この世界をこんなにも美しいと感じたのは何時からだっただろうか

TAKE-C

第1章 3話

彼が服屋を後にした後向かったのは、悠が明日から通うことになる学校であった。


「で、デカすぎだろ...」 
と学園のあまりの大きさに、数分間立ち尽くしてしまった。


数分後、意識を取り戻した悠は家に帰ることにした。
帰り道、悠は昔の、忘れたくても忘れられない、忌々しい記憶を思い出していた。 






忌々しい記憶を思い出し、もう出し尽くしたと思っていた憤りが悠の心を満たしていた。



「はぁ、気が立ってるな」 と自己分析した悠は、何かに八つ当たりしてしまいそうで、イライラとしていたので、早く家に帰ろうと、駆け出した。



駆け出した悠が見たのは、奴隷であろう親子が奴隷主に斬りつけられているところだった。思わず立ち止まり、野次馬の男に声をかけた。 
「おい、あれは一体何してんだ?」

「あ?なんだボウズ見てなかったのか?  さっきよあの奴隷のガキがぶっ倒れてよー   そんであのオークみてぇな奴隷主が、近づいて行って、そんであの大人の奴隷が、庇ったんだよ     そしたら奴隷主が魔剣で斬りかかって嬲って遊んでんだわ」
 

「おい、奴隷に拷問は違法だろう」

「んな事言ったってよ、負けん持ったやつなんか止めらんねぇだろ」

「ちっ      で、何時からやってんだ?」

「15分くらいじゃねぇか?」

「なんでそんなに斬りつけて死なないんだ?」

「あー、なんか痛みはあるけど傷がつかねぇ   みてぇな効果の魔剣らしいぜ」

実際には味方を癒すために造られた魔剣の失敗作であるのだが、見ているだけの男には、そこまでの事は勿論分からない

「なんて惨いことをするんだ。わかったありがとよオッサン      」

「おう、いいって事よ」


悠は、この国にわずかな希望を抱いていた。時分がいた頃とは、もう違い奴隷が遊び半分で嬲られることの無い、マシな国になっていることを...


「相変わらずつまらない国だ」悠は呟いた、誰にも聞こえないであろう声で 、そしてこんなクソつまらない光景を目の前から消すべく、奴隷をいまだに斬りつけている醜悪な男の方へ向かって、歩き出した。

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