戦闘員No.25の活動日誌

とろろこんぶ

第三勢力

今の状況を説明しよう。
悪の組織の1構成員こと俺は任務中に自称鉄の魔法少女と遭遇、のち現在彼女にぽかぽか叩かれている所を総督に発見された。


「あのさあ…今任務中だよね?ニコにとってこの任務は重要じゃないってこと?」
総督の幼い顔が、歪んでいた。べっとりと軽蔑の色が張り付いていた。
「違う、決して遊んでいたわけでは…」
「誰です、あの小学生」

クロが俺を叩く手を止めそう尋ねた。
まずい。
本能的に察した。今のはまずい。

「小…?小学生…?」
スイッチが入る。まずいまずい。早く対応しなければあとあと面倒くさい事になる。具体的には給料を減らされる。

「悪かったよ、総督。でも誤解だ。あの子から先に攻撃を仕掛けてきたんだ。」
「…あの女の子は何者?」

めちゃくちゃ低い声だった。このタイミングで魔法少女なんてぬかせば減給は免れないぞ、どうする俺。

「戦闘員!私の質問はスルーですか!あの小学生はどうして避難してないんですか!あなたたちが人質にでもしたんですか!?」

「小学生って言うなああぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁ!!!!」

総督がきれた。クロに飛びかかったその時。

「いやー、ややこしいことになっちゃったねえ」
ひょうきんな声がしたと思うと、ドクターが現れた。

「総督落ち着いて〜。そこの魔法少女さんもね?」
「はあ!?魔法少女?」
「…私を知ってるんですか?」

色々ね〜とドクターは笑った。
「おい、ドクター、これはどういうことだ?」
「私もよくわからないけど、」
多分ね、とドクターは続けた。

「所謂第三勢力ってやつだよ。魔法少女も上から派遣されたんでしょ?」

「第三勢力…?」

総督が怪訝そうに眉をひそめた。
ドクターは楽しそうに口もとを歪ませた
。まるで、この状況を心待ちにしていたかのように。

その顔が、なんだかとても怖かった。

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