戦闘員No.25の活動日誌

とろろこんぶ

魔法少女

「成敗します!!」

中学生ぐらいの少女は剣を構えてそう叫んだ。明らかに本物の剣。明らかに本物の敵意。

「ちょっと待てって。え、誰ですか?」
「悪人に名乗る必要性を感じません」

悪人ですか。まあAndersですけど。

「…でも武士は名乗ってから戦うんだっけ?私も名乗るのが筋なのですか?」
少女はこてんと首を傾げた。

「そうかもな」
「…では。私は鉄(くろがね)の魔法少女。クロとでも呼んでください。」

まほーしょーじょ。
ありえないって突っ込みたかったけど、落ち着いて考えれば俺は悪の組織の構成員だし、別に普通か。いるいる、魔法少女。

「俺は戦闘員No.25。」
「Andersは悪モノだと聞いておりました。今回の悪行も貴方たちの仕業とも。お覚悟!!」


そう言うと、少女ークロは飛びかかってきた。不意打ちだった。咄嗟に反応はしたが、前髪が少し切れて、宙を舞った。

切れ味は本物だ。
クロは間髪をいれず斬撃を繰り返した。何回も、何回も。俺は押されていき、どんどん後退する。
強いぞ、この子。そういう訓練を積んできた腕前だ。何より、本気で俺を斬りにきてる。


でもまあ、所詮女の子か。

俺はクロの腕を掴み、簡単に剣を取り上げて見せた。

「なッ!?」
「はい、俺の勝ち」
「剣を返して下さい!」
「嫌」
「返すですよ!」
クロがぽこぽこ叩いてくる。
よく見ると、この子可愛いな。眼は大きいし、声もアイドルみたいだし。プロポーションだって、歳の割にすごくいいぞ。発育の良いタイプか、妹とは大違いだ…


「…ニコ?なにやってんの」

顔を上げると、数メートル先に冷ややかな顔をした総督が立っていた。

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