現実(リアル)の妹は、そう上手くはいかない。

出海佑永

プロローグ

 暗闇の中、マウスのカチカチという音が、俺の部屋に鳴り響く。俺は大好結弦おおよしゆずる、妹を愛し、妹に愛されたい男。高校1年生。時刻は午後27時午前2時。俺はいつも通り妹達の攻略をしていた。
 午後28時午前3時をすぎる頃、俺のイチオシの妹の攻略が終わった。
「ふ〜、やっと終わった。いや〜でも、最後のあのシーンは良かったよな。」
と、1人で夜中に部屋で話していた。
「明日は学校か。」
パソコンを止め、就寝。

朝、6時半、俺は妹の声で目を覚ます。それは、現実の妹ではなく、ゲームのだ。毎日毎日、千佳の声がアラーム代わりだ。そして茶の間へ……、部屋を出た瞬間、何かとぶつかった。それは、俺の現実の義妹、大好繋おおよしつなぎだ。よりにもよって、朝からとは。運が悪いな、今日は。
「ハァ?何ぶつかってんのよ。バカ兄貴、汚い、死んで。」
いつもこうだ。妹は、義母の連れ子で、中学3年生、文武両道、容姿端麗、誰にでも優しい、と思われているが、家では、俺をクズだの、馬鹿だの。さんざん言ってくれる。
画面上ゲームでは妹の攻略はすぐに出来るが、やはり現実リアルはそうはいかない。
そう。これは、俺が妹(繋)を攻略する。攻略できたらいいな。できるかな…、ともかく、完全攻略するまでの話。

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  • アニメ好き不登校

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