここからが正念場だ!」
ウォォォォォォォオ!!!!!!!!
中心にいる少年の掛け声と共にその周りからは雄叫びが上がり、近付いてくる西中軍と真正面でぶつかり合う。戦場からは男女関係なく無慈悲に殺されていく悲鳴が上がった。


「おい三木みつき、今回の戦闘で死んだのは何人だ?」
「予想だが、55人は超えると思うぞ」
「チッ、5人オーバーだ」
日豪と呼ばれた少年は、ため息をついて怒りを露わにしている。
「んで、死者がいちばん多かったのは何組だ?」
「いつもの1組だな。1組が19人、2組が16人、3組が11人、4組が6人、5組が3人だ」
「予想通りの結果だな。全く、1組の連中にはつくづくうんざりされられる」
少年は再度ため息をつき、自分のいる部屋を出ると、廊下を歩き1組の教室へと歩いていった。
1組の教室に着くと、少年は扉を勢いよく開け、中へと入って行った。
「貴様等、西中迎撃作戦の目標を覚えている奴は申し出ろ」
「はい、私覚えています。目標は『西中軍を百人倒し、我々は戦死者を五十人に留まらせること』です」
「よく覚えていたな、一組代表『浅原 澪あさはらみお』。だがな、今回の作戦、目標達成には程遠かった」
少年の一言に、その場に居た人々全てが息をのんだ。
「倒した数は九十五人、戦死者は五十五人」
「五人だ五人!貴様らの様に平和に暮らしている連中がいるからこうも死者が多くなるんだ!」
少年は声を荒らげ、一組の連中を怒鳴りつけた。その形相に泣き出す女子もおり、それを庇う女子は少年に怒りの眼差しを向けている。
そして、少年は目の前にある机に対して大きく左脚を上げ、かかと落としで机を真っ二つにした。
「次はもう無い、死にたくなければしっかりとノルマを果たせ」
少年は部屋を後にした。


これは、十五分の人々クウォーターズと呼ばれた特殊能力を持った少年少女の物語である。

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