ソロモンの弟子

咲間 悠紀斗

第1話 旅立ち

俺はケルトス、ソロモンの弟子の一人だ。今日は俺の旅立ちを祝って宴会をしている。俺は弟子たちの中でも最弱で最年少なのにみんな俺に優しくしてくれる。その理由を聞いて見たことがあった、その時はみんな俺のことが可愛い弟弟子だからだと言ってくれた。その時はとても嬉しかった。そんなことを思い出していると師匠がニコニコしながらこっちにやってきた。師匠は見た目は30歳くらいの優男なのだが、実年齢は誰も知らない。
「ケルトスいいですか?あなたは私の弟子の中では弱いです。しかしあなたは力のない者たちからは強いのです。力の使い方は間違えない様に。そして困っている人がいたら積極的にに助けましょう。しかし世の中悪人もいます。その方々にはしっかりと罰は必要です。しかし殺してはいけません。人は誰しもが変わるチャンスはあるのですから。それから何か困ったことや帰りたくなった時はいつでも帰ってきなさい。私たちはずっと待っていますよ。」師匠はそう微笑みながら言ってくれた。
「はいっ」
俺は心の中で改めてしっかり胸を張って師匠の弟子を名乗れる様になろうと決心した。
「ではそろそろ行って参ります。今までありがとうございました。いつか立派になって帰ってきます。」
俺はみんなの姿が見えなくなるまで手を振りながら歩いた。
俺はまずこの森から一番近い町であるノーシュベルへ向かった。
検問を通り町に入ると中はとても賑わっていた。
左右に様々な露店が立ち並び、呼子が大きな声で客引きをしていた。
初めて見る光景に胸を高鳴らせながら歩いていたら何やら前方で人だかりができていた。
中心で何やら揉め事が起こっている様だ。ここからでは何を言っているのか聞こえなかったので人の間をすり抜けて前にいった。
すると顔を赤くした中年の女性がフードを被った少年に怒鳴っていた。
「ちょっとあなたさっきから黙ってばっかりでいい加減にしなさいよ‼︎」
そう言い女性が手を伸ばした。しかしその瞬間僅かに少年から殺気が漏れ、ナイフを取り出し女性へ向けて投げた。俺はその瞬間咄嗟に二人の間に入り少年の投げたナイフを弾いた。女性は一瞬の事についていけていないらしく目を開いて驚いていた。
すると少年は楽しそうに笑いその姿を消した。姿を消す瞬間に「強いね」という言葉を残して。
俺はすぐに立ち去るべく女性へ一礼をして人混みの中へ入った。
よし気分を一転させるためにとりあえずご飯を食べに行く事にした。
飯屋の『鳳凰の息吹亭』へ入った。俺は注文をし、待っていると、席の色々なところからさっきの騒ぎの話が聞こえてきた。
「さっき大通りで騒ぎがあったらしいぜ。なんでも少年同士が目にも見えない速さで戦ったとか。なんか信じられねぇよな」
少し困ったなそれ完全に俺のことだ。でも仕方ないよな師匠も助けた方がいいって言ってたしな。
そんなことを考えているとちょうど美味しそうな料理が運ばれてきた。
俺は腹ごしらえを終えると次の目的地へ行くべくささやかな眠気に幸せを感じながら向かった。

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